日本がイラン産原油の輸入を停止するかもしれないのは、米国が脅した結果=専門家
在ウィーン国際機関のロシア常駐代表を務めるミハイル・ウリヤノフ氏は、日本がイラン産原油の輸入停止に
向けて調整していると報じられたことについて、残念だとし、これは米国による脅しの結果である可能性があるとの
見方を表している。
19日、日本経済新聞は、日本の石油業界がイラン産原油の輸入停止に向けて調整していると報じた。
ウリヤノフ氏は「日本の決断は残念だ。これは強いられた決断だと思っている。なぜなら米国は、深刻な経済的影響を
使って国際的なビジネスを脅迫し、公然と脅しているからだ。誰もがこれに抵抗する政治的意志を持っている
わけではない」と述べた。
<イラン発>日本の石油企業、アメリカの圧力でイラン産原油の輸入停止を検討
2018年07月19日21時02分 Pars Today
日本の石油企業が、アメリカの制裁をおそれ、イラン産原油の輸入停止を検討しています。
一部の消息筋が、19日木曜、このことを明らかにしました。
これによりますと、日本の石油企業は、サウジアラビアなどの他の中東諸国からの原油の購入を増加し、
市場におけるイラン産原油の不足分を補おうとしているということです。
原油を持たない日本などの国にとって、この変化は、ガソリンなどの石油製品の値上げにつながります。
また、アメリカの制裁を受け、イランとの取り引きが困難になっています。
みずほ銀行などの日本の金融機関は、アメリカの制裁の対象とならないよう、イランとの貿易関係の停止を
検討しています。
イランは常に、日本と強固な外交関係を有してきました。
イラン産原油は、日本の年間輸入の5%を占めています。
石油各社、イラン原油停止へ調整。銀行など取引停止通知
日本の石油元売り企業がイラン産原油の輸入停止に向けて調整に入ることが分かった。米国がイランへの経済制裁の
一環で同国産原油の輸入停止を求めたことを受け、日本の海運会社やメガバンクは取引停止の可能性があると
元売りに通知した。10月にもイランからの輸入量はゼロになる見込みで、元売りはサウジアラビアなどからの
代替調達を目指す。調達コストの上昇がガソリン価格に波及する恐れもある。
米政府は6月下旬にJXTGホールディングスや出光興産などの元売り企業に対し、イラン産原油と
コンデンセート油(軽質油)の輸入量をイラン制裁を再開する11月4日までにゼロにするよう求めた。
米政府はイランとの取引を続ける企業に制裁を科すとの強い態度を示した。
これを受け、三菱UFJ銀行は日本、米国、イランの政府間交渉に進展がなければ、イラン関連の資金決済を
夏から順次停止すると元売り各社に通知。みずほ銀行も決済を停止する可能性があると伝えた。
イランとの原油取引はドル建てで決済しているほか、企業が支払い不能に陥った場合は銀行が肩代わりする
契約になっている。銀行がイラン取引を停止すれば、元売りがイランに代金を支払うことは極めて難しくなる。
イランからの原油を運ぶタンカーを運営する海運会社も同国からの輸入は9月で最後になる見通しであると
通知し始めた。
ポンペオ米国務長官は各国がイラン産原油の調達を継続した場合に科す経済制裁に関して、適用除外を検討する
考えを明らかにしている。日本の外務省幹部は「適用除外に向けて米国と協議し、説得するしかない」と話すが、
経済産業省幹部は「交渉は厳しく、禁輸になりそうだ」との見通しを示す。
元売り各社は日本が適用除外とならないことを視野に入れて動き出す。8月からサウジアラビアや
アラブ首長国連邦(UAE)などの産油国と代替調達の交渉に入る。各社とも安定供給への影響はないとみている。
ただ、イランとは年間契約の調達分が残っている企業もある。調達先を切り替えることになれば、契約破棄分の
損失を穴埋めするための支援措置を日本政府に求める方針だ。
イラン産原油は「良質で採算の高いガソリンや灯油に精製しやすい」(JXTG)とされる。米国がイラン制裁を
再開する方針を表明したことを受け、原油価格には上昇圧力がかかっているが、調達コストの上昇がガソリン
価格を一段と押し上げる恐れもある。
日本は原油輸入量の約9割を中東に依存。イランはロシアに次ぐ第6位で、日本の輸入量の5%を占める。
日本政府は原油調達先を多様化し、エネルギー安全保障を確保する観点からもイランとは伝統的に
友好関係を築いている。一方で米国との足並みにも配慮しなければならず、両国のバランスをどう取るか難しい
判断を迫られている。
仏石油メジャーのトタルが制裁対象から外れない限りイランでの天然ガス開発計画から撤退する方針を表明するなど、イラン制裁の影響はすでに世界に広がっている。