がれきに埋もれ妹をつかむ少女 シリア。空爆の惨状
【7月27日 AFP】シリアで撮影された1枚の写真が、ソーシャルメディア上で話題を呼んでいる。
そこには、粉じんをかぶり、がれきに埋もれて身動きがとれなくなった少女2人が、空爆を受け
崩壊した建物からぶら下がる生後7か月の妹の服をつかむ様子が写されている。背後の男性は額に
手を当て、恐怖の表情で口を開けて姉妹を見つめている。
写真は24日、空爆が襲った直後のシリア北西部イドリブ(Idlib)県アリハ(Ariha)をとらえた
もので、同国のニュースサイト「SY24」のカメラマン、バッシャール・シェイク(Bashar al-Sheikh)
氏が撮影した。イスラム過激派が支配するイドリブ地域は、4月下旬から頻繁にシリア政府とその
同盟国ロシアによる攻撃を受けている。
近くの病院で少女らを治療したイスマイル(Ismail)医師(本人の希望により名字は非公開)に
よると、一家の自宅は政府軍の空爆を受け、写真に写っている姉妹3人のうち1人が死亡し、
残る2人は生死の境をさまよっている。
イスマイル医師によれば、写真で幼い妹の緑色のシャツをつかんでいるリハム・アブドラ
(Riham al-Abdulla)ちゃん(5)は、空爆の直後に死亡。
がれきからぶら下がっていた妹のトゥカ(Touka al-Abdulla)ちゃん(7か月)は頭部を負傷し、
集中治療を受けている。
病院の集中治療室に入れられた生後7か月のトゥカ・アブドラちゃん
同じ病院の別の医師が明らかにしたところによると、
写真に写った3人目の少女ダリア(Dalia al-Abdulla)さんは胸部の手術を受け、現在は容体が
安定している。
病院の集中治療室に入れられたダリア・アブドラさん(9)(2019年7月25日撮影)
一家は両親と姉妹6人からなる8人家族だった。イスマイル医師は、リハムちゃんに加え、写真には
写っていない母親と別の娘が24日の空爆後に死亡したと説明。胸部と腹部を負傷した別の娘
ロワン(Rowane al-Abdulla)ちゃんも26日に死亡した。
病院の集中治療室に入れられたロワン・アブドラちゃん(3)(2019年7月25日撮影)➡死亡
シリア北西部イドリブ県アリハで、政権軍が実施したとされる空爆によって破壊された建物のがれきの中に紛れる車椅子(2019年7月24日撮影)
シリア北西部イドリブ県アリハで、政権軍が実施したとされる空爆の現場に集まる人々(2019年7月24日撮影)
がれきに埋もれた妹をつかむ姉 シリアの悲惨な現状