英議会内でライダイハン問題集会 ノーベル平和賞のムラド氏も訴え
【ロンドン】ベトナム戦争に派遣された韓国軍兵士による現地女性への性的暴行などで生まれた
「ライダイハン」と呼ばれる混血児の問題を追及する英民間団体「ライダイハンのための正義」は
16日、英議会内で集会を開いた。
イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の性暴力を告発してノーベル平和賞を受賞した
クルド民族少数派ヤジド教徒、ナディア・ムラド氏(25)は「性暴力に対して団結し、正義の
実現まで行動を」と訴え、韓国の戦争性犯罪である同問題への連携した取り組みを訴えた。
ムラド氏は「世界中の紛争下で性暴力被害を受けた全ての人たちの力になるよう支援したい。
ライダイハンはベトナム社会で日陰に置かれるのが長すぎた。犠牲者と家族は、壮絶な被害が
あったことを認識されるべきで、正義のため共に闘いたい」とも述べた。
同団体の「国際大使」であるジャック・ストロー元英外相は「韓国人兵士の犠牲になった
ライダイハンが求めているのは謝罪でも賠償でもなく、韓国政府が悲惨な性暴力を起こした
事実を認めることだ」とあいさつ。国連人権理事会にベトナム戦争における性暴力として徹底して
調査するよう申し立てたことを明らかにした。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)特使を務める米女優アンジェリーナ・ジョリーと
紛争地での性的暴行の実態調査を進め、英政府の性暴力防止イニシアチブ(PSVI)を設立した
ウィリアム・ヘイグ元外相は、「戦場で性暴力被害にあった人々をサポートするのが英国の
外交政策の一つ」と述べ、英国政府としてライダイハン問題への関与する意向を示した。
「ライダイハン」の男性、トラン・ダイ・ナットさんは「学校で『犬の子』といじめられ続け、
就職もできなかった。韓国政府は謝罪はもちろん母をレイプしたことも一切認めない」と憤り、
「慰安婦問題で日本を攻撃する韓国政府は、韓国人がベトナム人女性に行った行為(性暴力)に
頬被りするのは許せない。日本政府に助けていただきたい」と述べた。
ナットさんの母親で、77歳になるトラン・ティ・ンガイさんは、「24歳から3人の
韓国兵士に3度も性的暴行を受けた。ライダイハンは現在も苦しみ続けている。韓国政府は
ベトナムの女性にしたこと全てに謝罪すべきだ」と涙ながらに語った。
「ライダイハン像」を制作した英国人彫刻家、レベッカ・ホーキンスさんは2メートルの
等身大の「ライダイハン像」が7月完成し、ロンドン市内に設置する計画だと説明した。
同団体は、韓国はベトナム戦争に約32万人を派兵し、12、13歳の少女を含む
ベトナム女性数千人に性的暴行が加えられ、その結果生まれたライダイハンが約1万人いると
している。
ライダイハンの父親は、韓国兵のほか民間人や軍属の韓国人男性ら。1973年に結ばれた
パリ和平協定による韓国軍撤退などで韓国人男性らは帰国し、ライダイハンは置き去りにされた。
75年にベトナム戦争終結後、南ベトナム政府の崩壊により、共産党政権下でライダイハンは
「敵国の子」として迫害され、差別されてきた。韓国政府は公式謝罪や賠償は行わず、韓国で
タブーとされてきた。