トルコの原発 ロシアは建設に着手 日本は費用見直し
2023年、建国100周年をトルコは同国初の原子力発電所2基の稼働開始による記念を計画していた。
うち1基は同国南部でロシアが、2基目は北部で日本が建設する。建設の合意はすでに数年前にこぎつけられているが、
今に至るまで原発の敷地すら準備ができていない。
プーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は4月上旬、トルコ初の原子力発電所「アックユ」の建設をスタートした。
原子炉4基が建設され、年間350億キロワット時の電力を発電する。総投資額は220億ドル(約2.4兆円)と見積もられる。
耐用年数は60年で、さらに20年間の延長が可能だ。
トルコ初の原子力発電所「アックユ」の建設所
地中海沿岸に建設されるアックユ原発はトルコ共和国の建国100周年にあわせ、2023年に稼働開始を目指している。
同時に、トルコが日本と建設契約を結んだもう1つの原発の稼働開始も予定されている。立地は黒海沿岸の同国北部スィノプとなる。
三菱重工が仏原子力大手オラノ(旧アレバ)と共同で建設に取り組む予定。同原発でも原子炉4基で年間400億キロワット時の
電力を供給する計画だ。当初の建設費用はロシアと同様の220〜250億ドルと見積もられていた。
ロシアとトルコが建設契約を結んだのは2010年5月で、トルコと日本は2013年に調印したことは注目に値する。
当然、こうした複雑な施設の建設は海外ならなおさら、長い準備作業を必要とする。しかし、調印から建設開始までの期間は
長すぎはしないか?これは他の要因と関係していないか?そして、福島第一原発事故は原発輸出にどのような影響を与えたのか?
スプートニクのこれらの質問に対し、原子力関係のサイト「アトムインフォ」のアレクサンドル・ウワロフ編集長が答えた。
「原発を建設する合意に調印した後は、それがどこであれ、大量の合意と膨大な準備作業が続く。政治が関与することもある。
例えば、トルコでのロシアの原発建設は、2015年11月にトルコ空軍によってロシア機が撃墜された事件を
受けて『凍結』された。
これは不可抗力だった。しかしいずれにせよ、膨大な時間が建設許可や環境分野での許可、地形の構造研究、地質学的および
地震学的調査、物流能力や現地サプライヤーの捜索、原発敷地への搬入道路、その他建設に不可欠なインフラなどを含む
現地の準備作業に向う。
日本のプロジェクトに関しては、メディアでは日本の言及の方が多いがこれは仏日共同プロジェクトで、主導権を握るのは
フランスであり、日本は私が知る限り、それに資金を出している。同原発でフランスの原子炉『Atmea 1』設置が予定されている。
しかし、日本側が実際の費用は当初の見積もりを大きく上回る可能性が高いと発表したことは最近のことだ。
日本がトルコ側に、費用を再計算するため2023年までに1基目の稼働を開始させることは難しいと伝えると、
トルコは大きな不満を示した。ともかく、スィノプではまだ一切の作業が行われておらず、事態がどう進行するかは明らかではない。
そして4基全ての稼働開始は2028年までを予定されている。」
ウワロフ氏によると、福島第一原発事故の後の原発の安全要件の厳格化も、両原発の建設に直接関係している。
「ポスト福島の教訓は専門家によって抽出され、学習されている。前例のない安全対策が策定された。
もちろん、これらはプロジェクトを高額にし、建設期間を長期化する。そして、私の見解では一部の対策が厳しすぎるとはいえ、
世論が懸念を覚えているならば、こうした費用もやむを得ない。」