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習主席、保護主義に警鐘。 トランプ新政権にらみ、ダボス会議で講演。習主席のダボス演説、識者の目にどう映ったか?  

2017-01-20 03:23:02 | 国際社会・国際会議・国際政治・経済・法及び条約等

 習主席、保護主義に警鐘 トランプ新政権にらみ、ダボス会議で講演

  2017年01月18日 06:22 発信地:ダボス/スイス AFP

スイス・ダボスで開幕した世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で講演する中国の習近平国家主席(2017年1月17日撮影)。

1月18日 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は17日、スイス・ダボス(Davos)で開幕した世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で講演し、世界が抱える諸問題の責任をグローバル化に転嫁したり、保護主義の殻に閉じこもったりするべきではないと警鐘を鳴らした。米新大統領への就任を数日後に控えたドナルド・トランプ(Donald Trump)氏とは異なる世界経済像を打ち出した形だ。

 

 米国は数十年にわたり世界の経済秩序をけん引してきたが、トランプ次期大統領はこれまでの慣習を破り捨てることも辞さない構えを示している。これに対し習氏は、初めて出席したダボス会議の場で、グローバル化の流れに逆行はできないと訴えた。

 

 習氏は中国の民話や、英作家チャールズ・ディケンズ(Charles Dickens)の著作、エーブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)元米大統領の「ゲティスバーグ演説(Gettysburg Address)」からの引用をちりばめた講演の中で、「保護主義を追求するのは、暗い部屋に閉じこもるようなものだ。風雨はしのげるかもしれないが、光と空気も遮断してしまう」と述べた。

 

 英国が欧州連合(EU)からの離脱を予定し、極右政党が台頭し始めた欧州大陸の中心部に立った習氏は、世界の資本、技術、物や人の流れを逆行させることは「不可能」だと主張。

 

 さらに、中国は今後も「門戸を開き」、新興国がグローバル化の恩恵を受けられるよう後押ししていくと言明。同時に、トランプ氏が脱退を示唆している地球温暖化対策の新たな国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」を支持する意向を示した。

 

 また、「世界の諸問題を経済のグローバル化のせいにするのは無意味だ」と指摘し、2008年に欧米を襲った金融危機の原因は自由貿易ではなく、圧倒的な規制不足にあったという中国の見方を強調した。

 習氏はこの講演で、会場に集まった各国や各界の首脳、著名芸能人らの多くから喝采を浴びた。


習主席のダボス演説、識者の目にどう映ったか?

2017 年 1 月 18 日 11:24 JST  THE WALL STREET JOURNAL


中国の習近平国家主席は世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に同国の国家元首として初めて出席

 【ダボス(スイス)】中国の習近平国家主席は世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に同国の国家元首として初めて出席し経済のグローバル化を声高に擁護する演説を行った。これには、米国が世界の指導的役割から後退することで生じる空白を埋めようという意図がありそうだ。

 習主席の演説は、世界で強まりつつある懸念を念頭に置いたものとみられる。つまり、世界最大の経済大国である米国がドナルド・トランプ次期政権の下で保護貿易主義にシフトするとの懸念だ。

 1600人の聴衆を前にした1時間に及ぶ演説で習主席は、一層のグローバル化が歴史的な流れだと指摘し、中国の貢献がいかにその他の世界に恩恵をもたらしてきたか説明した。また、経済のグローバル化が世界の富を増大させた一方で、その結果として格差を拡大させつつあることも認めた。

 習主席は、世界経済を導く中国の正式な役割を拡大させるべきだとの主張を展開。だが、聴衆の間には、習主席が主張したほどの指導的役割を担う準備が中国に整っているか疑問視する向きもあった。

 英キングス・カレッジ・ロンドンのローレンス・フリードマン名誉教授(戦争学)は、「ここに集まったグローバルエリートたちは、習氏を反トランプとして受け入れている」と述べた。

 「世界のリーダーシップに空白が生じている。習氏はそれを目にし、つかもうとしているのだ」と語ったのは、スウェーデンのカール・ビルト元首相だ。

 同じく演説を聴いていた国際通貨基金(IMF)のデビッド・リプトン筆頭副専務理事は、「大切なのは中国がグローバル化には重要な恩恵があると言い、解決しなければならない問題も沢山あると認めていることだと思う」と述べた。

 欧州投資銀行(EIB)のウェルナー・ホイヤー総裁は、「とりわけ欧州では最近、リーダーシップが欠如している。それだけに、かなり印象的な演説だった」と評価。ただ、中国に世界経済の指導的役割を担える準備が整っていると思うかと聞くと、同総裁は「まだだ」と答えた。

 一部の聴衆からは、グローバル市場経済を擁護する発言が中国から出たことは皮肉だとの声が聞かれたが、ビルト氏も同じ意見だ。同氏は「世界最大の共産党の指導者がグローバル化を擁護するスピーチをすることになるとは驚きだ」と語った。

 しかし、トランプ次期政権がより保護主義的な立場を取るとすれば、中国は世界貿易を支える上で決定的に重要な国になるだろう。ビルト氏は、「米国が本当にもっと重商主義的な路線を敷くのならば、アジアと欧州が団結して世界的な自由貿易体制を維持する必要が出てくる」と述べた。