EMERALD WEB≪拝啓 福澤諭吉さま≫

政治・経済・生活・商品情報などさまざまな話題で情報を発信してます。

対北朝鮮は緩和か強硬か? 米韓に食い違い。 次のステップ巡る不協和音に両国の目的の違いが見てとれる

2018-10-21 10:12:48 | 朝鮮半島有事・非核・南北朝鮮

対北朝鮮は緩和か強硬か? 米韓に食い違い

次のステップ巡る不協和音に両国の目的の違いが見てとれる

2018 年 10 月 19 日 10:44 JST   THE WALL STREET JOURNAL

ポンペオ米国務長官(左)と北朝鮮の金委員長(平壌、7日)

 【ソウル】北朝鮮に核兵器の放棄を説得するにはどうすべきかを巡り、韓国と米国のあつれきが

高まっている。米政府が圧力を維持する一方で、韓国政府は制裁を緩和し、北朝鮮の孤立を解消する

道を探っている。

 米韓両国はこのところ外交的関与で協調していた

――最も顕著な例が、6月のドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党

委員長による米朝首脳会談の開催――

が、次のステップを巡る不協和音は、両国の目的の食い違いを反映する。


 韓国当局は北朝鮮との経済的関与のペースを速めている。これに対し、米当局は正恩氏がまだ核兵器放棄に

向けた具体的な行動を取っていないと反発を強める。


 韓国と北朝鮮は今週、南北の道路や鉄道を連結する計画で合意し、早ければ来月にも着工すると発表した。

また最近、南北共同連絡事務所が北朝鮮側に開設され、韓国から燃料や電気が供給されている。


 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、平壌で9月に開かれた南北首脳会談で正恩氏に協力の

促進を約束した。韓国4大財閥トップもこれに随行していた。

また文氏は今週、米国に対し「北朝鮮の(非核化の)スピードアップを促す」ほか、人道支援を拡大するため、

制裁を解除するよう求めた。さらに正恩氏は文氏の要請に応じて年内にソウルを訪れる予定だ。

これは北の最高指導者による初のソウル訪問となる。


 マスゲーム・芸術公演を鑑賞する韓国の文大統領(写真中央左)と北朝鮮の金正恩委員長(平壌、9月)


 南北の緊張緩和のスピードに米当局は懸念を抱いている。米国は北朝鮮を交渉のテーブルに着かせたのは

経済制裁の効果だとしており、制裁緩和で非核化交渉における米国の影響力が低下することを危惧する。


 「韓国人はわれわれが輪の中に入らなくてよいと考えているようだ」とある米外交官は言う。


 米外交当局は、南北共同連絡事務所の設置が制裁に違反する可能性があると指摘。韓国はその懸念には

根拠がないと反論した。また米財務省は先月、韓国の銀行が対北朝鮮制裁に違反する行為をすれば、

罰則を科すと警告した。


 トランプ大統領は先週、韓国の人々の怒りを買った。韓国外相が同国の科した2010年の制裁を解除する

可能性に言及したと聞かされたトランプ氏は「彼ら(韓国)はわが国の承認がなければ何もできない」と

記者団に語った。


 米国が圧力を維持するもう1つの兆候は、国務省が最近、北朝鮮への医療・食糧支援を行う米国の

人道活動家らに対し、訪朝を禁止し始めたことだ。近く開催される可能性がある2度目の米朝首脳会談に向け、

北朝鮮に対する締め付けを強める狙いがあると関係者は話す。


 米韓の矛盾するアプローチは、その目的が異なることを浮き彫りにする。


 文氏にとって最優先課題は、南北の平和維持だ。緊張緩和にこだわる姿勢の背景には、昨年トランプ氏と

正恩氏が相手を愚弄(ぐろう)する発言を繰り返し、戦争の可能性が現実味を帯びたことがある。

 

 これに対し、米国が最優先するのは北朝鮮の核の脅威を後退させることだ。北朝鮮は昨年、米国本土を

射程に収める長距離ミサイルの発射能力があることを証明してみせた。


 「意見対立の兆しが公になったことは、米韓両国の間に非公式会合ではもっと深刻な対立があることを

意味する」と韓国の元政府幹部は指摘する。


 韓国外務省の当局者は今週、同国政府は引き続き、対北朝鮮制裁で米国との協調姿勢をとり、

不要な論争は避けるつもりだと語った。


 一方、北朝鮮は制裁緩和への要求を一段と強めている。今月訪朝したマイク・ポンペオ国務長官が

正恩氏との会談の成果を強調したにもかかわらず、人道支援活動などで制裁を強化したことに対し、

米政府は「表裏のある行動を取っている」と非難した。