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日本、国産巡航ミサイル開発に意欲

2017-11-24 08:09:12 | 防衛・安全保障・インテリジェンス

日本、国産巡航ミサイル開発に意欲

 2017年11月23日 23:41   SPUTNIK  ドミトリー ヴェルホトゥロフ

日本の防衛省は、陸上の敵部隊や敵艦を標的とした日本の巡航ミサイルを開発する方向で検討している。読売新聞が

報じた。


2018年度の防衛省の概算要求において、島しょ防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究に77億円が計上されている。


読売新聞によると、米国の「トマホーク」と共通するところが多いため、防衛省では「日本版トマホーク」と呼んでいる。

特色は、巡航ミサイルは海上だけでなく地上の標的にも攻撃可能で、発射車両や護衛艦、川崎重工の手がけた哨戒機

「P1」など機体からも発射可能であることだ。


読売新聞の記事が詳細でなくても、いくつかの結論は出すことができる。


第1に、計上された予算は新型対艦ミサイルの開発ではなく、求められる性能まで現行のミサイルを改良するための

ものだ。新型巡航ミサイルの開発なら、格段に多くの費用がかかるだろう。例えば、フランスは1998年度、新型巡航

ミサイル「SCALP-EG」(ストーム・シャドウ)のために7億4500万ドルを費やした。

ロシアとインドによる対艦ミサイル「ブラモス」の共同開発には2001年度、非公式の情報によると2億4000万ドル

かかった。


日本はすでに、非常に迅速に改良できるであろう、将来性のある対艦ミサイルを数種類持っている。

その1つには、三菱重工が手がけ、1988年から陸上自衛隊に配備されている地対艦ミサイル「88式地対艦誘導弾」

(SSM-1)がある。艦対艦ミサイル「90式艦対艦誘導弾」(SSM-1B)は1990年から配備。

2012年にはSSM-1の後継として12式地対艦誘導弾の調達が始まった。12式地対艦誘導弾の射程は250キロまで

伸び(SSM-1は150キロ)、最高速度はマッハ3(およそ時速3672キロ)そして最大250キロまでの弾頭を

搭載可能だ。ミサイルは複数の誘導システムを搭載し、弾道を修正できる上、低い高度を飛行する。


12式地対艦誘導弾は艦体だけでなく、地上の標的にも有効な完全な巡航ミサイルにできるまで改良が十分可能だ。

こうしたミサイルによる空軍基地や連絡基地、司令部への攻撃は敵へ大打撃を与えると言える。飛行機からのこうした

巡航ミサイルの発射は、エアボーンや地上部隊のサポートが可能だろう。


どうやら、改良されるのは12式地対艦誘導弾のようだ。2017年1月、横須賀基地で12式地対艦誘導弾と似た

サイズの2発のミサイル用の新しい発射装置を搭載した海上自衛隊の試験艦「あすか」が目撃された。

ミサイルは国際展示場「MAST Asia 2017」 (Maritime Air Systems & Technologies)で展示された。

また、ウェブリソース「navyrecognition」が英Qinetiq社の代表の話を基に報じたところ、日本の防衛省は将来性のある

艦対艦ミサイル「XSSM」の実験を行った。実験の実施日は不明だが、XSSMの試作型が「あすか」から、Qinetiq社の

カナダ支社が作った標的用高速ボート「Barracuda」に向けて発射された。


第2に、最近の訪日でトランプ大統領は、日本がより多くの米国の兵器を買うよう迫った。しかし、日本の観点からは

国内の企業で生産するほうが目的にかなっている。それに加えて、日本版トマホークという名称に関わらず、日本製の

巡航ミサイルの性能は米国製を超える可能性がある。米国のRGM-109D Block IIIは340キロの弾頭を搭載可能で、

射程は1250キロだ。

だが、速度は低く、最大で0.5マッハから0.7マッハ(時速880キロ)。そのため、重機関銃を含むどんな

対空砲でも撃墜可能だ。

日本のミサイルの飛距離はおよそ300キロだが、速度は非常に速い。わずか4分半で標的まで到着するのだ。

一方で米国のミサイルは同じ300キロ到達に20分を要する。これほど短い時間ではいかなる防空システムやミサイル

防衛(MD)システムでも撃退が困難で、高速で飛行するため敵による撃墜の可能性を大幅に減らす。


読売新聞の記事にある通り、巡航ミサイルの開発の主な目的は島しょ防衛にあるとは言え、北朝鮮への抑止力を高める

ことにもつながるだろう。


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北朝鮮の脅威によって、日本の再軍備は正当化されるのか?

 2017年11月24日 03:49  SPUTNIK  ドミトリー ヴェルホトゥロフ

小野寺五典氏が再び防衛大臣に就任してから、日本の防衛政策は大きく転換することになった。8月3日に内閣改造が

行なわれたとき、安倍晋三首相は小野寺防衛相に対し、2013年に閣議決定した防衛力整備の指針「防衛計画大綱」を

見直すように指示した。小野寺氏はまた、防衛省は2018年の夏までに、例えば巡航ミサイル「トマホーク」の配備

など、敵基地攻撃能力をもつかどうか検討するということを明らかにした。それ以外にも小野寺氏は、もし北朝鮮が

米国領のグアム島をミサイルで攻撃するなら、日本は集団的自衛権を行使してそれを迎撃する可能性について排除

しなかった。


日本の防衛政策の変更はもちろん、北朝鮮が日本を単なる「米軍基地がある場所」として見なしているのではなく、軍事的な敵として、ミサイルの標的と見なしていることに起因している。


この問題は、技術的な側面と政治的な側面に分けて考えることができる。技術的な側面というのは、日本はもう近いうち

に、じゅうぶん攻撃ができる武器をもつリアルな可能性をもっているということだ。こういった武器装備のプログラムは、

巡航ミサイルトマホークRGM/UGM-109Eの利用を視野に入れているということになる。トマホークは1600キロもの

距離を飛ばすことができ、東京湾から、北朝鮮のどんな場所にでも撃つことができる。しかしこのようなミサイルの配備には時間もかかるし、日本の船、砲撃機能をもつ潜水艦、または米国のミサイルなどとからんだ配備の技術的問題を処理

しなければならない。


その中でも、他のバリエーションもある。トマホークがまだ配備できないうちは、他の巡航ミサイルを使うという方法で

ある。例えばフランスとイギリスは、SCALP Navalという水上発射型の巡航ミサイルを開発。これは1000キロの距離

を飛ばすことができる。日本の領海内から北朝鮮を攻撃するには、距離的にはじゅうぶんである。このミサイルはあまり

大きくない海軍の武器として輸出(NATOの国々と、NATO以外ではサウジアラビア)されていた。

それ以外にもストーム・シャドウという空中発射型のミサイルもあり、これは250キロの射程距離がある。

このミサイルは、F-35ステルス戦闘機に配備できる。ということは、もし「やる」ということになれば、日本は初の

攻撃用の武器を一そろい、年内にも、いや、むしろ緊急の場合には、数ヶ月以内にも有するということになる。


政治的な側面というのは、安倍氏が、自身の内閣を取り巻く状況の中で、結論を出したということである。防衛大臣に

なったばかりの小野寺氏の発表から判断してみると、安倍氏と小野寺氏は、日本の再軍備を急ぎ強行しているという

ことになる。


日本社会はこのような決定的な再軍備にもろ手を挙げて賛成しているわけではないが、それであっても、安倍氏には

根拠とできるものがある。


まず第一に、社会が真剣に心配し恐れている北朝鮮の脅威がある。もし2006年、防衛庁が防衛省になったときの

「再軍備」が国としての体面を保つための形式的なアクションであったとしたら、今の状況は、本物の戦争に向けて

準備している「再軍備」である。


第二に、安倍内閣の支持率低下がもし続いたとしても、安倍氏が、残りの任期内で、不可逆的に日本を再軍備化させられる

という希望を抱いていることは明らかである。安倍氏は、誰が彼の後継者になったとしても、その人物が日本の再軍備開始

のプロセスを嫌でも知らねばならぬようにし、それを続けなければならないような状況を作ることができる。

このようにすることで、安倍氏の最も重要な政治的目的のひとつ、憲法改正は、実際的に避けられないものになる。


現在、日本は世界で第五位の海軍戦力をもち、軍事費では世界8位である。「グローバル・ファイヤーパワー」の軍事力

ランキングでは日本は7位に位置している。しかし日本の上層部は、世界第4位の経済大国としては、それでは不十分だと

考えている。


日本には、ロシア・中国・米国・フランス・英国が有しているような武器のうちいくつかのものがない。

それは空母、戦略的爆撃機、大陸間弾道ミサイルである。戦略的爆撃機と大陸間弾道ミサイルは日本には必要ない。

日本には核兵器がないし、近い将来にそれを持つ予定もない。しかし通常の武器に関しては、上に列記したような国々に

ひけをとっている。日本では、安倍氏率いる日本政府が防衛に力を入れているのは「普通の国」になるためだと説明されて

いる。しかしながら、北朝鮮が核ポテンシャルを増大させようとしている行為も、「普通の国」になるためだという名目

で、正当化することも可能だ。目指すのはそこではなくて、もしかしたら、平和憲法こそ世界の大国が目指さなければ

ならないものではないだろうか?


ドミトリー ヴェルホトゥロフ

1981年、クラスノヤルスク地方、アチンスク出身。2002年、クラスノヤルスク国立教育大学史学部卒業後、現代アフガニスタン調査センターに就職。フリーランスで様々な通信社に記事を書いている。ソ連邦、第2次世界大戦の歴史について13冊を執筆。2008年からは北東アジア安全保障問題研究を開始。アジアの経済発展、特に産業、エネルギー、安全保障、軍事分析、軍事政治関係が専門分野。