ソフトバンク社長の投資目線、巨大ファンドが影響も
[ニューヨーク 27日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 他人の金を投資するのはより簡単だということなのだろうか。ソフトバンク・グループ(9984.T)が、かつて投資を見送った米シェアオフィス会社ウィーワークに最大40億ドル規模を投じる可能性を米CNBCが報じている。
ソフトバンクは、総額1000億ドル規模に拡大する可能性のある投資ファンド設立を公表しており、孫正義社長はこのファンドの目線で投資機会を見ている可能性がある。
数年前、ウィーワークを設立したアダム・ニューマン氏が資金援助を頼んだ際、ソフトバンクは支援しないことを決めた。しかし、その判断を再検討するのに十分な多くの根拠が存在する。ウィーワークは世界10カ国38都市に125カ所の拠点を構え、企業顧客700社を含む9万の有料会員を抱えており、事業の有望さはより明確になっている。
さらに、昨年、展開する拠点や都市などを倍増させるなど成長や業績の伸びは顕著だ。
ソフトバンクの側にも考え方に変化があったということかもしれない。最大の違いは、孫氏が巨額のファンドから出資したくてうずうずしているということだろう。もっとも、ソフトバンクがウィーワークへの投資資金をどこから調達するのかは明らかになっていないが。
昨年10月、ソフトバンクは世界でIT分野に投資する「ビジョン・ファンド」を設立。同ファンドの少なくとも4分の3は、サウジアラビアやアップル(AAPL.O)、オラクル(ORCL.N)創業者のラリー・エリソン氏ら外部投資家が出資。この取り組みの一環として、ソフトバンクは多くのバンカーを雇い入れたほか、最近ではヘッジファンドのフォートレス・インベストメント・グループ(FIG.N)の33億ドルでの買収も発表している。
ソフトバンクはこれまで、ヤフージャパン(4689.T)や中国のアリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)など、事業の立ち上げ段階で投資してきた歴史がある。これらに対し、より大規模な米携帯電話大手スプリントへの投資はそこまで満足のいく結果にはなっていない。ビジョン・ファンドはその規模の巨大さと、資金の多くが外部から提供されるという点において、ソフトバンクの視点をゆがませる危険性をはらんでいる。
背景となるニュース
*米CNBCは27日、ソフトバンク・グループが米シェアオフィス会社ウィーワークへの投資を確定しつつあると報道。投資額は30億ドルを超えるとみられ、IT・電気通信分野以外にも事業分野を拡大する狙いがある。
*ソフトバンク創始者の孫正義社長は、ここ数カ月、いくつもの買収や投資を打ち出し市場を驚かせている。直近では、米投資会社「フォートレス・インベストメント・グループ」の現金での買収を公表した。
*これらの買収・投資は、電気通信サービス市場が成熟し、ソフトバンクが最先端のIT分野へと移行しようとする文脈の中での動き。昨年には、サウジアラビアの政府系ファンドとともに、IT分野に投資するファンドを設立すると発表。ファンドの規模は1000億ドル規模に上る可能性があり、そうなればソフトバンクは世界最大級のプライベート・エクィティ(PE)投資家に名を連ねる。
*筆者Rob Coxは「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。