2017/02/19 09:00 CONTRIBUTOR=Peter Ubel (I explore medical controversies thru behavioral econ and bioethics.) forbes
ダイエットのために、ステーキではなく健康的なサラダを選んでいる人もいるかもしれない。だが、それは自分にダブルパンチを与える行動かもしれない。
チャイニーズチキンサラダ

まず、サラダは恐らくあなたが考えている以上に高カロリーだ。例えば、カジュアルレストランの米アップルビーズ(Applebee’s)が提供する「グリルド・チキン・シーザーサラダ」は、800キロカロリー以上ある。低カロリーの食事のためにこのメニューを選ぶとすれば、それは間違いだ。
Applebee’s Grilled Chicken Caesar Salad $10.99

さらに、カロリーを低く見積もることも良くないが、それ以上に大きな問題がある。それは、そのサラダを食べることによって、あなたの体が脳を「だます」ことだ。実際にはそのシーザーサラダが高カロリーであるにも関わらず、「サラダはヘルシー」と信じ込んでいる脳は、あなたの胃にも、「まだ満腹ではない」と思い込ませてしまうのだ。健康的だと思っているものを食べるとき、私たちはなかなか満腹感を得ることができない。
まだ信じられないと言う人のために、別の例を挙げてみよう。米国のある研究チームが、大学生を対象にクッキーと満腹感に関する調査を実施した。学生の半数には、そのクッキーを「タンパク質と繊維質、ビタミンが豊富で健康的」だと伝え、残る半数には「砂糖と脂肪分、糖質がたっぷりで不健康」だと伝えた。
そして、クッキーを食べてから45分後、学生たちにどのくらい空腹感があるか尋ねた。その結果、「健康的」だと思ってクッキーを食べた人たちの方が、より空腹を感じていたことが分かった。
別の調査では、学生たちに好きなだけポップコーンを食べてもらった。その際、学生を3つのグループに分け、それぞれに対してそのポップコーンは「健康的」「栄養価が高い」「不健康」だと異なる説明をした。すると、「健康的」だと思っている学生たちが最も多くのポップコーンを食べ、その量は「不健康」なポップコーンを食べた学生たちの2倍に上った。
筆者自身はこれまで、満腹かどうかは胃が教えてくれると思っていた。食べるべきタイミングは、体が教えてくれるものだと思っていたのだ。だが、健康的な食事を取った後の空腹感は、体が「栄養が足りていない」と教えてくれている生理機能の働きではなく、主に潜在意識の働きだったのだ。健康的な食品では十分な満腹感が得られないという思い込みが、空腹感をもたらしていたということだ。「食べる」ことに関して最も重要な臓器は、脳だったのだ。
麻薬より危険「食べるのをやめられなくなる食品」
研究者らによると、いくつかの太りやすい食べ物は、ヘロインやコカインと同様の依存性があるかもしれないという。ダイエットの経験がある人なら、体重を落とすために自制心を働かすことがいかに難しいかを知っている。脂肪を燃焼する運動も効果的だが、食べ過ぎが脳に影響を与え、依存傾向を強めるという研究結果がある。
高脂肪、高カロリーの食べ物は、麻薬的な快楽を生み出す。お腹がいっぱいでも、食べ続けてしまう。そして、体重がどんどん増えていく。それはどのような食べ物なのだろうか。一般的に砂糖が大量に含まれた高脂肪、高カロリーの加工食品は依存性の高い食べ物の上位に挙げられる。例えば以下のような食品だ。

ピザ
チョコレート
クッキーの詰め合わせ
アイスクリーム
フライドポテト
チーズバーガー
炭酸飲料
ケーキ
チーズ
ベーコン
フライドチキン
ロールパン
ポップコーン
イェール大学の研究チームは食べ物依存症を診断する質問リスト「Yale Food Addiction Scale」を作成した。下記の質問に「はい」が多数ある場合は注意が必要だ。
・満腹の時でも食べたいですか?
・ある食べ物を家で食べられない時に、わざわざ食べに出かけますか?
・スナック菓子やクッキーを少し食べるつもりが、一袋食べてしまうことがありますか?
・衝動食いの傾向がありますか?
・食べるのをやめられない食べ物がありますか?
・友達や家族と過ごすより食べていた方がいいですか?
・食べ過ぎが怖くて、昔好きだった活動やイベントを避けていますか?
・食べ過ぎで生活に支障が出ていますか?
麻薬の依存症と同様に、食べ物に対する依存症から抜け出すには第三者の助けが必要だ。食生活の見直しを指導してくれる医者や行動療法のセラピストの相談を受けることが有効な場合もある。