北京も上海も都市機能が停止、市外から戻ると「自宅待機14日間」
2020/02/08 20:32 読売新聞
【北京=小川直樹、上海=南部さやか】新型コロナウイルスの感染が中国湖北省武漢市で
初めて確認されてから8日で2か月がたった。北京や上海などでは都市機能が停止し、
経済・社会に深刻な影響が出始めている。中国政府は財政出動などなりふり構わぬ企業
支援に乗り出した。
飲食店やホテルなどが連なる北京市内の繁華街。8日の昼時、多くの店はシャッターを閉め、人通りはまばらだった=片岡航希撮影
中国では8日は春節の締めくくりとなる
元宵節(旧暦1月15日の節句)にあたる。本来はUターンが最後のピークを迎えるが、
上海市最大の交通拠点・虹橋駅は人影もまばらだった。
上海市は、市内企業に対し、春節の連休が明けた3日以降も9日まで営業を再開
しないよう指示している。イベントPR会社の男性社長(39)は市内の経済活動
停止のあおりで「1~2月の契約は全て取り消しになった」と嘆いた。
北京市でも、企業活動は9日まで自粛状態にある。北京市当局によると、5日時点で
市内の飲食店で営業しているのは13%にとどまっている。多くの住民が外出を
手控える中、個人消費に頼らざるを得ない飲食業などで今後、経営悪化が相次ぐ
恐れがある。
中国の国内経済は感染拡大前から減速傾向にあったが、一層の冷え込みが避けられ
そうにない。中国財務省は、中小零細企業への支援も視野に、付加価値税や法人税、
個人所得税などの軽減措置を打ち出した。
中国人民銀行(中央銀行)は企業の資金繰りを支えるため、低金利の融資枠3000億元
(約5兆円)を新たに設けた。企業の金利負担が1・6%より低くなるよう、貸出金利の
一部を当局が負担する利子補給などを行うという。
しかし、大都市の経済活動を支える地方から労働者が職場復帰するには時間がかかると
みられ、多くの企業の活動本格再開の時期は見通せない。北京や上海では、市外から
戻った人には原則として14日間の自宅待機を求めているためだ。
国内メディアの報道を総合すると、武漢市と同様に人の移動を制限するなどの事実上の
封鎖措置を取る地方都市は40以上に上る。中国政府がUターンのピークを分散させる
方針を打ち出したことに伴い、1月30日以降の全国の鉄道の旅客輸送量は通常の
5分の1にとどまっている。
重慶市も外出禁止令がだされた。