ドイツ政府がアビガン購入決定。数百万錠、重症者に投与の方針
2020/4/2 20:50 (JST)4/2 21:21 (JST)updated 共同通信社
【ベルリン共同】ドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネなどは2日、同国政府が
新型コロナウイルス感染症の治療薬として、日本で開発されたインフルエンザ薬
「アビガン」の購入手続きに入ると報じた。数百万錠単位になるとみられ、重症者に
投与する方針という。ドイツの専門家は治療効果が期待できると述べた。
アビガンは富士フイルム傘下の製薬会社「富士フイルム富山化学」(東京)が
開発した。中国の研究で肺炎患者の症状が改善したとの報告があり、日本でも臨床試験が
進んでいる。
同紙によると、死者が激増するイタリアでも臨床試験が行われているほか、
インドネシア政府も多数を発注した。
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新型コロナ感染症の承認取得へ「アビガン」国内治験開始―富士フイルム富山化学
2020-04-01 日本医事新報社
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬の有力候補として注目されている抗インフル
エンザウイルス薬「アビガン錠」(一般名:ファビピラビル)について富士フイルム富山
化学は3月31日、承認取得に向け国内での治験(国内第III相試験)を開始したと発表した。
100例対象に治験、6月末までに終了
治験実施機関は公開されていないが、同社は、COVID-19患者100例を対象にアビガン
投与時の治療効果と安全性を確認し、「6月末までに治験を終了したい」(広報担当)
としている。
アビガンは、同社が開発し、新型・再興型インフルエンザ発生時に国の判断で使用できる
医薬品として2014年3月に承認。ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することで
ウイルスの増殖を防ぐというメカニズムを持つことから、インフルエンザウイルスと
同種のRNAウイルスである新型コロナウイルスへの効果が期待されている。
「アビガン」の作用メカニズム(富士フイルム広報資料より)
「ニーズに応えるため、増産加速させる」
政府は今年2月下旬にアビガン増産の検討を同社に要請。これを受け、同社は3月上旬に
生産をスタートさせていた。今後の増産体制について富士フイルムグループは
「日本政府や各方面から寄せられているニーズに応えるため、国内外のパートナーとの
連携体制を構築し、増産を加速させていく」としている。
アビガンについては、中国の臨床研究で高い改善率が報告されていることから、開発に
携わった白木公康氏(富山大医学部名誉教授)が日本医事新報への緊急寄稿などで
COVID-19ハイリスク患者への使用開始を主張。感染症を専門とする臨床医の菅谷憲夫氏
(けいゆう病院感染制御センター長)も日本医事新報に寄せたコメントで、
「COVID-19流行は日本の緊急事態」として「今こそアビガンの使用を解禁すべき」と
訴えていた。
研究者や臨床医から早期承認を求める声が相次ぐ中、安倍首相は3月28日の記者会見で、
「(COVID-19治療薬として)アビガンを正式に承認するに当たって必要となる治験プロセス
も開始する」と表明。アビガンの効果について「ウイルスの増殖を防ぐ薬であり、
既に症状の改善に効果が出ているとの報告もある」と高く評価する姿勢を示していた。