トルコ シリア難民に退去命じる動き。 住民とのあつれき表面化
2019年7月23日 19時15分 NHKニュース
内戦が続くシリアから多くの難民を受け入れてきたトルコで、一部の地域のトルコ人住民とシリア難民
とのあつれきが表面化し、地元の当局は無登録の難民に退去を命じる厳しい措置に踏み切りました。
シリアで混乱と内戦が8年以上続くなか、隣国のトルコはシリアからの難民を多く受け入れ、その数は
各国のなかで最も多い360万人に上っています。
一方、トルコ国内ではトルコ人住民の間からシリア難民に仕事を奪われているという不満も出ていて、
なかでも難民が多く住むイスタンブール県では先月、トルコ人住民によるシリア難民の店舗の襲撃事件が
起きるなど両者の間のあつれきが表面化しています。
こうした中、イスタンブール県は22日、無登録の難民に対し来月20日までに県内から退去するよう
命じる措置をとったと発表しました。
イスタンブール県では当局に登録している54万人の難民のほかに、無登録の難民が数十万人に
上っているとみられ、当局としては今回の退去命令でシリア人難民の数を減らすねらいがあると
みられます。
ただトルコではこれまでシリア難民に比較的、寛容な措置が取られてきただけに、今回の厳しい措置は
シリア難民の間に波紋を広げそうです。
シリア難民に退去命令で抗議集会 。トルコ イスタンブール
2019年7月28日 5時57分 NHKニュース
トルコのイスタンブールで、100万人規模と言われるシリア難民の居住者を減らそうと、地元当局が
無登録の難民に退去命令を出したことに抗議する集会が開かれ、参加者が「人道に反している」などと
当局の対応を批判しました。
トルコには各国の中で最も多いおよそ360万人のシリア難民が流入していますが、このうち100万人
規模が暮らしていると言われるイスタンブール県の政府は先週、無登録の難民は来月20日までに
県外に退去するよう命じると発表しました。
これに対し、トルコの援助団体の呼びかけで27日、イスタンブール市内で抗議集会が開かれ、
およそ100人が参加しました。
参加したトルコ人市民たちは「シリア難民はわれわれの兄弟だ」と書かれたプラカードを掲げ、
今回の退去を命じる措置は人道に反しているなどと訴えました。
一方、会場の近くではシリア難民を追い出すべきだなどと声をあげる人も出て、衝突を防ぐために
多くの警察官が配置される異例の集会となりました。
シリアの混乱と内戦が8年以上続き難民の滞在が長期化する中で、トルコ人住民との間であつれきも
表面化していて、イスタンブール県当局はシリア人難民の居住者を減らすために今回の措置を推し
進めていく構えです。