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『シャドウ』 道尾秀介

2014年11月12日 22時34分00秒 | ■読書
「道尾秀介」のミステリ?作品『シャドウ(WHO'S THE SHADOW?)』を読みました。


「道尾秀介」作品は、昨年5月に読んだ『向日葵の咲かない夏』以来なので久しぶりですね。


-----story-------------
【第7回本格ミステリ大賞〈小説部門〉受賞】

人間は、死んだらどうなるの?
――いなくなるのよ――いなくなって、どうなるの?
――いなくなって、それだけなの――。
その会話から3年後、「凰介」の母はこの世を去った。
父の「洋一郎」と二人だけの暮らしが始まって数日後、幼馴染みの「亜紀」の母親が自殺を遂げる。
夫の職場である医科大学の研究棟の屋上から飛び降りたのだ。
そして「亜紀」が交通事故に遭い、「洋一郎」までもが……。
父とのささやかな幸せを願う小学5年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実とは? 

話題作『向日葵の咲かない夏』の俊英が新たに放つ巧緻な傑作!

*第3位『このミステリーがすごい!2007年版』国内編ベスト10
*第6位『2007 本格ミステリ・ベスト10』/国内ランキング
*第10位『週刊文春』「2006ミステリーベスト10」/国内部門
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五人の人物の視点から描かれている物語で、章が進むごとに語り手が変わり、前の章で残された謎が少しずつ解かれていく展開、、、

語り手の名前が章や、章の下の( )のタイトルに使われているので、目次にするとこんな感じでした。

 ■第一章 五人
  (一)我茂洋一郎
  (二)我茂凰介
  (三)水城亜紀
  (四)水城恵
  (五)水城徹
 ■第二章 我茂洋一郎
 ■第三章 我茂凰介
 ■第四章 二人
  (一)我茂洋一郎
  (二)我茂凰介
 ■終章 三人
  (一)(二)我茂凰介
  (三)(四)水城亜紀
  (五)我茂凰介
  (エピローグ)我茂洋一郎
 ■解説 新保博久


巧く読者をミスリードさせる展開、、、

 ○「亜紀」の母親「恵」の自殺の原因は?

 ○「亜紀」へ暴行した犯人は?

 ○「徹」がゴミ箱からみつけた精液の付着したティッシュペーパーは「恵」浮気の証拠?

 ○「洋一郎」のパソコンに「恵」の遺書が残されていたのはなぜ?

 ○「洋一郎」「徹」は正気なのか、精神疾患があるのか?

等々、伏線として配置された様々な謎が、仲の良い二つの家族間または家族内でのトラブルや犯罪を想像させる展開となっており、何が真実なのかわからない混乱した状態から、終盤に真相が明らかになる展開が鮮やかでしたね。

面白かったし、二つの家族(父子)が困難を乗り越え、明るい未来を予感させるエンディングは良かったな。

子どもの成長… 精神的に強くなり、大人に近づく過程も、なかなか良いです。

多少、陰惨さはあるものの、これまでの「道尾秀介」作品に比べると、読みやすい作品に仕上がっていたと思いますね。



ちなみに、、、

『ラットマン』という作品に、本作品に登場する刑事の「隈島」の父親と、女医「竹内」の弟(バンドマンらしいです… )が登場しているようです。




備忘用に主な登場人物を記録しておきます。

我茂 凰介(がも おうすけ)
 小学5年生。
 東海道線の平塚駅からバスで10分程相模湾に近づいた場所にある10階建ての古いマンションの5階に父・洋一郎と共に住んでいる。
 母が嫌うものを自分も無条件で嫌ってしまう傾向がある。

我茂 洋一郎(がも よういちろう)
 凰介の父。
 44歳。
 相模野医科大学病院に勤務している。
 咲江の死後、ムンクの『叫び』の複製画を買い、寝室に飾るようになった。

我茂 咲江(がも さきえ)
 洋一郎の妻、凰介の母。
 洋一郎とは大学在学中に結婚し、同時に大学は中退した。
 結婚後すぐに癌が見つかったが、適切な治療を続け、再発の可能性が低くなった結婚5年目に凰介を出産することができた。
 その後、都内の小学校でスクールカウンセラーをしていたが、再び癌が再発して内臓全体に広く転移し、3年前に帰らぬ人となった。
 愛読書は宮沢賢治の短編集『銀河鉄道の夜』で、その中でも「よだかの星」を何度も繰り返し読んでいた。

水城 徹(みずしろ とおる)
 洋一郎の大学時代からの同級生。
 一浪しているため年齢は洋一郎より1つ上で今年45歳。
 相模野医科大学研究員。家庭は冷え切っていた。
 自室は防音施工がしてあり、外部の音を完全にシャットアウトできる。

水城 恵(みずしろ めぐみ)
 徹の妻。
 咲江とは大学時代の同級生。
 自分と咲江が大学に入学した時、徹や洋一郎が院生だったことの名残で、いまだに洋一郎のことを「先生」と呼ぶ。
 咲江に薦められ、『よだかの星』を好きになった。
 保険のセールスレディとして働いていたが、徹が勤務している相模野医科大学研究棟の屋上から飛び下り自殺した。

水城 亜紀(みずしろ あき)
 水城夫妻の一人娘。
 凰介とは同じ小学校に通う同級生で幼馴染み。
 凰介たちが暮らすマンションから歩いて5分程の新築高級マンションの10階に2年前から住んでいる。
 小さい頃から髪の毛は短くしていて、一度も伸ばしたことがない。
 自分が「女」であることに嫌悪感を抱いている。

原野 房江(はらの ふさえ)
 鳳介の伯母。
 咲江の実姉だが、2人は顔も声も体格もまったく似ていない。

田地 宗平(たじ そうへい)
 洋一郎と水城の大学時代の恩師で、当時は医学部長を務めていた。
 現在は相模野医科大学で講義をしたり、大学病院で精神科の非常勤医として働いている。
 頭はつるつるで、サンタクロースのような白髭をたくわえている。
 「きっと、きっとだ」「できる、できるとも」というように、言葉を重ねて強調する癖がある。

小山(こやま)
 凰介のクラスメイト。
 亜紀のことが好き。

竹内 絵美(たけうち えみ)
 洋一郎と水城の大学時代の同級生。
 都内の研究機関を経て、現在は相模野医科大学の精神科医。
 洋一郎が咲江と結婚する前、一時期付き合っていた。

隈島(くまじま)
 平塚署の刑事。
 大柄で眼が小さい。

西尾(にしお)
 凰介の担任教師。

岩槻(いわつき)
 亜紀の担任男性教師。
 あだ名は“ザビエル”。


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