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『からくり砂絵―なめくじ長屋捕物さわぎ』 都筑道夫

2021年08月23日 21時45分00秒 | ■読書
「都筑道夫」の連作時代小説『からくり砂絵―なめくじ長屋捕物さわぎ』を読みました。


ここのところ時代小説が続いています… 「都筑道夫」の作品は、少年の頃に読んだミステリ作品『全戸冷暖房バス死体つき』以来なので約40年振りですね。

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掃きそうじをするからくり人形が、箒のかわりに脇差で大の男を斬りころした!?(『血しぶき人形』)。
富士山のような巨石に座敷の中で押しつぶされていた男…(『小梅富士』)。
さらには、江戸の怪事件を名推理で見事に解決してきた、ご存じ砂絵の「センセー」が雷門前で凍死んでしまった!?(『粗忽長屋』
超人気シリーズ第八弾は、通理奇異な傑作揃い。
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神田の貧乏長屋に巣食う、砂絵師の「センセー」とおかしな仲間たちが、江戸市中で起きた怪事件の謎を解く人気の捕物帳「なめくじ長屋捕物さわぎ」シリーズ… 1974年(昭和49年)に刊行された第3作にあたる作品です。

 ■第一席●花見の仇討
 ■第二席●首つり五人男
 ■第三席●小梅富士
 ■第四席●血しぶき人形
 ■第五席●水幽霊
 ■第六席●粗忽長屋
 ■第七席●らくだの馬
 ■解説 中田雅久


『花見の仇討』『粗忽長屋』『らくだの馬』の三篇は古典落語を推理小説化した作品、『首つり五人男』『水幽霊』「佐々木味津三」『右門捕物帳』『首つり五人男』『幽霊水』のパロディ作品です。

向島の花見の季節に大店の道楽息子たちが仕組んだ仇討ちの茶番に、酔った侍が助太刀に加わり、趣向と勘違いした浪人役の若旦那が刀を振るうと、いきなり血しぶきが上がり、浪人の一人を斬り殺してしまう『花見の仇討』

神田川縁に生えた松の大木に五人の首つりがぶら下がるという、前代未聞の出来事を描いた『首つり五人男』

足腰が立たなくなり向島小梅の寮に隠居していた海産物問屋の先代主人が、庭に置かせた富士山の形の大きな庭石… 隠居が座敷に寝ていたところを、その大きな庭石に押しつぶされて死んでいた『小梅富士』

座敷を掃除して回るというからくり人形が、なぜか箒を脇差に持ち替えて、持ち主である質屋の主人を無残に斬り殺したという『血しぶき人形』

とある商家の娘が寝ている間に、布団まで水浸しになる怪事が二日続けて起き、そして水神様を修理した大工富蔵の水幽霊に襲われたとしか思いようのない死を遂げる『水幽霊』

「センセー」が死んだ!? 行き倒れになった死骸が見つかったという知らせは、下駄常からなめくじ長屋の面々へ、そして当の「センセー」自身にももたらされる『粗忽長屋』

等々、トリッキーなプロットに興味を惹かれました… 結末がイチバンすっきりしたのは、『粗忽長屋』かな、、、

「センセー」が、定まわり同心「小柴仙四郎」の悪巧みを暴きましたね。

主人公の「センセー」が、感情移入し易い存在だったら、もっと愉しめたかな… 本シリーズ、何冊か買っているので、続けて読んでみようと思います。



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