ロシア・中国の北極圏での活動、監視すべき=米国務長官
[ロバニエミ(フィンランド) 6日 ロイター] - ポンペオ米国務長官は6日、ロシアが
北極圏で積極的に活動していると警戒を示したほか、同地域での中国の活動についても監視する
必要があると述べた。
北極圏には石油・ガスや鉱物などの埋蔵資源が豊富に存在するため、中国などが領土主張や
プレゼンス強化を図っている。
北極評議会のためにフィンランド入りしたポンペオ氏は、中国の北極圏での活動に安全保障上の
狙いがあるように見えると指摘。「米国および北極圏諸国は、国家安全保障上の目的ではなく、
経済的利益を考慮した透明性のある中国の投資を歓迎する」と述べた。
中国が領有権を訴えて軍事拠点化を進めた南シナ海の事例をあげて「北極海を新たな南シナ海に
してはならない」と訴え、中国の北極圏進出に警戒感を示した。
ポンペオ氏は北極海に投資を増やす中国を批判した。中国が建設する空港や通信設備などを念頭に
「沿岸国が債務漬けや政治的腐敗といった中国マネーのワナに引っかかる可能性がある」と警鐘を
鳴らした。民間利用を名目に建設したインフラを中国が軍事拠点に転用するリスクがあるとも
強調した。
中国は2018年に北極海航路を「氷上のシルクロード」と位置づけ、北極圏への関与を増やす
考えを示した。米国防総省は今年5月、中国の軍事行動に関する年次報告書で、中国がデンマーク領
グリーンランドで研究施設や衛星通信施設の建設、空港の改良工事を提案していると指摘。
将来的に米国の核攻撃に対する抑止力として、原子力潜水艦を北極海に派遣する可能性があるとの
見方も示した。
北極圏まで手を出す中国:グリーンランドの地下資源と北極圏の軍事拠点を狙う中国
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またロシアに関しては、北極海航路で他国に通行許可を求めるなど「すでに違法な要求をしている」
とし、これらの活動をより注視する必要があるとした。
ポンペオ氏は地球温暖化で氷が解けて、欧州とアジアを結ぶ航路開拓や資源開発が可能になり
「北極海が新たな競争の舞台になった」との認識を示した。「自由で開かれた競争や法による
統治こそが最善の結果を生む」と述べて、米国が属する北極評議会での開発ルールづくりに
意欲を示した。北極評議会は米ロやノルウェーなど沿岸の8カ国で構成する。
中国が北極評議会のオブザーバー国と扱われていることに関しても「評議会には加盟国と
非加盟国しかない。3つ目のカテゴリーは何も意味をなさない」と断じた。
北極海開発のルールづくりで中国の関与を排除したい意向を示したものだ。