無理筋の自粛要求。自衛艦 韓国派遣中止
2018.10.5 22:50 産経新聞
防衛省が韓国主催の国際観艦式への海上自衛隊派遣を見送ったのは、韓国側が求める自衛艦旗
「旭日旗」の掲揚自粛という無理筋の要求を、到底受け入れることができないからだ。
国内法や国際法に反する一方的な注文を諾々とのめば、国際社会での日本の信頼失墜にもつながりかねない。
「韓国の要求に従えば、日本は法に違反する国家となる。検討にも値しない」
外務省幹部は派遣見送りの理由をこう語る。
自衛艦旗の掲揚は自衛隊法で義務づけられ、国連海洋法条約も国籍と軍隊に属することを示す
「外部標識」を掲げることを規定する。韓国の要求は「非常識」(海自幹部)との批判は免れない。
もし要求に応じれば、日本の防衛に影響が出る可能性もある。制服組トップの河野克俊統合幕僚長は、
自衛艦旗を「海上自衛官の誇り」と表現する。国際社会でも、主権の象徴である軍艦旗は最上級の
敬意が払われるべき存在だ。その重みを持つ自衛艦旗を、日本がやすやすと降ろす姿を他国はどう見るか。
元海将の香田洋二氏は「中国は日本を『強硬に出ればすぐ退く国』とみて、
尖閣諸島(沖縄県石垣市)への圧力を強めただろう。
米国をはじめ友好国からの信頼も失う。派遣見送りは適切な判断」と語る。
政府内には、自衛艦旗を掲げ観艦式に参加する強硬論もあったが、見送った。
外務省幹部は「主催国である韓国の顔をつぶさないための、せめてもの措置だ」と語る。
韓国への自衛艦派遣を中止へ 旭日旗掲揚自粛「受け入れられず」
2018.10.5 13:54 産経新聞
政府は5日、韓国が主催する国際観艦式への海上自衛隊の派遣を中止する方針を固めた。
韓国側は自衛艦旗「旭日旗」の掲揚自粛を求めているが、日本側は拒否。政府は双方の要求が
折り合わないと判断し、派遣を見合わせる。
韓国海軍は韓国・南部済州島(チェジュド)で10~14日に開かれる国際観艦式の参加15カ国に、
海上パレード中は艦艇上に自国国旗と韓国国旗だけを掲げるよう通知している。事実上、日本から参加する
自衛艦の「旭日旗」の掲揚自粛を求めた。
これに対し、日本政府は「自衛艦旗の掲揚は自衛隊法などの国内法令で義務づけられている。
国連海洋法条約上も、国の軍隊に所属する船舶の国籍を示す『外部標識』に該当する」(岩屋毅防衛相)と
一貫して反論。自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長も4日の記者会見で
「海上自衛官にとって自衛艦旗は誇りだ。降ろしていくことは絶対にない」と強調した。
旭日旗は日本海軍の軍艦旗として使用され、海自の自衛艦旗にも採用された。先の大戦で日本と
激戦を交えた米国を含め、現在では国際社会に広く浸透している。
一方、韓国ではメディアや専門家の間で「侵略、軍国主義の象徴」などとの批判が多く、
海自が旭日旗を自衛艦旗にしていることへの反発は強い。韓国の国会では旭日旗の使用を禁じる
改正法案提出の動きも出ている。
防衛省幹部は「韓国の世論が収まれば自衛艦を派遣するが、おそらく不可能だ。掲揚自粛は決して
受け入れられないから、派遣を取りやめるしかない」と語った。
旭日旗をめぐっては、平成28年に行われた日米韓など各国海軍による共同訓練の際も、韓国世論が
海自の旭日旗を問題視。各国艦船の韓国・済州島入港が中止された。