麻生氏、アジア開銀に対中国融資の縮小求める
麻生太郎財務相は4日、フィジーのナンディで開かれたアジア開発銀行(ADB)年次総会で
演説し、中国を念頭に、中期的な終了に向けて低利融資縮小の検討を始めるようADBに求めた。
経済成長したにもかかわらず融資を受け続ける一方、新興国に投融資して影響力を増している
中国を牽制(けんせい)した形だ。ただADBは、中尾武彦総裁が4月の記者会見で対中融資を
減らさないと発言するなど日本政府との温度差も見られ、実効性ある検討を進められるかが
課題となる。
「(成長した国は)支援分野を重点化しながら(融資対象からの)卒業へ具体的な道筋を
議論していくべきだ」。麻生氏は演説でこう訴えた。対中融資は2020年まで現行戦略に沿って
行われるため、21年以降の融資額見直しを求めた。
ADBの融資対象国の基準は、1人当たり国民総所得(GNI)年6795ドル
(約75万5千円)が上限。ADBと同じ国際開発金融機関の世界銀行によると、17年の
中国の同GNIは8690ドルで、基準を上回っている。だが、昨年のADBの融資契約締結額の
うち中国向けは12%に達しており、インドの16%に次ぐ規模だ。日本は対中融資を縮小して
低所得国への融資を増やしたい考えだ。
日本が警戒するのは、アジアインフラ投資銀行(AIIB)などを通じ中国がアジアでの
影響力を強めていることだ。債務返済が滞ったスリランカが港の運営権を中国に奪われる例も
出ており、麻生氏は2日の記者会見で「サラ金(消費者金融)の多重債務と同じだ」と批判した。
また日本には、中国との対決姿勢を強める米国と歩調を合わせる狙いもある。
4月、世銀総裁に対中強硬派のマルパス前米財務次官が就任し、対中融資の削減方針を明言した。
米国は、日本と並ぶADBの最大級の出資国でもある。
ただ、ADB総裁の中尾氏は先月、東京都内での記者会見で、「ADBは対中融資を量的にも
比率的にも今の水準を維持する」と述べ、政府方針とのズレを見せた。財務省幹部は「ADBも
(政府方針を)分かってくれるはず」と語るが、足並みをそろえられるかが焦点だ。
https://www.sankei.com/world/news/190504/wor1905040034-n1.html
麻生副総理は会談後の記者会見で、「中国はすでに資金を“借りる側”ではなく“貸す側”になっている。
都合のいいときだけ、発展途上国の顔をするようなことのないようにしてほしいということだ」
と述べました。
麻生財務大臣 中国 融資受ける国から卒業を(19/05/05)