セルビアの北部に10億ドルを投資する中国企業
17.09.2018. |17:35 >17:41 N1
中国訪問したセルビアのヴーシック大統領
セルビアの財務相は、北部のズレーニャンへの投資について、政府と中国の山東嶺長企業との間で枠組み合意書を
締結したとベータニュースが月曜日に報じた。
セルビアの財務相
シニサ・マリは、3日間の訪中のアレクサンドル・ヴーシック大統領が率いるセルビア代表団の一員である。
州のRTSテレビは、自動車タイヤ製造会社の工場に投資することを計画していると語った。
同社の代表は、同工場が2020年に完成し、タイヤを西への輸出するのは2021年に始まると述べた。
ヴーシック大統領によると、「投資額10億ドルで価値ある大きな取引でした」と語った。
中国企業の新しい投資と新しい雇用の計画について語り、
ヴーシック大統領は「セルビアの北部、ボルボディナ地方のズレーニャン地域のこの大きなビジネスのために
国家補助金を約束する」と語った
セルビアで増す中国人の存在感、町を歩けば「ニーハオ」
2018/8/24(金) ViewPoint
セルビアの首都ベオグラードの官庁街の一角にある旧ユーゴスラビア軍司令部(国防省)ビルは、
今なお崩れかかった無残な姿を晒(さら)している。セルビア政府は、破壊された同ビルを「歴史の証人」として、
そのまま残すことにしたのだ。これらは1990年代、米軍が加わる北大西洋条約機構(NATO)がコソボ紛争で、
セルビアを空爆した時のものだ。
べオグラードから高速鉄道建設現場まで運んでくれたセルビア人タクシー運転手は、「ロシアはファシスト」と
毛嫌いすると同時に「アメリカはマフィア」と米国への露骨な嫌悪感を表した。
こうしたセルビアの反米、反NATO感情をうまく利用してきたのが中国だ。多大な資金を投入しインフラ整備を
下支えすることで、セルビア取り込みに動いてきた。
旧ユーゴスラビアを中心としたバルカン半島は、1990年代に民族間の対立が激化し、経済発展から取り残された。
インフラの老朽化も進み発展の足を引っ張っている。
そこにひも付きとはいえ、巨額資金を出すというのだから、セルビア政府とすれば渡りに船だった。
財政赤字に悩むセルビアは、中国から巨額の特別支援を受け、見返りに台湾やチベット、ウイグル、南シナ海問題でも
中国の外交政策を全面支援する。
昨年には中国銀行がベオグラード支店を開設した。6年前には試験的導入だった中国語クラスが、今では64校で
選択科目となるなど文化的影響も強まりつつある。
セルビアは中国人観光客に人気の観光地だ。ベオグラード市内に最近設置された観光案内板は、英語の次に
中国語表記となっている。2年前、中国人がノービザ(30日間)入国となったことが契機となった。
セルビア国内に居住する中国人は約2万人余。セルビア国内で目にするアジア人の多くは中国人と言っても
過言ではない。ベオグラード市内には中国人街もできている。
セルビアでの圧倒的な中国人の存在感からだろう。ベオグラードの町を歩くと、あちこちで「ニーハオ」と
呼び掛けられる。
2014年末には、ベオグラードを流れるドナウ川に「中国橋」が建設された。この橋は、中国企業が欧州で
初めて建設した大橋であり、約70年間にわたりドナウ川を跨(また)ぐベオグラードの橋が1本しかなかった
歴史に終止符が打たれた。
さらに旧ユーゴ時代の古い鉄道が走っているセルビアで、高速鉄道や高速道路を敷設しようというのだから、
未来への夢は膨らむ。
ただ、くだんのタクシー運転手は「資材は中国製。ワーカーも中国人。資金も無償援助というわけではなく、
高金利付きで返さないといけない」と歓迎しているわけではない。
また、米露を毛嫌いするだけでなく「中国はコミュニスト」と断じ、「セルビアにはコミュニストはいない」と
旧ユーゴ時代に専制支配を経験した庶民感情を代弁した。