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北極圏まで手を出す中国:グリーンランドの地下資源と北極圏の軍事拠点を狙う中国

2018-09-12 14:27:40 | 中共日本浸透工作・中共浸透工作・一帯一路・中国経済侵略

グリーンランドの地下資源と北極圏の軍事拠点を狙う中国

China Wants to Build Greenland Airport

2018年9月11日(火)15時00分   Newsweek  ジェイソン・レモン
 

グリーンランドの氷の下と北極海には豊富な地下資源が眠っているとされる 


<グリーンランドの空港建設に中国企業を入れるか否か。デンマークは安全保障上の懸念から反対するが、

開発を進めたいグリーンランド自治政府に中国の手が伸びる>


北欧デンマークの自治領グリーンランドで計画されている3つの新空港建設プロジェクトを中国のインフラ大手

「中国交通建設」が受注したことに、懸念の声が上がっている。同島にある米空軍基地の運用が脅かされる

可能性があるという。


世界最大の島グリーンランドは人口わずか5万6000人程度で、移動や輸送を空路に大きく依存している。そのため

自治政府は、推定6億ドルをかけて3つの新空港を建設しようとしている。


軍事情報誌ディフェンス・ニュースによれば、かつて汚職などを理由に世界銀行のブラックリストに名を連ねた

こともある国有企業の中国交通建設がこの建設プロジェクトの入札に手を挙げ、同社を選んだ。

だが、アメリカの同盟国でグリーンランドの安全保障を担うデンマーク政府はこの決定に難色を示した。

だがグリーンランド自治政府は、中国の参加は真剣な検討に値する、と支持している。


中国が北極圏でも影響力を拡大しつつ世界各地の交易路の支配権を握ろうとするなか、一部の専門家は、

中国がグリーンランドのインフラに投資を行うことで、同島にある米空軍のチューレ空軍基地が島から追い出され

かねないと懸念する。


同盟国アメリカへの影響を憂慮

デンマーク王立防衛大学戦略研究所のジョン・ラーベククレメンセン准教授はディフェンス・ニュース誌に対して、

次のように語った。「グリーンランドで中国がプレゼンスを増大させれば、同島におけるアメリカの立場は複雑な

ものになる。最終的に中国がグリーンランド自治政府に圧力をかけて米軍を撤退させるか、あるいは中国が同島で

自前の軍または軍民共用のプレゼンスを確立しようとするかもしれない」


デンマークのある高官もロイター通信に対し「中国はこれまでグリーンランドとの取引実績がなく、我々も憂慮している」

と語った。


デンマークは1951年にアメリカと協定を結び、米政府に対してグリーンランドの領土をほぼ無制限に使用する

権利を付与している。またディフェンス・ニュース誌によれば、デンマークはグリーンランドの外交と安全保障の

すべてを担っているものの、海外企業からの投資については法律上のグレーゾーンになっているという。


過去には、2016年に中国企業がグリーンランドにある旧米海軍基地施設を買収する案を持ちかけた際、

デンマーク政府は米政府の希望を受けてこれを阻止した例がある。


中国からの投資の問題は、グリーンランドに内紛をもたらしている。AFP通信によれば、空港やその他の

インフラの建設プロジェクトの進め方をめぐる対立から、9月10日に連立政府が崩壊したばかり。

デンマーク政府が中国企業の空港建設参加を阻止しようと介入しようとしたことに、左派のナレラック党が反発して

連立を離脱したのが原因だ。


日本も注意

 

北海道の開発含む 中国「氷上のシルクロード」東京ですでに説明会

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参考

グリーンランドに3空港開発 デンマーク政府、中国企業の排除示唆

 2018年06月20日 14時10分   THE EPOCH TIMES

 
グリーンランド西北部にあるチューレ空軍基地(米国空軍)

デンマーク政府は最近、同国自治領グリーンランドでの3つの航空建設プロジェクトで、中国企業が関わることに

「安全保障政策に考慮するべきだ」として排除を示唆した。


欧州と北米の間に位置する氷河の島グリーンランドは、デンマーク政府が外交と安全保障を担う自治領。


グリーンランド政府は3月、3つの航空建設プロジェクトの入札に手を挙げた5カ国の11企業から、中国交通工業集団を

選択したと発表した。投資額は4.2億ドルとされる。


米国の同盟国であるデンマークは、中国資本がインフラに関与することに難色を示している。

政府は「空港建設プロジェクトは規模が大きく、外部協力者に頼る部分が大きい。そのため安全保障政策の側面から

見る必要がある」との見解を示した。


2016年にもデンマーク政府は、中国鉱業・俊安グループが、グリーランドにある旧米海軍基地施設を買収する案を

持ち掛けたが、拒否した。


グリーンランドは米国と欧州にとって重要拠点となっている。氷河の島々を通りぬける、欧州と北米を結ぶ最短の

航海ルートがある。

西北部にチューレ空軍宇宙基地が置かれ、人工衛星を追跡・管制している。また、弾道ミサイル早期探知システムも

設置されている。

 

一帯一路 北極海開発は第3ルート

中国の大規模構想「一帯一路」の第3ルートとして、中国政府は2018年1月、アジアとヨーロッパ間を結ぶ

北極海ルートの開発計画も発表した。

 

「氷上のシルクロード」と呼ばれる北極海ルートは、中国発ルートなら、北朝鮮の日本海側の港から、津軽海峡を

通って釧路港と苫小牧港をめぐり、さらにロシアを北上、北極海を西へ渡り、ノルウェーや英国などの

港湾都市とつなぐ。


デンマーク政府高官は匿名でロイター通信の取材に対して、グリーンランドに食指を伸ばす一帯一路政策について

「深く懸念している」と述べた。


「中国がグリーンランドに出る幕はない。デンマークは同盟国である米国の重要な防衛に関わる、

大きな責任を負っている」と述べた。


グリーンランドのキム・キールセン首相は2017年末に北京を訪問し、このたび入札した中国通信建設のほか、

北京建設技術集団、中国輸出入銀行の代表らと会談した。


欧州系メディアEURACTIVは、フランスの上院欧州問題委員会副議長アンドレ・ギャットリン氏と

北極欧州問題専門家ダミアン・デジョージ氏による共著の記事で、「中国の裏庭である南シナ海の中国と米国の

対立と同時に、米国の裏庭であるグリーンランドの中国投資は進んでいる」とした。

両者によると、自治能力の未熟なグリーンランドが中国投資を受けることは、ほかの地域と懸念すべき性質も

異なるという。グリーンランドは2009年、デンマーク議会で自治法が制定されたが、自治機能には当時から

疑問視されていた。


両者は記事のなかで「欧米の地政学から、重要地域であるにもかかわらず、グリーンランド当局は外交、防衛、

政治面において成熟した議論がなされていない」と問題を指摘している。


「中国の戦略的なグリーンランドとの関係は、グリーンランドの自治を揺さぶり、デンマークを超えた枠の

緊張材料になりうる」「欧州は強い政策で対抗しなければ、瞬く間に、中国の利益によってグリーンランドの

立場を失うだろう」と分析を示した。


ロイター通信によると、空港建設作業は10月に開始する予定だという。しかし、同高官は、デンマーク政府は

グリーンランドにおけるインフラ投資を拒否することは可能だという。


 
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北極圏の膨大な資源をにらむ中国はなぜ、アイスランドからデンマーク領グリーンランドに照準を移し始めたのか
 
2012年10月06日 21:13  BLOGOS  木村正人


中国がグリーンランドで資源獲得に動き始めた本当のねらいは何なのか。デンマークとグリーンランドに約10年間居住、

日本に帰国してからグリーンランドを研究テーマにしている北海道大学スラブ研究センターの日本学術振興会特別研究員、

高橋美野梨氏(30)に電話インタビューした。



――グリーンランドの資源開発はどんな状況か

「地球温暖化でグリーンランドの氷床が融解しているとはいえ、資源採掘が商業ベースに乗っているわけではない。

中国がアイスランドからグリーンランドへ関与の度合いを強めているのは、アイスランドは北極評議会のメンバーだが、

北極海に関し国連海洋法条約(UNCLOS)に基づく排他的経済水域(EEZ)や大陸棚の帰属を主張できる

当事国ではないことがある。グリーンランドはデンマーク領で非国家主体とはいえ、地理的にも法的にも北極海の

資源利権について関与できる立場にある。グリーンランドへの接近は中国が北極海にあからさまな関心を持ち始めた

ことを意味している」


――中国が資源開発のためグリーンランドでインフラ整備を進める可能性は

「グリーンランドは2009年の自立法で域内資源の所有権を認められ、デンマークもグリーンランドの自己決定権を

尊重している。中国がグリーンランド内で資源の試掘権を得て、アフリカに進出した際と同じようにインフラ整備を

進めることができる。グリーンランド自治政府のクーピック・クレイスト首相はしっかりした人物だが、中国が

非国家主体のグリーンランドを取り込んでしまう恐れは否定できない」


――グリーンランドにはチューレ米空軍基地があり、中国が報道にあるようにジャンボジェット用滑走路を

建設した場合、安全保障上の摩擦は起きないのか

「米国はアイスランドのケフラヴィーク米軍基地から完全撤退することを決めた2000年代、グリーンランドの

チューレ空軍基地を強化した。冷戦終結でアイスランドの地政学上の意味は大幅に低下した。

これに対し、チューレ空軍基地にはレーダーが設置され、アラスカ、英国を結ぶ“北大西洋の三角形”を形成、

ミサイル防衛(MD)の重要な一翼を担っている。中国がグリーンランドに空港を建設する場合、グリーンランド、

中国、米国間でどんな協議が行われるのかを今の段階で的確に予測するのは難しい」


――デンマークはかなり親米だが

「デンマークが中国に近づいているというより、中国がデンマークに近づいてきている。アルコアの工場ができる

グリーンランドの地域には、中国人労働者が大量に流入してチャイナタウンができるのではとウワサになっている。

しかし、北極海の権益など“域外問題”についてグリーンランドは国家主体のデンマークの枠組みで行動するため、

中国が影響力を行使するのは難しいと思う」


※高橋氏の論文「北極利権問題とデンマーク “地理的中立”に基づく外交的リーダーシップをめぐって」

https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/61264/1/04Takahashi.pdf


アメリカ政府機関地質調査所(USGS)の調査によると、北極海域には推定900億バレルの原油、

推定1,670 兆立方フィートの天然ガス、そして推定4,400万バレルの天然ガス液(このうち84%は沖合にある)が

存在しているとされる。これらは、未発見資源埋蔵量の約22%に相当する。


UNCLOS第77 条「大陸棚に対する沿岸国の権利」には、沿岸国は「大陸棚を探査し及びその天然資源を開発するため、

大陸棚に対して主権的権利を行使する」ことが可能になると規定されている。沿岸国は「大陸棚限界委員会」における

検討を経て出される勧告に基づき、大陸棚の限界線を設定することが可能になる。


北米大陸の北東に位置する世界最大の島グリーンランドは約218万平方キロメートルの面積を有しており、

「本土デンマーク」の約55 倍に相当。


グリーンランド自治政府によると、グリーンランド領域内には、少なくとも推定埋蔵量がサウジアラビアの

約42%に当たる1 兆100億バレルにのぼる油田や北海の3分の1に当たる20億バレルの油田があると予想されている。

石油メジャーのエクソン・モービル、シェブロン、ドン・エナジー、ハスキー・エナジー、エンカナ、

スタットオイルなどが掘削・採掘調査及び開発の権利を獲得している。


デンマークは2009 年7月、国会で、北極利権問題に対応するための拠点として、戦闘機や即応部隊の創設を含む

「北極司令部」の創設を承認している。

追加:英紙フィナンシャル・タイムズによると、ロシアも「北極部隊」2個旅団を創設することを表明している。


木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト。元産経新聞ロンドン支局長。元・米コロンビア大東アジア研究所客員研究員。元慶応大大学院非常勤講師(憲法)。京都大法学部卒。