北朝鮮を封じる次のステップを急げ
中朝の交易や金融取引に新たな制裁を
2017 年 6 月 22 日 13:37 JST THE WALL STREET JOURNAL
ドナルド・トランプ大統領は4月の習近平国家主席との米中首脳会談後、中国の協力姿勢に大きな期待を寄せた。中
国が同盟関係にある北朝鮮を今まで抑えられなかったことからすると、それは大胆な賭けだった。ただし外交上は理に
かなっていた。約束を守らなければ、米国はより厳しい措置を講じると習主席に通告したのだから。しかしトランプ氏は
20日、ツイッターに投稿した。「北朝鮮を巡る習主席と中国の取り組みには大いに感謝するが、うまくいっていない。少
なくとも中国が努力したことは分かる」
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が先週報じたように、トランプ政権は中国政府に対し、北朝鮮との交易を続け
る中国の約10の企業・個人を厳しく取り締まるよう要請した。中国政府が要請を拒んだ場合、米国は夏が終わるまでに
一方的に制裁を発動する用意があるとした。米国は即座にこれを行動に移し、リストに挙げた企業・個人を国際金融シ
ステムから締め出すためにより厳しい制裁を科すべきだ。
米、北朝鮮巡り中国企業への独自制裁も
国連決議に基づく経済制裁は、北朝鮮を封じ込める効果がほとんどないという懐疑論者の意見は正しい。しかし、イラ
ンを交渉テーブルにつかせた経済制裁ははるかに厳しいものだった。また、米分析・調査グループC4ADSの最新報告
書は、北朝鮮の交易ネットワークは新たな経済制裁に対して非常に脆弱(ぜいじゃく)であることを示した。
報告書はわれわれの誤解、すなわち北朝鮮が秘密のネットワークを通じて武器の材料や技術を入手しており、そのた
め制裁は有効でないという見方を払拭した。報告書によると、北朝鮮との合法取引を手がけるのと同じ少数の個人・企
業が、核兵器やミサイルを製造するための「デュアルユース(軍民両用)」物資を提供しているとのことだ。制裁が強化さ
れるにつれ、このネットワークは縮小し、次第に淘汰(とうた)されてきた。この状況下で交易を続けるだけの手腕や中朝
との強いつながりを持つ者は限られるからだ。彼らの代わりを見つけるのは北朝鮮にとって容易ではないだろう。
米国は2005年9月に偶然こうした北朝鮮の弱点を見つけた。このとき米財務省はマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア
(BDA)を北朝鮮のマネーロンダリング(資金洗浄)の「主要な懸念先」に指定した。これを受け、北朝鮮の資産2500万
ドルが凍結されたほか、BDAに頼っていた交易が一斉に停止され、他の銀行も北朝鮮ビジネスから手を引くなど極めて
大きな波及効果があった。
ジョージ・W・ブッシュ政権は2年後、北朝鮮が核問題で協議に応じるのと引き換えに資産凍結を解除するという悲劇
的な判断ミスを犯した。協議は結局、何の進展もなかった。北朝鮮は交易ネットワークの大半を中国に移し、バラク・オ
バマ政権は他の優先課題に注力するあまり北朝鮮問題の拡大を許した。
北朝鮮は2、3年以内に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を保有するとみられ、米国の選択肢は狭まりつつある。先制攻撃
を仕掛けるのは最後の手段だ。北朝鮮が通常兵器や核兵器を使い、何百万もの人々を殺害しかねないからだ。協力す
るはずだった中国がその約束を果たすのを拒否するか、もしくは失敗した今、米国とその同盟国はあらゆる制裁や可能
な限りの措置を講じて、北朝鮮がワームビア氏にしたのと同じことを他の大勢の人々に対して行うのを阻止しなければ
ならない。