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主夫の徒然なるままに

公文式? 「なぜ、東大生の3人に一人が公文式なのか」

おおたとしまさ氏の「受験と進学の新常識」を読んで、彼の著作に興味を持ち、「習い事狂騒曲」を読んでみた。おもしろい内容だったので、さらに「なぜ、東大生の3人に一人が公文式なのか」を読んでみた。


 自分の娘が小学校5年生の時、算数の成績がイマイチだと聞かされて、自分の勤める塾の夏期講習に参加させてみた。いろいろ試しているうちに二桁から一桁の引き算に指を使っているのを見つけた。例えば、「13ー7 は、いくつ」という答えに即答できないのである。要するに計算をしているわけだが、二桁引く一桁などの計算は、計算ではなく暗記しておかなくてはいけない。九九と同じ考えと思っていい。だが、普通の小学校の算数授業では、そういう暗記の訓練はしてくれない。娘には、二桁引く一桁の口頭特訓とプリントを作って即答できるようにさせた。算数の不得意感がなくなり、成績も向上した。もし、このことに気が付いていなかったら落ちこぼれになっていたかも知れないと今でも思う。
 そこで、「二桁引く一桁」35問プリントを作って、いろいろな生徒にさせてみた。驚きの結果がでた。40秒程度でできる子はやはり優秀な生徒で、地域一番の高校に進学希望の生徒であった。2分以上かかる生徒もいて、やはり、数学に問題のある生徒が多かった。さらに驚いたことだが、私立の底辺高校に進学した生徒にやらせてみると、指を使って計算していた。もっと早く気づいてやればよかったと思う。塾での保護者会などでは、このプリントをお母さん方にも使ってもらい、お子さんの現状を測る物差しにもしてもらったりしていた。ちなみに、一番最速の結果を残したのは、ある小学校の校長だった。20秒かからない速さで群を抜いていた。さすがである。
 
 さて、この本から、公文式は、計算に特化したプリントであることを知った。図形や文章題のプリントはない。また、先生が教えることも一切ない。教えてはいけない。例題を見て、自分で考えで答えを出し、100点を取ることで次のプリントに進んでいく。単純である。文章題がないのに不安を覚えるかもしれないが、小3の生徒が、小6に計算力があれば、小3の文章題など難なく解けるという説明には納得させられるものがある。微分積分の計算ができる生徒が中2の文章題や図形の問題がスラスラ解けるのは当然かもしれない。自分の娘のことを考えると計算がどれほど重要かを考えさせられる。
 公文式、現代では、世界で一千万人以上が受講するすぐれた教育法である。故に東大生の3人に一人が公文式に通っていたという。公文式の優れた点を挙げるなら、もちろん計算力の向上であるが、週2回の塾の日30分程度と、毎日の宿題30分程度を必ず実行する、その勉強の継続、習慣を早いうちに身に着けさせることの利点が大きいそうだ。自分の能力の2年前ぐらいの易しい問題から始め、100点をとれる満足と自信を付けさせ、継続への力にする。さらに学校の進路に関係なくどんどんと高学年の内容に進んでいく。その達成感は、さらに自分への自信とつながるだろう。アメリカの公立学校にも導入されたそうだ。

さて、いいことづくめの前半の解説から、後半では、いくつかの問題点をあげている。一般に公文式へのアンチテーゼは、計算力はあるが、文章題などの考える問題に弱いということ。現在に求められている21世型教育法、詰込み型から「ゆとり」を経て「脱ゆとり」教育へと転換した現在の教育理念から遠いという点にある。もちろん、公文式にあう生徒、あわない生徒はいると思うし、公文式で勉強嫌いになる子もいる。これは、どのような教育でも存在する問題点だが、学習者が多い分だけ、表に出てくる結果であろう。幼い子供に公文をやらせて、プリントを見るだけで嫌がる子供に育ててしまう可能性、子供の伸長に一喜一憂し、家庭が公文に染まってしまう可能性など暗い部分も大きいと思う。塾の経験から、机の前で、「その問題違うよ」と指摘すると、即座に答えを消す子供がいる。間違えを恐れすぎる子供に育っている。公文だからとは言わないが、怒られることの恐怖なのか、100点でない不安なのか、なぜ間違っているのか考えようとしない。そのような子供は非常に多いし、また、そのような子供になってほしくないと思う。「理解すること」よりも「できること」を第一に考える公文式。ただし、最低でもこの本を読んでから公文式を批判するべきであろう。

 この「なぜ、東大生の3人に一人が公文式なのか」という本によると、東大への道のりは、幼少期から公文を始め、小3で小6の内容をマスター、小4から中学受験塾へ、が前半の戦い方だそうだ。あなたのお子さんは、どのような選択をさせるのだろうか。



<主夫の作る夕食>
秋です。炊き込みご飯とナス、焼き赤魚を作ってみました。



<想い出の一枚>
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