韓国は無視して進められた、日米英仏加豪「自国民救出」の極秘協議
青瓦台は情報漏洩の恐れありとされて…
2018/01/20 現代ビジネス
北朝鮮の核・ミサイル問題に関する20ヵ国外相会合
「融和一色」の韓国と距離を取る世界の国々
1月16日(日本時間17日未明)、カナダのバンクーバーで北朝鮮の核・ミサイル問題に関する20ヵ国外相会合開かれた。
米国のレックス・ティラーソン国務長官とカナダのクリスティア・フリーランド外相が共同議長を務めた(尚、ジェームズ・マティス
米国防長官は会合に参加しなかったが歓迎夕食会に出席し、スピーチを行った)。
参加20ヵ国は、朝鮮戦争(1950年6月の勃発から1953年7月の休戦協定締結まで)当時の国連軍に部隊を派遣した米国、英国、タイ、
カナダ、トルコ、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、フランスなど16ヵ国と当事国の韓国に加え、日本とインド、
スウェーデンである。
2月9日開催の韓国・平昌冬季五輪・パラリンピックを前に、北朝鮮は韓国との次官級会談で南北合同チーム結成や開会式の南北合同
入場行進で合意するなど「融和攻勢」を強めている。
そんななかでも、ティラーソン国務長官は「北朝鮮への『最大限の圧力』に実効性を高める」と発言、基本原則で譲らなかった。
出席した河野太郎外相も「北朝鮮は国際社会の分断を図ろうとしており、圧力を弱めたり北朝鮮(の対話姿勢)に見返りを与えたり
するべきではない」と、圧力路線の継続を訴えた。
そうした中、平昌冬季五輪後に延期された米韓合同軍事演習「フォールイーグル」が4月1日から実施されるため、沈静化したかに
見える朝鮮半島情勢が再び緊迫化することはほぼ間違いない。
そこで、ドナルド・トランプ米大統領が軍事行動に踏み切った場合=朝鮮半島有事の際の在韓邦人及び米国人の救出に関する具体策に
焦点が集まっている。
五輪後の3~4月に「有事」となったら…
「文藝春秋」(2月号)掲載の麻生幾氏の「米軍攻撃"決断のとき"は3月だ――密かに進む在韓邦人救出作戦の全貌」と「読売新聞」
(1月16日付朝刊)の一面トップ記事「半島有事 対馬に一時退避――海自艦、釜山で米艦に横付け」(下記)は、その具体策を
詳述(報)している。
とくに麻生論考では、内閣官房事態対処調整室に「北朝鮮情勢対処対策本部」が立ち上がり、日本がこれまで経験したことがない
分野である「韓国からの在留日本人等の避難対処」についての詳細が言及されている。
そのなかには、筆者も全く知らなかった「自衛隊在外邦人等輸送計画」が詳しく紹介されている。
ただ、「文藝春秋」と「読売新聞」に共通している内容が一つある。
それは、現時点で韓国の文在寅政権が在韓邦人等の救出に当たって海上自衛隊艦船の釜山など韓国の港への接岸を了承していない
ことと、ソウル市内の金浦空港や郊外の仁川空港などへの陸上自衛隊の誘導輸送隊航空機の派遣に難色を示しているとの指摘である。
要は、韓国内の"自衛隊アレルギー"から現状では日韓、日米韓の間で「有事の救出作戦」の協議が進んでいないということだ。
では、「Xデー」は5月の大型連休から夏までのそう遠くない時期に出来する可能性が高まる現在、本当に協議は行われていないのか。
答えはノーである。
報道されなかった「韓国抜きの極秘協議」
日時はハッキリと断定できないが、場所は特定できる。
昨年の11月下旬頃、ソウル南方約30キロにある在韓米空軍烏山(オサン)基地(米第7空軍司令部)内で極秘裏に国連軍構成国である
米国、英国、カナダ、オーストラリア、フランスの5ヵ国と日本が参加した「救出作戦」に関する第1回協議が開かれているのだ。
青瓦台(大統領府)中枢から北朝鮮に情報漏洩があるとの懸念から韓国を除外した軍事当局者協議であった。
したがって、日本からの出席者(内閣官房国家安全保障局の参事官級と防衛省制服組の出向者)は在日米空軍横田基地から米軍機で
烏山空軍基地入りした。
米側が把握する韓国内の各地域にどれだけの米国人、日本人、そして国連軍構成国の一般人が居住しているのか示す巨大スクリーンや
プロジェクターを使ってブリーフィングし、陸・海・空路どのような手段で釜山、仁川港まで輸送できるかの説明があったと
いうのである。
こうした事実はもちろん、報道されていない。
当初は同じく蚊帳の外だった米国務省経由で知った韓国の外交・安保当局は協議から外されたことに強く抗議、12月の第2回協議から
参加したのである。
それまでの日米間協議は、米側が国家安保障会議(NSC)と国防総省、日本側は国家安全保障局(NSS)と外務省を各々の
カウンターパートとして極秘裏に進められてきたが、これもまた米国務省と日本の防衛省の情報管理態勢に疑問符が付けられている
からだ。
北朝鮮情勢について討議する多国間協議において、機密漏洩というのは死活的かつ深刻な問題であることが理解できる。
あらためて、平昌冬季五輪後の金正恩労働党委員長の出方に注視したい。
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半島有事の場合、邦人・米国人ら対馬に一時退避
2018年1月16日7時5分 読売新聞
日本政府は、朝鮮半島有事で韓国の空港が閉鎖された場合、在韓邦人・米国人らを釜山(プサン)港から海上自衛隊艦船と米軍艦が
協力して対馬(長崎県)に運び、一時退避させた後、九州に順次ピストン輸送する方向で検討に入った。
韓国政府は自衛隊の派遣に同意していないが、釜山港に接岸した米軍艦の隣に海自艦を「横付け」し、邦人らを乗せる案が浮上して
いる。
複数の日本政府関係者によると、有事の際は、日本国内への脱出を最優先し、釜山から最短距離にある対馬で1~2泊ほど滞在
させることを想定している。民間の在韓米国人にとっても日本が退避場所になるため、釜山港からは米軍艦と海自艦で対馬に輸送し、
順次、福岡県の門司港など、九州に船舶でピストン輸送する方針だ。すでに日本政府関係者が水面下で、対馬の現地視察を行い、
ホテルなど宿泊施設の収容可能な人数や必要な水・食料の検討を始めている。北朝鮮による攻撃が間近に迫れば、関係自治体との
協議に乗り出す考えだ。
退避計画で最大のネックは、韓国国内で自衛隊への反感が根強く、派遣への同意が得られていないことだ。文在寅(ムンジェイン)
政権は2月の平昌(ピョンチャン)冬季五輪の成功のため、「半島有事を連想させる話を極度に嫌がる」(日韓関係筋)ため、
協議は停滞している。ただ、昨年秋に日本政府が韓国側に自衛隊の派遣を水面下で打診したところ、海自艦の接岸には同意しな
かったが、米軍艦であれば、釜山港への接岸を容認する考えを伝えてきたという。これを受け、国家安全保障会議(NSC)を中心に
具体的な輸送方法について検討している。
北朝鮮は9日に韓国と閣僚級会談を行ったが、日本政府は「北は核・ミサイル開発をやめるつもりはない」(外務省幹部)と
みており、有事に向けた邦人退避計画の具体化を急いでいる。
外務省によると、在韓邦人は約6万人、在韓米国人は20万人以上とされる。日本政府は、在韓邦人の退避について、危険レベルを
〈1〉観光客など不要不急の渡航中止要請
〈2〉渡航中止勧告
〈3〉退避勧告
〈4〉避難所への避難・輸送――の4段階に分けている。
北朝鮮が韓国を軍事攻撃した場合、韓国政府が全国で指定する避難所(シェルター)に邦人を避難させることを最優先し、
72時間を目安に事態が沈静化すれば、在韓米軍が釜山まで陸上輸送する流れを想定している。