イチロー3000本安打がアメリカで絶賛される理由
<今週ついにメジャー通算3000本安打の偉業を達成したイチロー選手。現役選手の頂点に立っただけでなく、42歳の年齢を感じさせずストイックに野球に取り組む姿勢は、アメリカ球界で揺るぎない評価を受けている>(写真は7日の試合で3000本安打を達成したイチロー選手)
今週7日、フロリダ・マーリンズのイチロー選手は、デンバーのクアーズ・フィールドでのコロラド・ロッキーズ戦に先発出場し、第4打席
に三塁打を 打ってメジャーリーグでの3000本安打を達成しました。これは史上30人目、つまり100年を越えるアメリカのプロ野球の
歴史の中で30人しかいない 「最高のクラブ」の仲間入りを果たしたことを意味します。
日本の一部からは、「アメリカではそんなに評価されていない」という論調も見られましたが、そんなことはありません。達成の瞬間の
実況だけでなく、スポーツ専門局での扱い、そして一夜明けた一般の新聞での扱いは大変に大きなものでした。
例えばニューヨーク・タイムズの場合は、スポーツ別刷りの1面の上に「3000」という数字とともに見出しが出ており、2面にはほとん
ど全面を使って「その瞬間」の大きな写真とともにデビッド・ワルトシュタイン記者による長文の賛辞が掲載されていました。
ニューヨークは、イチロー選手が2年間ヤンキースでプレーした「縁」がある街です。ですから、高い関心があるのかもしれませんが、
それにしても同記者の記事はまぶしいほどの賞賛の言葉で埋め尽くされていました。
なかでも、マーリンズのマッティングリー監督が多くのケガを抱えて3000本には遥かに及ばない2153本で終わっていることをふまえ
て、 「(3000というのは)途方もない数だ。長い期間プレーしなくてはいけないし、大変な準備をして、自分のコンディションを維持しなく
ては達成できない。 単なる記録以上の意味がある」という監督の言葉を紹介していました。ワルトシュタイン記者も、そしてニューヨーク
の野球ファンも、まったく同じ感想を抱い たと思います。
では、どうしてここまでの高評価がされるのでしょうか?
まず1点目は、事実上「メジャーリーグの現役選手の頂点に立った」ことがあります。確かに達成した7日の時点では、イチロー選手の
上にアレックス・ ロドリゲス選手(愛称は「Aロッド」、ヤンキース、通算安打数3114本、歴代20位)という存在がいました。ですが、まっ
たくの偶然ながら、同じ7日に Aロッド選手は引退を発表、12日に本拠地で行われるレイズ戦に出場した後にチームの登録から外れ、
球団のアドバイザーに就任することになりました。
つまり12日以降は、歴代30位だとか、アメリカ出身者以外では4人目だという以前に、イチロー選手はメジャーの「現役最多安打の
記録保持者」という存在になるのです。これは大変な重みがあります。
2点目としては、世代の問題があります。イチロー選手が、アメリカにやってきてマリナーズで大活躍した時、その人気は全国的でし
た。新人でいきな り首位打者とMVPを獲得、また今でも衰えない守備力などは強い印象を与えたのですが、特に2000年代の後半に
おいては全米の野球少年にとって、大変な 憧れの的になっていたのです。2007年のオールスターで史上初の「ランニングホーマー」
を打ってMVPを獲得したことも、語り草になっています。
イチロー選手は、日本では決して小柄な方ではありませんが、メジャーの中では比較的小柄であり、その引き締まった体型も含めて、
野球少年にとって は親近感がありました。筆者はニュージャージー在住で、マリナーズの地元シアトルとは何の関係もありませんが、
子どもたちのリトルリーグの中で「背番号 51」が争奪戦になったのを覚えています。
そのように2000年代にイチロー選手の活躍を見て育った世代が、社会人になって「自分のお金でチケットを買って」イチロー選手を
応援したり、ス トリーミング中継でマーリンズの試合を見たりしているのです。この「2000年代の野球少年の憧れだった」位置付けは
今でも重要です。
3点目としては、これは野球界の「イヤな」部分に属する話ですが、その2000年代というのは、メジャーリーグが「薬物使用問題」で大
きく揺れた 時代でもありました。そのスキャンダルの中にあって、異常に作られた筋肉を使って本塁打を量産する打者ではなく、イチ
ロー選手のシャープな打撃はとりわけ 野球ファンに大きくアピールしたのです。
薬物の問題で言えば、イチロー選手がやがて抜くであろうラファエル・パルメイロ選手(3020本)や、大台に届かなかったバリー・ボン
ズ選手 (2935本、現在はイチロー選手の属するマーリンズの打撃コーチ)といった人々は、薬物使用の問題から「野球殿堂入り」が見
送られました。彼らが「影の 部分」である一方、イチロー選手の真摯な姿勢は球界の「明るい希望」を象徴していると言えるでしょう。
4点目は、その俊敏なプレースタイルを42歳の現在まで維持していることです。30代の後半で急速に力が落ちる選手が続出する中、
イチロー選手は走 力にしても、肩の力にしても、そして何よりも引き締まった体型の維持ということではまったく衰えを感じさせません。
そのことは、まさにマッティングリー監 督が言うように「単なる記録以上の意味がある」わけで、多くの野球ファンはそのことを良く知って
賞賛しているのです。
そして5点目に、この「メジャー3000本」に先立って、「日米通算4257本」を打って「ピート・ローズを超えた」際に、「日米通算の数字
に意 味があるのか?」という論争がありました。それも微妙に影響しています。そのときイチロー選手自身が、「ローズ選手に祝福して
もらえないなら通算した数字 には意味がない」と語ったのは、アメリカでは非常に有名になっていて、好感をもって受け止められていま
す。
そのために、今回の「3000本」に関する報道では、上記のニューヨーク・タイムズもそうですが、「本人は通算に意味はないと言って
いるが」と 断ったうえで、「実は日米通算ではとっくにローズを超えた前人未到の領域にいる」と説明されています。自らは誇らなかった
ゆえに反対にメディアが勝手に通 算成績も参考記録として拡散してくれている、というわけです。
このように、今回の記録がアメリカで極めて高い評価を受けていることは、揺るぎない事実です。
ドラフト4位でオリックスに入団した、眉は太く、体は細い、かわいい新人がこんな偉業を成し遂げるなんて当時だれが想像しただろう。
本当に感動をありがとう。
精悍ですね~
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米国はこう見ている】最多安打ローズ氏、イチロー3000安打には異論挟まず「偉大な打者」と称賛
日米合算記録には“苛立ち”も…3000安打に「とてつもない打者」「尊敬してる」
マーリンズ・イチロー外野手の3000安打達成を受け、MLB公式サイトが3000安打達成者のコメントを伝えた。その中で、イチローが日米通算安打で4257安打を記録した際に少なからずを苛立ちを見せていたピート・ローズ氏がその偉業を素直に称えている。
イチローは今年の6月に日米通算で4257安打に到達。ローズ氏の持つメジャー最多4256安打を上回ったことで、米国内では日米合算の記録を認めるかどうかで論争が沸き起こった。
ローズ氏も記録達成が近づくと米メディアに「イチローの功績にケチをつけようというわけじゃない。殿堂にふさわしいキャリアだ。だが、これじゃいつかは高校時代の記録まで含むようになってしまうだろう」などとコメントしていた。
しかし、イチローが7日(日本時間8日)の敵地ロッキーズ戦で達成した史上30人目の3000安打については素直に賛辞を贈っており、「3000安打を 放った者は誰もが偉大な打者だ。イチローはとてつもない打者だ。3000安打は自動的に彼を殿堂入りにさせるものだし、少なくとも私はそうすべきだと思 う。スピードと強肩を兼ね備えた偉大な打者だ。とても尊敬しているよ。3000本打つのはどれほど大変か知っているからね。3000安打クラブにホームラ ンヒッターではない打者が入って良かった」とコメントしている
ジーター氏 イチローの偉業を祝福「彼は真のプロフェッショナル」
2016年8月8日 スポニチ
マーリンズのイチロー外野手(42)が7日(日本時間8日)のロッキーズ戦で三塁打を放ち、メジャー史上30人目となる通算3000安打を達成。この偉業にヤンキース時代のチームメートであったデレク・ジーター氏(42)が祝福のコメントを寄せた。
ジーター氏のコメントはヤンキース球団を通じて発表。自身もメジャー歴代6位の3465安打を記録した同氏は、「友人であり、チームメートであったイチ ローへ。3000本安打クラブ入会おめでとう」とまず冒頭で日本のヒットキングを祝福。「対戦相手として競え合えたこと、また、チームメートとして共にプ レーできたこと。どちらも自分にとって幸運なことだった」と続いた。
さらにジーター氏はイチローの野球に対する真摯な姿勢を賞賛。「彼にとって野球は単なるゲーム以上の存在。職人芸のようなものといえよう。休むことなく厳 しく自分を律しながら試合に取り組む姿は真のプロフェッショナルだ」とあり、「メジャー通算3000本安打達成でまたひとつ彼は野球選手としての功績を築 き上げた」と結ばれていた。
3000本安打達成のイチローの偉業と名言に、韓国ネットが惜しみない称賛「アジアの誇りだ!」「日本人だけど心から尊敬する」
イ チローは大リーグでの通算安打数を2999本として迎えた7日、コロラド州デンバーで行われたロッキーズ戦に先発出場、7回の第4打席でスリー ベースヒットを打ち、大リーグ移籍16年目にして通算3000本安打を達成した。この大記録を達成したのは、大リーグの140年に及ぶ歴史で30人目、 42歳9カ月での達成は史上2番目の年長記録となった。
韓国ではスポーツ専門メディアはもちろん一般紙もこれを大きく報じたが、ダウ ムスポーツは、イチローがこれまで日米で打ち立ててきた数々の記録の ほか、「自分との約束を守るため努力を惜しまない」イチロー選手の幼少期からの逸話なども交え伝えた。この中で韓国の野球解説者ソン・ジェウ氏は「イチ ローのエピソードの中で最も記憶に残る言葉」として次の言葉を紹介した。「努力せずに何かできるようになる人のことを天才と言うのなら、僕はそうじゃな い。努力した結果、何かができるようになる人のことを天才と言うのなら、僕はそうだと思う」。イチローが「自分を天才だと思うか」と問われた際の答えだ。
報道を受け、韓国のネットユーザーからはイチロー選手を称賛するコメントが多数寄せられている。
「見事な選手、アジアの誇りだ!」
「格好いい名言」
「本当にすごいし、尊敬する。謙虚に努力する誠実な姿勢は僕らも学ぶべき」
「42歳で現役だなんて、見習わないと」
「若いうちに米国でデビューしたら伝説中の伝説になっただろうに。それにしても野球の実力にかけては最高の人だね」
「日本人だけど心から尊敬する!」
「プロとはこういう人のことを言う」
「イチローのおかげでアジア野球に対する認識が高まったことは間違いない」
「実力、情熱、努力、すべて認める!」
「たゆまぬ努力、言うのは簡単だけど、一貫して行動でそれを示せる人はそう多くない。その意味でイチローは確かに天才だと思う」(翻訳・編集/吉金)
最後までお読み頂きましてありがとうございます。