朴大統領と“保守系3紙”の関係崩壊…すっかり様変わりした韓国の風物詩
マスコミが反日報道の度合いを高めていき、それが最高潮に達すると、大統領が激しく日本攻撃の演説をする。
猛暑の中、庶民は犬肉料理(=ポシンタン)と焼酎で祝日を楽しむ-。これぞ韓国の夏の風物詩、光復節(8月15日)の一日だったの
に、すっかり様変わりしてしまった。
高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題での中国による“いじめ”に泣き、経済的不正(=為替操作やダンピング輸出)に対する米国
から“お叱り”を受け、憂さ晴らしになるはずだったオリンピックで韓国勢は振るわず…。
光復節は日本からの解放記念日なのに、朴槿恵(パク・クネ)大統領の記念演説の中に「日本」が出てきたのは、1センテンスのみ。
「歴史を直視する中で」 と、韓国でしか通用しないイデオロギー用語を使ったが、もはや何の迫力もない。
そこにあるのは、「コウモリ外交」で国のかじ取りをすっかり誤り、外患内憂 に陥っている政権の哀れな姿だ。
韓国のマスコミは例年、光復節を前に、日本人としては怒る前に噴き出したくなるような日帝支配史に関する捏造型の発掘記事を掲
げて紙面競争を展開してきた。が、今年はその面でも目立った記事がなかった。歴史系の反日ネタも尽きてきたのかもしれない。
この時期の韓国マスコミでむしろ目を引いたのは、「保守系3紙」の中で、朝鮮日報・東亜日報と、中央日報との路線の違いだ。
朝鮮・東亜 日報が中国の“いじめ”に対抗する民族主義的あるいは「反北反中(親米)」の論調を強めたのに対し、
中央日報はストレートに「THAADを放棄しよう」 (7月1日)と題する国際問題論説委員の論評を掲載して、「親中・事大主義」への道に
踏み込んだように思える。
親会社に当たるサムスングループが“中国の ドロ沼”に、すっかり足を取られていることも関係しているのだろうか。
中央日報(8月15日)は、THAAD配備には国会の批准手続き が必要だとする野党党首の頓珍漢な発言を好意的に報じた。
朝鮮日報(8月14日)が「中国に『韓国は御しやすい国』と思わせるな」、
東亜日報(8月15 日)が「日本と和解して韓米日協力で安保強化を」との主張を展開したのとは、かなり違う。
「保守系3紙」という枠組みが崩れ始めたようだ。
変わらぬものもある。光復節記念の大恩赦だ。
朝鮮日報の日本語サイト(8月12日)は「4876人に恩赦」と報じたが、とんでもない。4876人とは刑法犯に対する特別赦免の数字で
あり、道交法違反者らに対する処分取り消しなどを含めると、実は142万人を超える。
特赦対象者の中には、「横領、背任、脱税」という絵に描いたような悪の3点セットで、収監4カ月目のCJグループ会長も含まれた。
昨年はSKグループ会長を特赦して「経済活性化のため」という珍妙なる説明を広報した韓国の政権だが、
今年は当たり前のように特赦した。
あと何年かしたら、光復節の第一義は「犯罪人解き放しの日」になっているかもしれない。
毎年大恩赦があるので、財閥は刑事事件を起こしても1年以内で釈放される。法治の秩序を政府自ら乱していては
犯罪はなくならなし、財閥一族の横暴もなくならない。
救急車を優先させないなどの交通マナーの悪さもいつまでたっても改善されないだろう。
法を遵守しない、だらしない国家からも抜け出せない。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活 動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがあ る。