こんにちは。フォックス淳子@香港・名古屋より西に住んだ事はない(今いるだろう) しかし東京に長く住んでも香港に来ると
・声がデカくなる
・つい関西弁になってしまう
・ツッコミを入れずにはいられない性格になる
ナゼ?
さて游錫コン行政院長、昨日その後またガタガタ言ってたようで「反対じゃないんだけどぉー、大変だからぁー」という事らしい。
Premier denies opposing draft on local languages
(Taipei Times 2003.02.25 Taiwan News)
http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2003/02/25/195845
游揆:14種語言都列官方語言 有困難
(民生報 2003.02.25 政治)
http://yam.udn.com/yamnews/daily/1207532.html
ええいハッキリせん奴。大変か大変じゃないかっつったら、大変に決まってるだろう。
それで思い出したのですが、2週間前に朝日に掲載されたEUの記事が参考になるかも知れないので、最後に付記します。あちらでは14どころか20になると言う。でも、やるか、やらないかと言ったら、やっぱりやるんですよね。この鉄の信念を是非。
ちなみにTaipei Timesに出てくる法廷公用語の話ですが、香港の場合、公用語は「中国語と英語」なんですが、この中国語は話語の場合は広東語なんですね。返還まで裁判所の公用語は英語のみ、返還後は英語と「中文(文章)+広東語(会話)」で、普通話は使用できないという判例が、数年前にあったそうです。どっちも出来ない人には通訳がつきますけど、それは素人(原告、被告、証人など)の場合で、専門家(裁判官や法廷弁護士)は彼らと話す時(尋問など)も使ってはいけないらしい。で、最近はそれを「需要が多いのに(大陸出身の被告が多いという意味だろうか?)それはあんまりじゃん」という事で「両文三語」にしようという話が出ています。
もっとも、既得権益(英語・広東語)組の抵抗が物凄く強いので中々進まない。「何で母語でもないのに英語まで?」と思われるかも知れませんが、香港で英語教育というと、英語の授業だけでなく全て英語を使うという極端なもので「英語=エリートコース」という図式が完全に出来上がってしまっているんですね。だから英語が母語の人だけでなく、香港人にまで英語至上主義者が結構います。
時々「蒋介石が来たのが台湾じゃなくて香港だったら」と考える事がありますが、さすがの独裁者も香港人の前には敢え無く敗北したんじゃないかと(笑) イギリス人と国民党て「太陽と北風」に例えられるような気がする。話がそれてしまいましたが、記事は以下の通り。
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EUの通訳、大幅増員へ 加盟国増え公用語倍に
「言語尊重の原則」で肥大化
(朝日 2003.02.11 朝刊国際欄)
欧州連合(EU)が通訳、翻訳者の大増員を迫られている。中東欧諸国など10カ国の新加盟によってEUの公用語が04年に11から20へとほぼ倍増するからだ。参加国を平等に扱うための民主主義のコストとされているが、すでに約4千人いる通訳、翻訳者の一層の増員や印刷費などのコスト上昇は避けられそうにない。(ブリュッセル=脇阪紀行)
●「民主主義のコスト」大勢
昨年11月、EU拡大を討論するため13の加盟候補国の210人の国会議員が欧州議会に招かれた時のことだ。
立ち上がったラトビアの女性議員がこう切り出した。「旧ソ連に併合されていた時代、私たちはロシア語を強要され、自分たちの言葉を話せなかった。この場で母国語で話せることがうれしい」
議場の後方に並ぶ専用ブースから通訳の言葉が伝わると、約600人の欧州議員が陣取る議場から拍手がわきあがった。
しかし舞台裏はてんやわんやだった。中東欧諸国の言語ができる通訳が足りず、議会側はこの日、臨時雇いを含めて200人余りの通訳をかき集めていた。ブースにいる通訳は、議員4人に1人の割合になった。
EUの前身である欧州経済共同体(EEC)が発足した58年当時には、通訳・翻訳者は15人しかいなかった。それが約4千人にまで増えたのは、EUが掲げる民主主義と言語尊重主義のためだ。EUの運営に民意を反映させ、加盟国を平等に扱うこの原則に沿って、新加盟の国が生まれるごとにその国の公用語がEUの公用語に追加採用された。人口約40万のマルタの言葉が次期公用語に選ばれたのも、人口の大小にかかわりなくこの考えを貫いたためだ。
EU本部があるブリュッセルはフランス語圏だが、米国中心の経済グローバル化の流れの中で、EU内でも英語の影響力が強まっている。仕事の大半は英仏2カ国語で進められていると言っていいほどだ。しかし原則を頑固に守り続けるEUの姿勢は変わりそうにない。通訳がつく会議は欧州委だけでも年間1万1千回を超える。
しかし、公用語の増加によるコスト増については「民主主義のコスト」との受け止めが大勢だ。EU財政のお目付け役である欧州議会のエレス副議長(英国出身)は「経済は一つになっても言葉は違う。同僚議員はみんな英語で話しかけてくれるが、討論になれば別。言葉はEUで一番微妙な問題だ。多言語方式による負担は工夫で節約するしかない」と話す。
通訳・翻訳者の採用計画は公表されていないが、数百人規模にふくらむのは確実だ。
●「リレー方式」で節約
EU関係者が一番恐れているのが「無駄遣い」批判だ。
EUは近年、「リレー通訳」を推進している。11の公用語を他の言語に直接訳す場合、理屈の上では110人の通訳が必要だ。公用語が20になれば、これが380人にふくれあがってしまう。そこで「リレー通訳」では、発言者の言語を第1の通訳がまず英仏独など使用頻度の高い言葉のいずれかに訳し、それを聞いた第2の通訳が他の国の言葉に訳していく。時間差が生まれるのが難点だが、これにより通訳の数は減らすことができる。
「リレー通訳」が機能するには優秀な通訳が必要だ。EUの職員の多くは2、3カ国語を話すが、通訳になると7、8カ国語理解する人もいる。似通った言語構造の言葉が多いから可能なのだが、EUは職員に研修費を出して、さらに習得言語を増やすよう奨励し、人事評価にも反映させようとしている。
インターネットや遠隔会話機器の活用、職員ではなく、フリーランスの通訳の増員、各国の大学での通訳養成講座の支援などの対策も同時に取られそうだ。
◇ ◇
◆《メモ》
欧州議会資料によると、EU諸機関で働く通訳はフリーや管理職を含めて950人、翻訳者は3千人。国連を上回る「世界最大の通訳・翻訳者集団」とされる。欧州委で1900人が活動、秘書や助手を含めると8人に1人が言語関係の部署で働いている。
活動費用(99年)は6億8600万ユーロ(890億円)でEU予算の0・8%。EU市民1人当たり2ユーロの負担だ。04年の追加費用は推定1億7千万ユーロ(220億円)。
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Junko FOX
・声がデカくなる
・つい関西弁になってしまう
・ツッコミを入れずにはいられない性格になる
ナゼ?
さて游錫コン行政院長、昨日その後またガタガタ言ってたようで「反対じゃないんだけどぉー、大変だからぁー」という事らしい。
Premier denies opposing draft on local languages
(Taipei Times 2003.02.25 Taiwan News)
http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2003/02/25/195845
游揆:14種語言都列官方語言 有困難
(民生報 2003.02.25 政治)
http://yam.udn.com/yamnews/daily/1207532.html
ええいハッキリせん奴。大変か大変じゃないかっつったら、大変に決まってるだろう。
それで思い出したのですが、2週間前に朝日に掲載されたEUの記事が参考になるかも知れないので、最後に付記します。あちらでは14どころか20になると言う。でも、やるか、やらないかと言ったら、やっぱりやるんですよね。この鉄の信念を是非。
ちなみにTaipei Timesに出てくる法廷公用語の話ですが、香港の場合、公用語は「中国語と英語」なんですが、この中国語は話語の場合は広東語なんですね。返還まで裁判所の公用語は英語のみ、返還後は英語と「中文(文章)+広東語(会話)」で、普通話は使用できないという判例が、数年前にあったそうです。どっちも出来ない人には通訳がつきますけど、それは素人(原告、被告、証人など)の場合で、専門家(裁判官や法廷弁護士)は彼らと話す時(尋問など)も使ってはいけないらしい。で、最近はそれを「需要が多いのに(大陸出身の被告が多いという意味だろうか?)それはあんまりじゃん」という事で「両文三語」にしようという話が出ています。
もっとも、既得権益(英語・広東語)組の抵抗が物凄く強いので中々進まない。「何で母語でもないのに英語まで?」と思われるかも知れませんが、香港で英語教育というと、英語の授業だけでなく全て英語を使うという極端なもので「英語=エリートコース」という図式が完全に出来上がってしまっているんですね。だから英語が母語の人だけでなく、香港人にまで英語至上主義者が結構います。
時々「蒋介石が来たのが台湾じゃなくて香港だったら」と考える事がありますが、さすがの独裁者も香港人の前には敢え無く敗北したんじゃないかと(笑) イギリス人と国民党て「太陽と北風」に例えられるような気がする。話がそれてしまいましたが、記事は以下の通り。
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EUの通訳、大幅増員へ 加盟国増え公用語倍に
「言語尊重の原則」で肥大化
(朝日 2003.02.11 朝刊国際欄)
欧州連合(EU)が通訳、翻訳者の大増員を迫られている。中東欧諸国など10カ国の新加盟によってEUの公用語が04年に11から20へとほぼ倍増するからだ。参加国を平等に扱うための民主主義のコストとされているが、すでに約4千人いる通訳、翻訳者の一層の増員や印刷費などのコスト上昇は避けられそうにない。(ブリュッセル=脇阪紀行)
●「民主主義のコスト」大勢
昨年11月、EU拡大を討論するため13の加盟候補国の210人の国会議員が欧州議会に招かれた時のことだ。
立ち上がったラトビアの女性議員がこう切り出した。「旧ソ連に併合されていた時代、私たちはロシア語を強要され、自分たちの言葉を話せなかった。この場で母国語で話せることがうれしい」
議場の後方に並ぶ専用ブースから通訳の言葉が伝わると、約600人の欧州議員が陣取る議場から拍手がわきあがった。
しかし舞台裏はてんやわんやだった。中東欧諸国の言語ができる通訳が足りず、議会側はこの日、臨時雇いを含めて200人余りの通訳をかき集めていた。ブースにいる通訳は、議員4人に1人の割合になった。
EUの前身である欧州経済共同体(EEC)が発足した58年当時には、通訳・翻訳者は15人しかいなかった。それが約4千人にまで増えたのは、EUが掲げる民主主義と言語尊重主義のためだ。EUの運営に民意を反映させ、加盟国を平等に扱うこの原則に沿って、新加盟の国が生まれるごとにその国の公用語がEUの公用語に追加採用された。人口約40万のマルタの言葉が次期公用語に選ばれたのも、人口の大小にかかわりなくこの考えを貫いたためだ。
EU本部があるブリュッセルはフランス語圏だが、米国中心の経済グローバル化の流れの中で、EU内でも英語の影響力が強まっている。仕事の大半は英仏2カ国語で進められていると言っていいほどだ。しかし原則を頑固に守り続けるEUの姿勢は変わりそうにない。通訳がつく会議は欧州委だけでも年間1万1千回を超える。
しかし、公用語の増加によるコスト増については「民主主義のコスト」との受け止めが大勢だ。EU財政のお目付け役である欧州議会のエレス副議長(英国出身)は「経済は一つになっても言葉は違う。同僚議員はみんな英語で話しかけてくれるが、討論になれば別。言葉はEUで一番微妙な問題だ。多言語方式による負担は工夫で節約するしかない」と話す。
通訳・翻訳者の採用計画は公表されていないが、数百人規模にふくらむのは確実だ。
●「リレー方式」で節約
EU関係者が一番恐れているのが「無駄遣い」批判だ。
EUは近年、「リレー通訳」を推進している。11の公用語を他の言語に直接訳す場合、理屈の上では110人の通訳が必要だ。公用語が20になれば、これが380人にふくれあがってしまう。そこで「リレー通訳」では、発言者の言語を第1の通訳がまず英仏独など使用頻度の高い言葉のいずれかに訳し、それを聞いた第2の通訳が他の国の言葉に訳していく。時間差が生まれるのが難点だが、これにより通訳の数は減らすことができる。
「リレー通訳」が機能するには優秀な通訳が必要だ。EUの職員の多くは2、3カ国語を話すが、通訳になると7、8カ国語理解する人もいる。似通った言語構造の言葉が多いから可能なのだが、EUは職員に研修費を出して、さらに習得言語を増やすよう奨励し、人事評価にも反映させようとしている。
インターネットや遠隔会話機器の活用、職員ではなく、フリーランスの通訳の増員、各国の大学での通訳養成講座の支援などの対策も同時に取られそうだ。
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◆《メモ》
欧州議会資料によると、EU諸機関で働く通訳はフリーや管理職を含めて950人、翻訳者は3千人。国連を上回る「世界最大の通訳・翻訳者集団」とされる。欧州委で1900人が活動、秘書や助手を含めると8人に1人が言語関係の部署で働いている。
活動費用(99年)は6億8600万ユーロ(890億円)でEU予算の0・8%。EU市民1人当たり2ユーロの負担だ。04年の追加費用は推定1億7千万ユーロ(220億円)。
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Junko FOX