TikTokで炎上が増加中--自分から「#炎上したい」若者も
“TikTok炎上”はなぜ起きるのか。また、今の若者たちの炎上に対する考え方も変わってきており、
その実態もお伝えしたい。
増加するTikTok発の炎上事件
最近、TikTokの投稿から炎上事件が立て続けに起きている。2018年12月、四国地方の
男子高校生が、コンビニ店内の冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出して
飲む動画がTikTokに投稿され、炎上した。動画内では、制服姿の男子高生が購入前にも関わらず
ペットボトルの蓋を開け、「うまい、あー、うまい」と飲んでむせる姿が映っている。
この動画は、投稿後すぐにTwitterに転載されて炎上。実は商品は購入済みだったが、
「面白い動画を投稿したい」という理由で投稿していた。高校は販売記録を確認し、生徒が
購入済みだったことを確認した上で、店舗に迷惑をかけたとして生徒を連れて謝罪に赴いている。
元動画は削除されたものの、あちこちに転載された動画はまだ見られる状態となっており、
再生数は数百万回を超えている。個人情報も特定されて公開されてしまっている。
また2019年2月には、北九州の男子中学生がフェンスを乗り越えて線路内に立ち入り、
ダンスを踊る動画をTikTokに投稿。動画は削除されており、生徒は保護者とともにJR九州に
謝罪したという。この事件はテレビ番組で取り上げられただけでなく、まとめサイトなどで
動画が見られる状態となっている。
このように、TikTokに投稿された動画から炎上している事例が増えているのだ。
TikTok動画は保存、転載がとても簡単
TikTokにはもともと、動画を視聴したユーザーが簡単に保存できる機能が用意されている。
設定から、「自分の動画をダウンロードできる人」を「オフ」にしない限り、視聴したユーザーは
誰でも保存できてしまうのだ。
もし「オフ」にしてあっても、iOS11から搭載された「画面収録」機能などを使えば録画は
可能となる。誰でも見られる場に問題ある動画を公開していたことで、Twitterなどに動画を
転載されて炎上につながっているというわけだ。
(左)視聴したユーザーは誰でも動画を保存できる、(右)iPhoneの「画面収録」機能などを使えば録画は可能
「炎上系」ハッシュタグが若者に人気
同時に、若者の間で「炎上」に対する感覚が変化しつつあることをご存知だろうか。
「やばい、炎上するって」「きゃははは」「炎上上等」などとやり取りをしている高校生を
見かけたことがあるが、「炎上」がライトな扱いを受けていることは少なくない。
たとえばTikTokでは、「#炎上」「#炎上覚悟笑笑」「#炎上系tiktoker」「#炎上願う」
「#炎上求む」「#tiktokを炎上させたい」などの、炎上を願うハッシュタグが少なくない。
そのようなハッシュタグは、当人が自分の動画につけているものであり、動画内容自体は特に
問題ないものがほとんど。単純に「バズりたい」くらいの意味で使っているようなのだ。
「炎上=恐ろしいこと、避けたいこと」と思い込んでいた筆者には驚きの結果だ。
Twitterでも「#炎上したい」「#炎上希望」などのハッシュタグが同様の目的で使われている
様子が見られる。
若者の間では、炎上に対する警戒意識が弱まっているのかもしれない。炎上を理解していない、
転載されて炎上する事例が増えていることを知らないという可能性も高い。このような意識の
変化が、炎上増加を促進している面があるのではないか。
まとめ、転載されやすいTikTok
TikTokは保存、転載しやすい上、非公開設定にしない限り、基本的に誰からも見られるものだ。
悪意を持って炎上させたいユーザーでも見られるし、転載もできるということになる。
YouTubeでも、「有名YouTuberの友達と嘘をついて炎上した人のTikTokです。名前は○○。
TikTokで探してみてください」などと、ある動画を晒しものにしている、ほぼいじめのような
例を見かけた。投稿しているアカウントはその動画しか投稿していないため、晒すことが目的で
アカウントを作成したことは明らかだ。
言うまでもないが、炎上はバズることとはまったく違う。個人情報が特定されると、
自分の本名で検索すると炎上事件が表示されるなど、社会的に大きなデメリットを被ることになる。
目立ちたいなどの理由で問題ある動画を投稿しないよう、周囲の子どもたちに注意してあげてほしい。
また、問題はなくても「可愛い」あるいは「むかつく」などの理由で転載されている例も多いので、
安易に自撮り動画を投稿するリスクは伝えておくべきだろう。
事件を起こしたユーザーの多くは、「注目されたかった」「面白い動画をあげたかった」などと
答えている。承認欲求に駆られ、不特定多数が見る場ということを考えずに投稿してしまうため、
炎上につながっているのだ。