美崎町交番前交差点から西へ向かう道の右側には、私がたまに行く喫茶店がある。店名は「トマト」という。交差点からは少しばかり離れているけれど、中に入ると外の暑さを束の間の忘れさせてくれる。それはクーラーが効いているとかの話しではなく、言葉にはならない雰囲気的なものだと思う。やや薄暗く外の音が遮断された店内は、時の流れさえ止まって感じる事さえある。メニューは特別なものが有るわけではない。しかし冷珈琲は不可思議な空間へと誘ってくれる。頭の中が空っぽになるけれど、自分自身と話しをしている自分に気が付く。ドアを開け外に出ると、急に現実の重みに包まれる。
交差点から東周りのバスが通る方角へほんの少しばかり歩くと、右側に初めて体験する喫茶店が有る。何が初めてかと言うと、見た目は普通の店なのだけれど、各テーブル(席)に一台づつ電話が設置されているのだ。受話器をとると交換手が出て番号を言うと繋いでくれる。話しが終り受話器を置くと交換台から通話料を知らせる電話が掛かる。店を出る時にオーダーした金額に電話代を払うと云うシステムなのだ。内地からの旅行者にとっては便利なシステムの喫茶店だ。(多分)日本中を探してみてもこの店ぐらいではないだろうか?!
その店を出て右に行くとすぐに十字路が有る。左側に行けば市場通りで、右にに曲がれば以前にも書いた喫茶「ザボン」が有る。翁の木彫りの面が壁に掛けてあるのが、印象深く心に残る。店の内装は至って簡素なものだけれど、古い時代の島のイメージを十分に伝えてくれる。幅(おそらく)70cmぐらいの木の扉を開けると、そこは狭い空間ながらも「過去」なのだ。「ザボン」とは、その様な魅力の店。
さて、再び交差点から先程の「トマト」の方へ向かうのだけれど、その手前の広い道を左に曲がり少し行くと、右側に「美花」という喫茶店が有る。ここは特別なにかがある、と云う様な店ではない。ごく普通のお店だ。兄妹が店のオーナー的立ち位置の様だけれど、でもどう見ても、妹の方はまだまだ学生としかみえない。彼女の名前は美花。つまりこの店の名前になっている。とても明るく可愛くて、正に現代っ子そのもの。それがどうした…と云う事ではないけれど、私のいる所から一番近いので、この「美花」には足が向きやすい。
交差点を今度は交番を背にして左に行く。竹富が見える海に向かう事になる。ずっと行けば右側に宮平観光ホテルが有り、左側が港になっている。しかしそこ迄は行かない。港のずっと手前のビルの三階にある喫茶店「アルバトロス」。窓からは丁度波止場が一望出来て、波止場から水平線迄見渡せる絶好の場所。分刻み・秒刻みで海の色が変ってゆくのが判る。ここでは歴史の重みとか時間の流れなどを感じる事は無いけれど、海の変化と人の流れを見る事が出来る。これ迄見てきた店の中で、一番広くて明るい店だ。働いているのは多い時で女の娘が四人。みんなまだ若くて、美花同様、学生の様だ。が、学校は?…と、要らぬ心配をしてしまう。いつもいるのは一番しっかりしている感のある有田貴代美と牧野京子、そしてじゅん子と呼ばれてる子と、時々顔を見せる子。ここは本当に寛げる店で、ついつい時の経つのを忘れてしまう。
以上が、私がよく行く美崎町の喫茶店。其々特色があって楽しめるお店。まだまだ探してみれば、いろいろあるのだろうけれど、今の私はその為にここに居るのではないから、まあ、ノンビリと探す事にしよう。
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