なぜロシアがテロの標的となるのか
2017.04.04 Tue posted at 18:58 JST CNN
(CNN) ロシアのプーチン大統領が2015年後半にシリアでの空爆を指示した際、その目標は明確だった。そこ住むテロリストを、彼らがロシアの人々を殺害する前に殺害することだった。
ロシアから数千人がシリアへ向かい、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS) 」に参加した。その多くはカフカス地方の出身者だった。彼らの多くが能力の高い戦士との評判を得た。
ロシア政府は、フランスやベルギー、英国と同じように、戦闘で経験を積んだ自国民が大惨事を引き起こすために戻ってくることを恐れていた。
ロシアによるシリアへの介入は西側からは冷たい目で見られることもあったが、ロシアの人々には必要な対テロ作戦として喧伝(けんでん)された。
一部の専門家からは、ロシアのシリアでの活動が多くの潜在的なテロリストの殺害につながった一方で、他の多くのテロリストにとってロシアへ反撃を行う気持ちを強めたとの見方が出ている。
実際にISISは2015年、ロシアの旅客機に爆弾を仕掛け224人が死亡した事件について、ロシアによる空爆を動機としてあげている。
シリアとのつながりだけがロシアのテロに対する懸念材料ではない。
カフカス地方北部で続く分離主義者やイスラム主義者による反乱が何度も、大規模で破滅的な軍事的行動につながっている。
2002年にモスクワ劇場で起きた占拠事件は世界に衝撃を与えた。この事件では129人の死者が出ている。
2004年のベスラン学校占拠事件では330人超が死亡した。その多くは子どもだった。
モスクワの地下鉄を標的とした襲撃は2004年と2010年に発生している。
2013年12月にはロシア南部のボルゴグラードで自爆テロが発生している。この時の攻撃の場所は比較的チェチェンに近く、当時はテロリストがもはやモスクワや有名な標的を狙う能力を持ち合わせていないことの証左だとみられていた。
しかし、今回、サンクトペテルブルクの地下鉄で起きたことを見ると、これは間違っていたようだ。
ロシアの治安部門や諜報(ちょうほう)部門はここ数年、人的資源や専門家を南西方面からのテロの脅威の封じ込めや阻止に費やしてきた。
これまでのところ攻撃を行ったと主張する組織や個人は現れてはいないが、今回の事件の詳細が判明するにつれ、ロシア政府は同国の強固な治安網をどうやって潜り抜けることができたのか、理解しようと躍起になることだろう。
ロシア地下鉄爆発、実行犯はキルギス出身者 死者11人に
2017.04.04 Tue posted at 17:47 JST CNN
モスクワ(CNN) ロシア第2の都市、サンクトペテルブルクで3日に起きた地下鉄爆破事件で、実行犯とみられる人物は中央アジア・キルギスの出身者と判明した。
複数のメディアがキルギス治安当局の話として伝えたところによると、この人物は同国のアクバルジョン・ジャリロフ容疑者と確認された。
CNN系列局によると、事件の死者は11人、負傷者は51人に上っている。国営タス通信は保健相の話として、負傷者のうち4人が重体と伝えた。
現場の両側の駅はいずれも4日までに再開し、3日間の服喪期間が始まった。
プーチン大統領は3日、治安、捜査当局者らとの会合で初期捜査の結果について報告を受けたという。
ロシア南部チェチェン共和国の独立派か、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」による犯行との見方を示す専門家もいた。CNNモスクワ支局長は、チェチェン独立派がシリアでISISの戦闘に参加し、過激化して犯行に及ぶこともあり得ると述べた。
一方で米連邦捜査局(FBI)の元工作員はCNNに、犯行声明が出ていないのはISISによる手口の特徴に合わないと語った。
ロシアでは最近、プーチン政権の汚職に抗議するデモが拡大している。政府がこの事件をきっかけにデモから注意をそらせようとしたり、関連が疑われる人物を一挙に取り締まったりする可能性も指摘されている。