ロイター企業調査:対韓輸出管理、経済的影響「懸念せず」が過半数
今回の調査期間は、7月31日━8月14日。調査票発送企業は504社、回答社数は250社程度
だった。
<ホワイト国除外、経済的影響は限定的 交流停滞には懸念>
日本政府の対韓輸出管理強化では、半導体原料3品目の輸出管理を強化しているが、その経済的影響に
ついて「あまり懸念していない」と「全く懸念していない」を合わせた回答が56%と半数強を占めた。

懸念を示す企業からは、どのような影響を最も懸念しているかについて「日本企業の収益悪化」や
「世界経済減速」との回答が2割ずつを占め、一時的な影響を懸念する声が上がっている。
一方、「世界的供給網への打撃」や「中長期的な日本企業の競争力低下」といった懸念はまだ少ない。
輸出手続きを簡略化できる「ホワイト国」(輸出優遇国)のリストから韓国を除外し、案件ごとの
輸出内容審査に切り替える措置についても、「あまり懸念していない」、「全く懸念していない」との
回答が54%と半数強を占めた。
「大いに懸念している」、「やや懸念している」との回答は46%。「日韓関係悪化」を懸念する回答が
最も多かった。「民間交流も減少していくことで友好的関係が崩れ、経済的影響が出る」(運輸)と
いった声がある。
また、「日本企業の収益悪化」や「貿易摩擦拡大」といった影響を懸念する回答は2割未満となり、
「日本製品の不買運動」や「世界経済減速」への懸念は数%にとどまった。「日本経済全体でみれば、
大きな問題ではない」(化学)といった見方がほとんど。
<政府説明を評価、WTO提訴されても勝訴>
こうした輸出管理強化について日本政府は「外交上の問題で信頼関係が著しく損なわれているうえ、
安全保障上、不適切な事案があったため」と説明している。これにより説明が「十分なされている」
との回答は20%、「ある程度なされている」が53%を占め、大方が評価できるとしている。
韓国が今回の措置を不当だとしてWTOに提訴した場合について聞いたところ、94%が日本が勝訴
できると回答した。
実際に輸出手続きを経験している企業からは、単なる手続き上の問題にすぎないとの認識を示す
声が多く、「韓国の(反応)は感情論」(機械)との指摘もあった。
一方、敗訴を予想する企業からは「輸出制限の理由は説得力が弱い」(情報サービス)、「もっと早く
実施すべきだった。諸外国からみれば徴用工問題と関係づけられても仕方がない」(小売)といった
声も出ている。