「みなさん、こんにちは。今週の『あなたの人生、どこで間違ったの?』の時間です。本日は、昨年11月“甲斐性ナシ評論家”としてこちらに出演された折、視聴者からの抗議が殺到し、やむなく番組半ばで打切りにせざるを得なかったという問題の人、ゾンビさんに再びお越しいただいております。ゾンビさん、お久しぶりです」
「(憮然として)どうも」
「尚、前回の収録分はこちらをご覧下さい」
甲斐性ナシ評論家
「それではゾンビさん、今日もよろしくお願いします」
「(不機嫌そうに)はぁ」
「さて。何でもその後ゾンビさんは、甲斐性ナシにとどまらず、更に広く“ある種”の男性全般についての研究を続けていらっしゃるとか」
「(一段と不機嫌そうに)ある種って?」
「ええまあ。それをお聞きしようかと」
「(無表情で)ある種も何も、ほとんどの男は元々小心者なんです。“甲斐性ナシ”なんてわざわざ特定のカテゴリーを作らなくても良かったというのはありますね。金持ってても、いい職に就いてても、ダメなヤツはダメです。甲斐性ナシという言葉を使うと、却ってそういう一群を見逃してしまう危険性があるという事に気がつきましてね」
「と言いますと?」
「男が頼りになるなんて、どっちみち幻想だと言うことです。所詮は、ちょっとチンチン小さいだの早いだの立たないだの、くだらん事で悩んでる人たちですから」
「ハ、ハ、ハ。相変わらずお厳しい」
「笑ってる場合じゃありません」
「...すいません」
「かと思うと、これまたつまらん事で自信回復したりする。或いは自分で自分に言い聞かせ、無理矢理回復させたりしてますね。何とまあ、単純で気の小さい生き物かと思います。とは言うものの、私も基本的に女なんかバカだと思ってますから、そんな男でも男は男、女よりは好きですけどね」
「スーツ、ですか?」
「(ジロっと睨んで)どこでそんな話、聞いたんですか?」
「そりゃあ、私も仕事ですから」
「...まあ、いいです。その通り、私はスーツ愛好家としても知られています。(キッパリと)男の裸なんて全然魅力感じませんね」
「おや。そうですか」
「そうです。服着て仕事してる時の方が余程セクシーです」
「...それは男性で言うといわゆる『制服マニア』に通ずるものがありませんか?」
「ウッサイなあ、もお。私を分析してどうすんですか。今日はそういう話じゃないでしょう」
「ハハ、そうでしたそうでした。どうぞ続けて下さい」
「えーと。何の話でしたっけ...(考え込む)...あ、そうそう、男が小心者だという話です。しかしですね。幼稚で気が小さく、普段は何も言えない人間ほど怒らせると怖いというのもあるんです。何しろ鬱憤も精液も恥垢もタマりにタマってますから。自然の摂理として、タマったものは出さなくちゃいけない。ところが気が弱いばっかりに、出し方を知らないわけです。こういう人間がタメ込んだものを一気に大放出させる時が怖いんですね。何するかわかりませんから。ヤクザが『喧嘩のプロよりガキの方がコワい』と言うのと同じです」
「なるほど。それはもっともですね」
「自我だけは一人前に強いくせして、魅力も能力もないもんだから誰にも認められない。そしてますますタマる。しかし目に見えない所でタメ込んでてもらっても、それは他人には見えないわけです。当然、法律も適用できない。このため、何か起きる前に素早く判断して未然に防ぐのは非常に難しいんですね」
「うーん。どうしたらいいんでしょうね」
「唯一の解決策は、男子全員の恥垢チェック義務化です」
「エッ!? じょ、冗談ですよね?」
「冗談です」
「ああ、ビックリしました」
「当たり前です。そんなこと出来るわけないでしょう。しかしその代替策はあります。それは“精神的恥垢度チェック”です」
「(後ろを振り返って)これ以上“音声ピー”入れると何が何だかわかんなくなっちゃうかな。え? とりあえず続行?止めなくていいんですか、軌道修正もなし? わかりました」
「何コソコソ話してんですか」
「ハハハ何でもありません」
「実はですね。大放出の前に、大抵“予兆”というものがあるのです。女とヤれない男がマスかいて誤魔化すのと、一緒ですね。まあ、マスはマスで快適ですからいいんですが、問題は女とヤりたいくせにヤらしてくれる女がおらず、かと言って風俗行く勇気もなく、射精するためだけにやむなくマスかくヤツです。これを肉体ではなく、精神に当てはめてみるのです。例えば、気の小さいヤツが、人に自分の正体がバレない仮想空間ではカラいばりしたりするのがその一つですね。現実では口一つきけないくせして、自我を守るため強がって見せる必要性が生じるんでしょうね。これの代表的なのが、無言電話やインターネットの匿名性を利用した嫌がらせです」
「ああ、これは最近よく聞きますね」
「こういう輩は、自分が誰だかわからないと思っている限り、いくらでも卑劣な真似をするカスの中のカスでして、まあ実際には何が出来るわけでもない臆病者ですから無視するのが一番なんですが、中には相手にされないと次第にエスカレートする奴もいますからね。勝手に女に熱を上げ、振り向いてもらえないと腹イセにストーカー化する奴と同じです。この辺の見分けは注意が必要ですね。もっともこれは、男女どちらにも見られますけどね。女は、バカなだけあって、どっちみち自分の事しか考えられないですから。ただ、女の場合、現実的なのが不幸中の幸いと言うか、犯罪は割に合わないってぐらいはわかるんでしょうね。何しろ刑務所は化粧できませんから、ブスにはたまらない苦痛でしょう。ハハハ。まあ、心にもないお世辞の一つも言っとけばいいんです、女は」
「そう! そうなんですよ。実は私も...いえ、気にしないで下さい、どうぞ」
「ですからやはり、深刻なのはやはり男の方でしょうかね。これがまたヤヤこしい事に、見るからに女にモテなさそう、タマってそうなネクラ男だけじゃないんですね。一見堂々として自信に満ち溢れているような男の中にも、意外にコンプレックスを溜め込んでいる人間もいます。理想が高すぎて現実が追いつかないため、そのギャップを埋める必要が生じるのかも知れないし、或いは、人望がある故に、他人からの期待に応えなくちゃという強迫観念に常にさらされ、その挙句破綻するというパターンでしょうか。こういう男に人前で恥かかせると、そりゃあもう大変ですよ、ハッハッハ」
「そうですか、ハッハッハ。何かあったんですか」
「ええ、まあ」
「おっと、是非それをお伺いしたいところですが、残念ながら時間切れとなってしまいました。ゾンビさん、今日はどうもありがとうございました」
「どうせ裏で編集してたんでしょう」
「イヤイヤまさか、そんな事はありませんよ」
「別にどうでもいいですけどね」
「それより、お帰りの際はくれぐれも後ろに気を付けてください」
「それもそうですね。わかりました(席を立つ)」
「それでは皆さん、また来週、ごきげんよ...アアッ!! たたた大変だ、ゾンビさーん、ゾンビさん大丈夫ですか!? しっかりして下さい、えっ?『私は畳の上では死なない』? そんなこと言ってる場合じゃ、ひーえーーー、ナマは困るよナマは、おおーーーい救急車救急車ーーーー!!!(絶叫)」
(暗転)
「(憮然として)どうも」
「尚、前回の収録分はこちらをご覧下さい」
甲斐性ナシ評論家
「それではゾンビさん、今日もよろしくお願いします」
「(不機嫌そうに)はぁ」
「さて。何でもその後ゾンビさんは、甲斐性ナシにとどまらず、更に広く“ある種”の男性全般についての研究を続けていらっしゃるとか」
「(一段と不機嫌そうに)ある種って?」
「ええまあ。それをお聞きしようかと」
「(無表情で)ある種も何も、ほとんどの男は元々小心者なんです。“甲斐性ナシ”なんてわざわざ特定のカテゴリーを作らなくても良かったというのはありますね。金持ってても、いい職に就いてても、ダメなヤツはダメです。甲斐性ナシという言葉を使うと、却ってそういう一群を見逃してしまう危険性があるという事に気がつきましてね」
「と言いますと?」
「男が頼りになるなんて、どっちみち幻想だと言うことです。所詮は、ちょっとチンチン小さいだの早いだの立たないだの、くだらん事で悩んでる人たちですから」
「ハ、ハ、ハ。相変わらずお厳しい」
「笑ってる場合じゃありません」
「...すいません」
「かと思うと、これまたつまらん事で自信回復したりする。或いは自分で自分に言い聞かせ、無理矢理回復させたりしてますね。何とまあ、単純で気の小さい生き物かと思います。とは言うものの、私も基本的に女なんかバカだと思ってますから、そんな男でも男は男、女よりは好きですけどね」
「スーツ、ですか?」
「(ジロっと睨んで)どこでそんな話、聞いたんですか?」
「そりゃあ、私も仕事ですから」
「...まあ、いいです。その通り、私はスーツ愛好家としても知られています。(キッパリと)男の裸なんて全然魅力感じませんね」
「おや。そうですか」
「そうです。服着て仕事してる時の方が余程セクシーです」
「...それは男性で言うといわゆる『制服マニア』に通ずるものがありませんか?」
「ウッサイなあ、もお。私を分析してどうすんですか。今日はそういう話じゃないでしょう」
「ハハ、そうでしたそうでした。どうぞ続けて下さい」
「えーと。何の話でしたっけ...(考え込む)...あ、そうそう、男が小心者だという話です。しかしですね。幼稚で気が小さく、普段は何も言えない人間ほど怒らせると怖いというのもあるんです。何しろ鬱憤も精液も恥垢もタマりにタマってますから。自然の摂理として、タマったものは出さなくちゃいけない。ところが気が弱いばっかりに、出し方を知らないわけです。こういう人間がタメ込んだものを一気に大放出させる時が怖いんですね。何するかわかりませんから。ヤクザが『喧嘩のプロよりガキの方がコワい』と言うのと同じです」
「なるほど。それはもっともですね」
「自我だけは一人前に強いくせして、魅力も能力もないもんだから誰にも認められない。そしてますますタマる。しかし目に見えない所でタメ込んでてもらっても、それは他人には見えないわけです。当然、法律も適用できない。このため、何か起きる前に素早く判断して未然に防ぐのは非常に難しいんですね」
「うーん。どうしたらいいんでしょうね」
「唯一の解決策は、男子全員の恥垢チェック義務化です」
「エッ!? じょ、冗談ですよね?」
「冗談です」
「ああ、ビックリしました」
「当たり前です。そんなこと出来るわけないでしょう。しかしその代替策はあります。それは“精神的恥垢度チェック”です」
「(後ろを振り返って)これ以上“音声ピー”入れると何が何だかわかんなくなっちゃうかな。え? とりあえず続行?止めなくていいんですか、軌道修正もなし? わかりました」
「何コソコソ話してんですか」
「ハハハ何でもありません」
「実はですね。大放出の前に、大抵“予兆”というものがあるのです。女とヤれない男がマスかいて誤魔化すのと、一緒ですね。まあ、マスはマスで快適ですからいいんですが、問題は女とヤりたいくせにヤらしてくれる女がおらず、かと言って風俗行く勇気もなく、射精するためだけにやむなくマスかくヤツです。これを肉体ではなく、精神に当てはめてみるのです。例えば、気の小さいヤツが、人に自分の正体がバレない仮想空間ではカラいばりしたりするのがその一つですね。現実では口一つきけないくせして、自我を守るため強がって見せる必要性が生じるんでしょうね。これの代表的なのが、無言電話やインターネットの匿名性を利用した嫌がらせです」
「ああ、これは最近よく聞きますね」
「こういう輩は、自分が誰だかわからないと思っている限り、いくらでも卑劣な真似をするカスの中のカスでして、まあ実際には何が出来るわけでもない臆病者ですから無視するのが一番なんですが、中には相手にされないと次第にエスカレートする奴もいますからね。勝手に女に熱を上げ、振り向いてもらえないと腹イセにストーカー化する奴と同じです。この辺の見分けは注意が必要ですね。もっともこれは、男女どちらにも見られますけどね。女は、バカなだけあって、どっちみち自分の事しか考えられないですから。ただ、女の場合、現実的なのが不幸中の幸いと言うか、犯罪は割に合わないってぐらいはわかるんでしょうね。何しろ刑務所は化粧できませんから、ブスにはたまらない苦痛でしょう。ハハハ。まあ、心にもないお世辞の一つも言っとけばいいんです、女は」
「そう! そうなんですよ。実は私も...いえ、気にしないで下さい、どうぞ」
「ですからやはり、深刻なのはやはり男の方でしょうかね。これがまたヤヤこしい事に、見るからに女にモテなさそう、タマってそうなネクラ男だけじゃないんですね。一見堂々として自信に満ち溢れているような男の中にも、意外にコンプレックスを溜め込んでいる人間もいます。理想が高すぎて現実が追いつかないため、そのギャップを埋める必要が生じるのかも知れないし、或いは、人望がある故に、他人からの期待に応えなくちゃという強迫観念に常にさらされ、その挙句破綻するというパターンでしょうか。こういう男に人前で恥かかせると、そりゃあもう大変ですよ、ハッハッハ」
「そうですか、ハッハッハ。何かあったんですか」
「ええ、まあ」
「おっと、是非それをお伺いしたいところですが、残念ながら時間切れとなってしまいました。ゾンビさん、今日はどうもありがとうございました」
「どうせ裏で編集してたんでしょう」
「イヤイヤまさか、そんな事はありませんよ」
「別にどうでもいいですけどね」
「それより、お帰りの際はくれぐれも後ろに気を付けてください」
「それもそうですね。わかりました(席を立つ)」
「それでは皆さん、また来週、ごきげんよ...アアッ!! たたた大変だ、ゾンビさーん、ゾンビさん大丈夫ですか!? しっかりして下さい、えっ?『私は畳の上では死なない』? そんなこと言ってる場合じゃ、ひーえーーー、ナマは困るよナマは、おおーーーい救急車救急車ーーーー!!!(絶叫)」
(暗転)