プエルトリコが財政破綻 債務7.9兆円、米自治体で最大規模
2017年05月04日 11:27 AFP
米自治領プエルトリコのサンフアン市(2015年2月11日撮影)

【5月4日 AFP】米自治領のプエルトリコは3日、700億ドル(約7兆9000億円)の債務を再編するため破産を申請すると発表した。米地方自治体の債務再編としては史上最大規模となる。
リカルド・ロセーリョ(Ricardo Rossello)知事が記者会見で明らかにした。破産を宣告することで行政サービスの中断を避けられると説明した。
プエルトリコは米国の他の自治体が利用できる連邦破産法の適用が認められない。そのため、2016年に成立したプエルトリコ支援法に定められた保護規定の適用を申請する。
プエルトリコは巨額の負債にあえぎ、返済はすでに複数回滞っている。
債権者への支払い猶予期間は1日までだった。一部の債権者はプエルトリコが示した半額の返済の申し出を拒否し、全額返済を求めて連邦裁判所へ訴えを起こしていた。
カリブ海(Caribbean Sea)に浮かぶプエルトリコはかつてスペインの植民地で、米自治領となってから1世紀以上たつ。人口は約350万人。
プエルトリコが破産申請 7兆8000億円の債務、アメリカ自治体で最大
カリブ海の観光名所として知られるアメリカ自治領・プエルトリコが5月3日、連邦地裁に破産申請をした。債務は700億ドル(7兆8000億円)で、2013年に財政破綻したデトロイト市の約4倍。自治体としてはアメリカ最大の破産手続きとなる。時事ドットコムなどが報じた。
観光産業が中心のプエルトリコは、2008年のリーマン・ショック後の景気悪化で税収が落ち込んだ。2015年にアメリカ自治領で初のデフォルト(債務不履行)に陥った。
共同通信によると、プエルトリコは多額の債券を発行しているが、保有は税優遇が受けられるアメリカ在住者に偏っている。債券を保有するアメリカの富裕層や年金基金への影響が懸念される。
■プエルトリコとは?「豊かな港」が「第2のギリシャ」に

プエルトリコは、カリブ海に浮かぶプエルトリコ島を中心とした地域で、面積は鹿児島県と同程度。2016年現在、340万人が暮らしている。名前は、スペイン語で「豊かな港」(Puerto Rico)を意味する。1493年にコロンブスがプエルトリコ島を見つけた際に「なんて豊かな港なんだ!」と、感嘆したことに由来するという伝説がある。
もともとはスペイン領だったが、1898年の米西戦争の結果、アメリカ領となった。 1917年にアメリカ市民権が与えられ、1952年には自治領として合衆国と連合するコモンウェルスになった。住民の大部分はスペイン系とアフリカ系黒人の混血で、先住民であったインディオの要素も、山地住民などに残っている。
産経ニュースによると、プエルトリコは自然の美しさを武器として、全米屈指のリゾート地として発展を遂げたが、近年は競合するリゾート地に客足を奪われた。IT企業の誘致で経済活性化の柱として図ったが進まず、島に見切りをつけた島民の米本土への流出も相次いだ。失業率は全米平均の2倍の15%前後にも達している。
2015年にはプエルトリコのガルシア・パディラ知事が「総額約729億ドルの債務が支払い不能」とニューヨーク・タイムズに告白後にデフォルト。市場では「第2のギリシャ」と呼ばれ、破綻ドミノが警戒されていた。
政府の緊縮財政措置に抗議するデモ2017年5月1日