EMERALD WEB≪拝啓 福澤諭吉さま≫

政治・経済・生活・商品情報などさまざまな話題で情報を発信してます。

中国、喪失の豚2億頭か ASF猛威 養豚半減、豚肉生産25%減の分析

2019-10-18 01:15:25 | 医療・疾病・疫病・パンデミック・新型コロナウイルス

中国、喪失の豚2億頭か ASF猛威 養豚半減、豚肉生産25%減の分析 

2019.10.16 07:04  Sankei Biz
 
 原文 Bloomberg

 

 

 アフリカ豚コレラ(ASF)の拡大・蔓延(まんえん)により、中国で豚の大量死が確認されるように

なってからほぼ1年がたつ。しかし、専門家はいまだに、失った豚の数を正確に把握できていない。

中国・杭州市にある精肉マーケット。ASFの影響により中国の食肉価格は一段の上昇が予想される(AP)

 中国の公式統計によると、ASF撲滅のために約120万頭の豚を殺処分したことになっている。

これに対し、ラボバンクは先月、中国の養豚数が昨年8月以降、2億頭に半減し、豚肉生産量は

25%減(1300万トンの減少)と、「かつてない規模」の落ち込みになったとする分析を披露した。

2億頭減少したとすれば、中国当局の発表は実際に殺処分された豚の数を少なく見積もったことになる。


 一方、中国の農業農村省によると、今年8月の豚肉の在庫は、ASFウイルスが初めて国内で検出

された前年同月から39%減と大幅に縮小した。米農務省は中国の養豚数が2017年に

7億400万頭と世界全体の55%を占めたものの、(ASFが発生した)18年の年末には

4億2800万頭まで減少し、20年も5億700万頭と20年来の低水準にとどまると予想する。

18年末の数字に基づくと、8月の在庫減少分は1億6700万頭の喪失に相当する。

 

 業者立ち行かぬ状況

 国連食糧農業機関(FAO、本部ローマ)のファン・ルブロス主席獣医官は「膨大な数だ。ASFで

死んだ豚の数はなおさらのこと、ウイルスが検出された場所の全頭殺処分だけでなく、恐らくは養豚業が

立ち行かない状況を示している」と話した。


 動物用医薬品・栄養剤メーカー、米フィブロ・アニマル・ヘルスのジャック・C・ベンドハイム

会長兼最高経営責任者(CEO)は先月開催されたモルガン・スタンレー・グローバル・ヘルスケア・

コンファレンスで「中国でASFが急拡大する様子に皆、ショックを受けた。同国で消えた豚の数は他の世界の地域・国の養豚数を合算した数を上回る。従ってその影響は甚大かつ一目瞭然で、中国は壊滅的な

影響を受けている」と語った。


 世界最大の動物向け医薬品メーカー、米ゾエティスのストラテジー&コーポレートディベロップ

メント担当のグループ・プレジデント、クリスティン・ペック氏は同じ会議で、「中国政府の話の

何を信じるかによるが、(失われた豚の数が総数に占める割合は)30%から70%の範囲だ。

30%だったとしても、失われた量は既に米国の年間豚肉生産量を上回っている」と指摘した。


 世界最大の豚肉生産国であるとともに消費量も世界一の中国が、主なタンパク質源である豚肉から

受ける影響を数量化するのは重要だ。同国では豚肉の供給が落ち込んだことで食肉価格は過去最高値に

上昇し、物価上昇をあおっている。

 

 ラボバンクで動物性タンパク質分野を担当するシニアアナリスト、パン・チェンジュン氏(香港在勤)

は9月27日のインタビューで、例年10~12月期に食肉価格は最高値となることから、豚肉価格は

年内に一段高となる可能性があると指摘した。

 

 動物遺伝学研究開発で最大手の英ジーナスのカリム・ビタールCEOは9月5日の電話会議で

「中国では豚肉は重要だと説明するしかない。ASFの影響で豚肉供給量はさらに縮小し、

(発生前の)およそ40%程度にまで沈むかもしれない」と語った。


 輸入で穴埋め不可能

 7月に米農務省は、中国には養豚数と豚肉生産量を把握するための信頼できる手段がなく、豚肉の

不足分を正確に算出するのは不可能だとの見解を示している。中国における豚肉生産の半分は民間の

食肉処理場が手掛けている。


 それでもオーストラリアの羊肉生産者団体「ミートアンドライブストックオーストラリア(MLA)」

のアナリスト、ティム・ライアン氏(シンガポール在勤)は、公式ルートで報告された食肉処理の

データは「かなり大幅な養豚数の減少を示している」という。同氏は「(減少幅が)25%、

あるいは30%であれ、大きな数だ。国民を養うという点から、どれだけ不足しているかは重要だ。

さらに、世界貿易への影響という点でも不足分が40%の場合は言うまでもなく、20%であっても

輸入豚肉で穴を埋めることはできない」と語る。


 ラボバンクのパン氏は、中国がASF発生前の水準に戻るには、5年以上はかかりそうだと話す。

ただ、都市部の中国人は50~80%も値上がりした豚肉価格だけではなく、その品質と安全性を

めぐる懸念から豚肉以外のタンパク質へと移行しており、豚肉生産量が完全に元に戻ることはなさそう

だとパン氏は予想する。

 
 人気ブログランキング