じゅうのblog

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『赤い指』 東野圭吾

2009年10月28日 19時39分00秒 | ■読書
嫁さんが知人から借りてきていた「東野圭吾」『赤い指』を読みました。


9月に読んだどちらかが彼女を殺した以来の「東野圭吾」作品でしたが、、、
嫁さんから事前にコメントがあった通り、とても考えさせられる内容でした。

-----story-------------
少女の遺体が住宅街で発見された。
捜査上に浮かんだ平凡な家族。
一体どんな悪夢が彼等を狂わせたのか。
「この家には、隠されている真実がある。それはこの家の中で、彼等自身の手によって明かされなければならない」
刑事「加賀恭一郎」の謎めいた言葉の意味は?
家族のあり方を問う直木賞受賞後第一作。
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未成年の犯罪(殺人)を軸に物語が展開するのは、9月に読んだ「東野圭吾」作品のさまよう刃と同じなのですが、、、

 さまよう刃が被害者の父親の視点で描かれているのに対し、

 『赤い指』は加害者の父親の視点で描かれており、

全く逆の立場で物語を見つめることになります。


さまよう刃で、加害者の母親が登場し、息子を庇う(犯罪を起こしたことを信じない)シーンがありますが、、、

その時は被害者の父親の立場で読んでいるので、「なんて馬鹿な親なんだ!」と、その行動を完全に否定していましたが、

今回、加害者の父親の立場で読んでいると、「単純に否定はできないな」と、考えを改めました。


ふたつの物語を読んで、立位置の違いによって、考え方や判断が(場合によっては善悪が)大きく変わってしまうことがあることを理解しました。


自分が、加害者の父親である「前原昭夫」の立場だったら、どう考え、どう判断したんだろうか… と自問自答しながら、そして、自分までもが苦しくなるような、そんな感覚を感じながら読みました。

それもこれも、「東野圭吾」の描く心理描写が、限りなくリアルに近く、巧みだからなんでしょうね。


単なるミステリーでは終わらず、現代社会のねじれや歪を浮き彫りにした素晴らしい作品だと思うし、隣の家で起こったとしても不思議ではないような、そんなリアリティがある作品です。

親子の絆や家族の在り方について、改めて考えさせられました。




≪ちょっとネタバレ≫

認知症の母「政恵」が逮捕される際、、、

「政恵」が大事にしていた昔のアルバムを目にし、

「昭夫」が小学校のとき「政恵」に贈ったネームプレートを「政恵」が今でも大切にしていることを知り、

ようやく母親の気持ち気付いた「昭夫」が、良心の呵責に耐え切れず翻意するシーンは泣けてしまいました。


でも、まさか「政恵」が… 衝撃のエンディングでしたね。





それにしても、「加賀恭一郎」って、カッコイイなぁ。
憧れます。





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