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蒋介石氏のノートの思い出

2023-05-03 20:37:01 | 日記

蒋介石氏のノートの思い出

 私はずいぶん若いころ台北に行ってそれがどこであったかは記憶がないが、蒋介石氏が日本の士官学校で勉強した時の数学のノート(ただし一ページだけ)を見たことがある。はじめから台湾に落ち着くつもりで日本から直送したはずはないから、このノートは広い中国を転々としたはずである。インクで相当複雑な幾何の問題を解いている。キット万年筆ではなくいちいちインク壺にペンを落として書くのであろう。

 当時の日本の士官学校のレベルの高さも感じるが、蒋介石氏の人柄が生真面目で繊細で思慮深いことが偲ばれる。決して豪放磊落な人柄ではない。歴史の教科書を見ると英雄というのは凄いヒトと思うけどそうではないようだ。しからばわが国にも講談本でおなじみの英雄はいくらもいるが、その人たちは案外豪放磊落ではないのかもしれない。NHKの大河ドラマも真面目で繊細な人物という描き方をすればいいかもである。実際繊細な人であったかもしれない。私の知る人で、英雄というのはモノに動じるようではいけないから留年をどんどんしないといけないとか言って何遍も留年した人が居るが、その後その人が天下を取ったという話は聞かない。

 さて、軍人と数学または算術とはどうやら深い関係があるようである。豊臣秀吉は針売りをしていたくらいだからそろばんがとてもできたらしいし戦国武将にもそろばんを片手に馬に乗ったヒトはいくらもいたであろう。ナポレオンは砲兵科であることもあって数学のできたひとで、パリの数学者仲間から戦争なんかしないでこっちに来ないかと誘われたという話を聞いたことがある。単純に考えれば、兵站の計算にそろばんが必要であったと考えられるがもっと大きな意味で軍を動かすのに算術または数学が役立つのではないか。

 諸葛孔明は出師の表を読むと、文才にあふれた詩人ではないかと思うが数学もすごかったらしい。蜀の国から軍を派遣するのに一輪車を考案してそれで食料を運んだまではまあ誰でも思いつくかもであるが、食料を敵の手に渡さないためにからくり箱を作ってそれに納めて運んだという。なるほど開け方を知らないと食料が役に立たない。しかし、そこまで手間なことするだろうか。鉄で作ってあれば別だが木で作るのが普通だから大きな木槌かのこぎりで簡単に開いてしまう。鉄で作るなら重くて運ぶのが大変で特にあの蜀の桟道のところが大変である。まあ鉄で作った小さなからくり箱に何かの命令書をいれて運んだとは考えられる。

 孔明さんはこの自分の発明したからくり箱にヒントを得て知恵の輪を考案し、出師している最中に自分の娘が寂しがってはいけないからと知恵の輪を「今度帰ってくるまでに解いておくように」と言ったあたえたという伝説がある。だから孔明さんも数学または算術がとてもできたのであろう。(いくら何でもここまでの数学と文才が同居するとは思えないから出師の表は、ゴーストライターがいたと思うのだが。)

 日本の高校または大学初年度の数学は多分士官学校や兵学校のカリキュラムがもとになっているであろう。別にそれでいけないとは言わないが、これからは各人が独立して仕事をしていく時代であるから数学を少し減らしてその分簿記会計を全員必修で入れるべきではないかと思っている。さらに論理的な思考と言うことなら、数学に代えて囲碁将棋や麻雀であってもいい。ただ麻雀は反対意見が多そうだけど。



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