「新型肺炎防止策は行き過ぎ」、習主席が当局者に抑制指示
2020年2月11日 / 16:53 / REUTERS
[北京 11日 ロイター] - 関係筋によると、中国の習近平国家主席は先週、
地方当局の高官に対し、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ取り組みは行き過ぎており、
国内経済に悪影響をもたらしていると警告した。その数日後に中国政府は経済への影響を
軽減する措置を発表した。
関係筋2人がロイターに明らかにしたところによると、習氏は感染拡大に関する国家
発展改革委員会(発改委)などの報告書を見た後、3日に開かれた共産党政治局常務
委員会の会合で地方当局者に対し、感染拡大防止のための一部の措置は経済に悪影響を
もたらしていると指摘した。
そのうえで「さらに制限するような措置」は控えるよう求めたという。
ウイルスの発生源とされる湖北省武漢市以外でも学校・工場の閉鎖や道路や鉄道の
封鎖などの措置が取られている。習氏はこうした措置の一部は実際的ではなく、
市民に不安を植え付けているとの見方を示したという。
国営新華社は3日の政治局常務委員会の会合について、新型コロナウイルスの感染拡大は
「中国の制度や統治能力への大きな試練」だと報道。また「党委員会やあらゆるレベルの
政府は今年の経済・社会発展目標を達成するよう求められた」と伝えた。
3日の会合後、中国人民銀行(中央銀行)は景気支援策を強化すると表明。発改委は
先週末の会見で、食品や医薬品など「重要産業」を中心に企業や工場に業務再開を
促していると明らかにした。
新型肺炎流行、4月に終息も。ピークは2月か。中国専門家トップが予想
2020年2月11日 / 19:13 / Reuters
感染症研究の第一人者で中国政府の専門家チームを率いる鐘南山氏
[広州(中国) 11日 ロイター] - 感染症研究の第一人者で中国政府の専門家チームを
率いる鐘南山氏がロイターのインタビューに応じ、中国国内における新型コロナウイルス
の流行が2月にピークを迎え、4月ごろに終息する可能性があると予想した。
同氏によると、中国国内の一部地域では既に状況が改善しており、新たな感染件数が
減少している。同氏は2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)対策で
大きな役割を果たし、国際的に高い評価を得た。
鐘氏は従来、2月より早い時期にコロナウイルスの流行がピークを迎えると予想していた。
今回の予測はモデリングやここ数日の動向、政府の措置に基づいているとした。
「今月の半ばか下旬に恐らくピークを迎える可能性がある。その後はやや横ばいの
ような状態になり、それから収まるだろう」とし、「4月ごろに終息すると望んでる」
と述べた。
その上で、新型ウイルスに「なぜこれほどの伝染性があるのかは分かっておらず、
大きな問題だ」と慎重な見方を示した。
感染経路についても、排せつ物を介した感染なのか、1人の感染者が多人数に感染を
広げる「スーパー・スプレッダー」によるものなのかは、明確ではないとした。
感染が拡大していない地域でのマスク着用は必ずしも必要でなく、米国などが実施した
中国からの入国制限措置は「過剰反応」と指摘した。また、子どもは感染しにくい
ようだとの見方を示した。
同氏は、発生源である湖北省武漢市における封じ込め策が必要だと指摘。中国は恒久的に
野生生物の売買を禁止すべきだとも述べた。
また、中国政府が過去のSARS危機で情報の共有に消極的だったことが危機の長期化に
つながったと指摘した上で、新型ウイルスの対応では世界保健機関(WHO)と連携
するなど、より良い措置が講じられたと評価した。
同時に、中国は疾病対策を改善し、国際的な感染症の早期警報システムの立ち上げで
役割を果たす必要があるとし、「よりしっかりとした連携や協力があれば、人から人への
感染をより早期に確認できる」と述べた。