日本郵政、損失数千億円か…子会社の業績悪化
2017年04月20日 22時51分 読売新聞
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日本郵政グループが、2015年に買収した豪物流子会社の業績悪化に伴い、17年3月期連結決算で損失の計上を検
討していることが20日、分かった。
損失額は数千億円に上る可能性がある。海外企業の買収戦略が裏目に出た形だ。東芝が買収した米原子力発電子
会社を巡って、巨額損失の計上を迫られるなど、同様の事態が相次いでいる。
損失計上の対象になるのは、豪物流子会社のトール・ホールディングスだ。国内の郵便事業が低迷する中、成長が見
込める国際物流事業に本格参入することを狙って、日本郵政が子会社の日本郵便を通じて約6200億円で買収した会
社だ。
トールは、1888年に創業した豪物流大手で、成長が著しいアジア・太平洋地域で強みを持つ。当時、日本郵政は15
年秋の上場を控えており、トールを足がかりに国際物流事業を拡大して、収益力を高める狙いだった。
しかし、鉄鉱石などの資源価格の下落により豪州経済が低迷したことを受け、同社の業績は計画を下回る状況が続
いている。
企業会計のルールでは、企業を買収した場合、その企業のブランド価値などを示す「のれん」を帳簿に計上する必要
がある。買収した子会社の業績が思わしくなかった場合は、この「のれん」を見直して損失を計上しなければいけない決
まりだ。トールの「のれん」は16年末時点で3860億円あり、このうち数千億円を損失として計上する可能性がある。
日本郵政は17年3月期の連結最終利益を3200億円と見込んでいる。損失を計上した場合、業績を大幅に下方修正
することになりそうだ。
政府は、日本郵政の株式の8割を保有している。東日本大震災からの復興財源を確保するため、年内にも株式の一
部を追加売却することを予定している。損失が膨らめば、こうした方針にも影響を与える可能性がある。
日本郵政は20日、「トールの業績が計画に達していないことから、減損(損失)の要否を含め、現在、検討中」とのコメ
ントを発表した。