G20エネ・環境相会議、パリ協定めぐり薄氷の合意
16日に閉幕した20カ国・地域(G20)エネルギー・地球環境分野の閣僚会議は、懸案の
プラスチックごみによる海洋汚染対策の国際枠組み構築で一致したものの、採択された共同声明は
地球温暖化防止の国際的枠組み「パリ協定」の表記をめぐって最後まで各国間の調整が続き、
薄氷の合意となった。
技術革新をキーワードに国際協調の演出を目指した議長国・日本だったが、環境分野での合意の
難しさを浮き彫りにした。
「いくつか論点で合意が困難な状況。事務方は本会場を退席し、交渉を進めてほしい」。
16日午前に開かれた2回目となるエネルギーセッションの冒頭、世耕弘成経済産業相は
“結束の危機”を訴えた。
危機の発端はパリ協定をめぐる表記だ。パリ協定は2016年に発効したがG20ではロシアや
トルコが未批准で、米国もトランプ大統領が一昨年に脱退を表明するなど「立ち位置の開きが大きい」
(交渉筋)。パリ協定に関する言及こそ国際協調の進展と位置づける欧州と、米国などとで意見が
大きく分かれた。
パリ協定への言及はエネルギー分野も含めて今回のテーマ全体に関わるため、前日までに合意を
得た水素などの技術開発の推進や、プラスチックごみによる海洋汚染対策といった部分にも暗雲が
立ちこめ、交渉担当者は「16日朝は共同声明を出せる確証が全くなかった」と吐露する。
G20開催に当たって、日本政府は議長国として国際協調を演出するための準備に腐心してきた。
プラごみ問題をめぐっては5月下旬に国内の行動計画や資源循環戦略を決定、パリ協定に基づく
長期戦略も取りまとめた。先進国と途上国の双方での合意を目指して「環境と成長の好循環」を掲げ、
国際エネルギー機関に水素レポート策定を要請。会議初日の15日には、来年4月にもレジ袋を
有料化すると発表した。
それだけに、日本側は共同声明が出せない事態は絶対に避けたかった。関係者によると、
16日午前のセッションまで事務方では調整ができず、最後は世耕氏が自ら調整に乗り出して、
何とか「最後の1分」で合意にこぎ着けたという。
こうして合意した共同声明では「パリ協定」という文言は盛り込まれたものの、アルゼンチンでの
前回G20首脳会議(サミット)で合意した内容の説明として表現されるにとどまり、各国閣僚の
政治的な立場に対する配慮がにじんだ。環境省関係者は「『パリ協定』の文言を盛り込めただけで
奇跡に近い」と話すが、各国間の溝の深さを印象づける内容だ。
国際環境経済研究所の竹内純子主席研究員は「気候変動問題について米国を含めた合意が困難に
なっている」とした上で、「経済成長とCO2排出量の相関を断つには技術革新しかないことは
各国の共通認識で、技術開発の促進に向けた仕組みがカギ」と話す。
閉幕時に世耕氏は「完全な共同声明が出せた」と胸を張った。しかし、薄氷の合意は今月下旬に
大阪で開催されるG20サミットでの国際協調に向けた課題として残った。
世耕弘成経済産業相は15日、米エネルギー省のブルイエット副長官と会談した。世耕氏は
中東ホルムズ海峡付近で日本の海運会社などが運航するタンカー2隻が攻撃されたことに懸念を表明。
副長官はエネルギー安全保障の強化で連携する意向を示した。
長野県軽井沢町で同日開幕した20カ国・地域(G20)エネルギー・環境関係閣僚会合に合わせ、
2国間で協議した。
世耕氏は会談冒頭、「石油関連船舶への攻撃について極めて大きな懸念を持って注視している」と表明。
副長官は「日本の懸念は認識している」と語り、帰国後に米情報機関などの評価を確認した上、
世耕氏に可能な限り伝えることを約束した。
副長官は会談後、記者団に「この種の攻撃を非難する。米国は日本の懸念を強く支持する」と語った。
一方、日本は同日、米国、欧州連合(EU)と水素のエネルギー活用に向けた技術・政策連携に合意。
水素エネルギーの普及に向けた各国規制の緩和や、水素を使う燃料電池などに関連した国際規格
づくりを主導していくための共同宣言を発表した。
韓国が気になってしょうがない水素エネルギー問題は真っ先に報道。
プラスチック問題は興味がないらしく今のところ報道は見当たりません。
<韓国報道>日米欧「水素エネルギー」で連携…韓中おさえて市場先行獲得に布石
2019年06月17日07時49分 中央日報- 日本が次世代エネルギーとして期待されている「水素」活用に向けて米国および欧州連合(EU)と
- 提携する。水素自動車などの分野で韓国・中国などを締め出して世界市場を先行獲得するという戦略だ。
- 日本政府は次世代産業を牽引(けんいん)する核心技術の一つに水素技術を据えている。