気の向くままに junne

不本意な時代の流れに迎合せず、
都合に合わせて阿らない生き方を善しとし
その様な人生を追及しています

'75. 6.14. 「オイルを塗って…」

2022年06月14日 | 日記・エッセイ・コラム
   6.14.     「オイルを塗って…」
 
昨夜の別れの際に約束したとおり長谷川章子と一緒に西桟橋に出て、南へ向かう様に渚(岩場?)を歩き、コンドイ浜で海水浴(日光浴)を楽しんだ。水面が膝ぐらい迄の浅いところ、岩場付近で小さな水色の熱帯魚を見つけた。別にどうという事はない当たり前の事なのではあるが、その当たり前…というのも『ここでは』の話し。私は「童心」という言葉を思い出した。
かつて私は「メリーゴーラウンド」で『子供に帰ろう。大人に成る時に忘れてしまった心の在り方、物の味方が必要なんだ』と詩った事かあったけれど、この竹富の海の中、小さな熱帯魚が私にそれを再認識させた様だ。もっともこの事は感性とも関係があるのだけれど、小さな子供がその独自の目で砂浜に別世界を見ながら遊ぶのに似ている。その子は大人の立ち入る事の出来ない、驚きの体験をしているのだ。その驚きの、歓びの、感動の世界を、この海は垣間見せてくれたのである。内地の大都会に生まれ育ったこの私に、この『自然』の中で、自然というものは、人間を素直にさせる力を持つものなのかも知れない…と知らしめた様だ。

然程泳げない二人は背の立つ辺りで水遊び。潮が引くと大きな岩場の上で写真を撮った。
「ねえ、ジュン、オイルを塗ってくれる」
章子は私に、私は章子の背中にオイルを塗って横になる。やっぱり京都のお姉さま。肌が異うなぁ…と、勝手な思いにかられてしまった。
二人の顔の間辺りをトコトコと歩くヤドカリを目で追っては瞼を閉じる。何も考える事は無い。陽は照りつけ風はなく、まさに言葉にならない不思議なひととき。
後編に続く。

✼  京都の女性の肌が綺麗…と云うのはこの当時の私の勝手な思い込みです。でも、章子さんは本当にステキなお姉さまでした。



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