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中国の飽くなき天然水需要、海外で反発も。

2019-09-10 10:50:02 | 中国・中国共産党・経済・民度・香港

中国の飽くなき天然水需要、海外で反発も

 2019 年 9 月 6 日 11:45 JST    WSJ  By Lucy Craymer
 


 ニュージーランド東岸で操業する中国系のボトル入り飲料水会社、ワンピュア・インターナショナル・

グループは、旺盛な高価格天然水の需要を満たすため、当地の帯水層から水のくみ上げを拡大している。


 同社のボトル入り飲料水の販売は、5年前の創業時から急増している。製品の大半は中国をはじめと

したアジア諸国に出荷されている。同社は昨年、ニュージーランドの主要ワイン生産地の地下から

300万ガロン(1135万リットル)の天然水をくみ上げており、一部で地元社会の反発を招いている


 ボトル入り飲料水は、多くの先進諸国では環境面で問題視されている。1度の使用で廃棄される

すべてのプラスチック容器に厳しい視線が向けられているからだ。しかし、これらのボトルに詰められる

水自体も、問題を引き起こしている。


 ニュージーランドのホークスベイ地方では、ワンピュア以外にも6社のボトル入り飲料水施設が

地下水をくみ上げている。同地で非営利団体を運営するリアン・コターアーリッジ氏は「地下水くみ

上げがトラブルを引き起こすことを懸念している」と語る。彼女によれば、これら企業による過剰な

地下水くみ上げが、この地域の諸都市や農家にとっての貴重な資源を奪う懸念があるという。

この非営利団体は、水資源に関する規制強化を地域社会に働きかけ、新たなボトル入り飲料水会社の

進出を阻もうとしている。

 

 ワンピュア側は、地元の各種イベントのスポンサーになることで地域社会への貢献に努めていることを

強調。また、自社の現在の地下水くみ上げ量は、割当量の5分の1以下にとどまっていると指摘している。


 拡大を続ける中国市場向けに天然水をくみ上げボトル詰めする工場に投資する企業が、ニュージー

ランド、オーストラリアなど世界各地で増えており、抗議行動や訴訟が起き始めている。こうした

懸念は、大量の水を消費する施設や工場と、地域社会や農業用水供給システムの競合という、世界各地で

生じている懸念と共通している。


 飲料分野の調査会社ビバレッジ・マーケティング・コーポレーション(BMC)の2019年の報告に

よれば、中国のボトル入り飲料水の年間消費量は現在約280億ガロンで、世界全体の供給量の4分の1

以上を占めている。この消費量は、2位の米国の約2倍だ。


 しかし、人口1人当たりでみると、中国のボトル入り飲料水の消費量はまだ比較的少なく、

年間20ガロン(通常サイズのボトルで約150本)という。アナリストは同国の中間層の拡大を受け、

向こう何年にもわたってボトル入り飲料水の販売が伸びると予想している。


 中国国内の水資源は限られている。中国の人口は世界全体の20%を占めるが、世界の淡水の約7%

しかない。しかも、中国環境監測総站(CNEMC)が1月に出したリポートによれば、その約4分の1は

汚染されている。工業生産や集約農業に関する慣行が一因だ。


 上海で活動するユーロモニター・インターナショナルの市場調査員、マーク・ミャオ氏は、人々が

水道水の質を気にするようになるのに伴い、ボトル入り飲料水に目を向ける可能性が高いと述べる。

 

 調査・コンサルティング会社のグローバルデータによると、ボトル入り飲料水の世界10大メーカーの

うち、今や4社が中国企業だ。大半の中国企業は、国内の水源を利用しているが、一部は海外に目を

向けている。富裕な消費者は、より高価格の輸入品天然水やミネラルウォーターを好むからだ。

中国税関と国連の貿易データによると、同国のボトル入り飲料水の輸入額は、2013年から18年の間に

3倍以上に増え、約6億6400万ドル(約710億円)に達した。


 ニュージーランドは環境的にクリーンなイメージがあるため、それを利用してボトル入り飲料水を

売りたい中国企業にとって、魅力的な場所になっている。保守系の前政権は数年前、外国投資家に対し、

土地を購入してその資源を利用するよう促した。現政権はそうした動きを以前ほど歓迎していない。


 中国で1本2元(約0.28ドル)のボトル入り飲料水を提供している有名ブランド、農夫山泉は、

同国最大のボトル入り飲料水メーカーの1つだ。同社は国内の水源を利用する工場を18カ所保有する。

 

 同社の鐘睒睒会長は2016年、ニュージーランドの当局者に招かれ、ニュージーランド北東部の

貧しい町の近郊にあるボトリング工場の買収を検討するよう打診された。同会長は4200万ドルを

投資して工場を拡張し、ファカタネ近郊の果樹園の地下の帯水層から水をくみ上げ、1時間当たり

最大15万4000本のボトル入り飲料水を生産する計画を立てた。


 この計画には一部の地元関係者や先住民マオリ系の人々が反対しており、現在係争中となっている。

反対派は、地元の農場では作物の生育や地域内の需要を満たすの地下水を利用しており、天然水の

ボトリング事業がこうした天然水に依存している農場に打撃を与えることを懸念している。

中国の富裕層は高価格の輸入品天然水やミネラルウォーターを好む


 

 農夫山泉は声明の中で、工場は雇用を生み出すとの理由で多くの支持を得ていると表明した。

同社は「これは活力のある分野であり、中国におけるマーケットリーダーである農夫山泉は、ボトル入り

飲料水の分野でグローバル市場のリーダーになることを望んでいる」としている。


 クライストチャーチ近郊でも別の中国資本のボトル入り飲料水製造会社が問題に直面している。

中国の砂糖製造コングロマリットの系列会社が所有する云海湾水社は、自社のウェブサイト上で、

ニュージーランドの天然水をフランスの有名なブランド、エビアンと同様のブランドにすることを

目標にしていると表明していた。

 

 同社は中国向けにくみ上げ、ボトル詰めした天然水の出荷を開始してから11カ月後の今年8月、

販売が目標に届かなかったとして突然、規模を縮小すると発表した。また、一部の地域住民は、

云海湾水が以前に洗毛工場のあった敷地の地下から大量の水をくみ上げていることに対し、その権利に

異議を唱え、訴訟を起こしている。


 訴訟を起こしているグループの共同運営者ニキ・グラディング氏は、「われわれは地元コミュニティー

のために水の供給を保護しなければならない」と指摘。「もしそうした需要拡大の可能性がなかった

のなら、だれもパニックになることはなかっただろう」と語った。


 前出のワンピュアは、ある中国人投資家が75%出資しているほか、地元にパートナーがいる。

同社のセールス・マーケティング・マネジャーのアルフレッド・ウォン氏によれば、事業は成長して

いるものの、販売流通戦略の策定や拡大目標の達成を目指す中で、現在利用している水は割り当て

対象の20%以下だと語った。


 ウォン氏は「非常の競争の激しい市場だ」と指摘。ワンピュアは中国内の店舗に自社のボトル入り

飲料水を並べることができるようさまざまな方策を検討中だと付け加えた。同社の製品は現在、

中国のネット通販サイト、京東商城(JD.com)のオンライン・ショッピング・モールを含む中国の

Eコマース(電子商取引)で販売されている。価格は500CCのボトル24本が358元(約50ドル)で、

エビアンの2倍以上となっている。一方、ニュージーランドでは約3割安い水準で販売されている。


  
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