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『春秋の檻―獄医立花登手控え〈1〉』 藤沢周平

2025年01月02日 16時53分05秒 | ■読書
藤沢周平の連作時代小説『春秋の檻―獄医立花登手控え〈1〉』を読みました。
『麦屋町昼下がり』に続き、藤沢周平の作品です。

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TVドラマ化もされた人気時代連作集・第一弾!
藤沢周平の代表的時代連作集「立花登」シリーズ全4巻の1巻目。

医者になる夢を叶えるべく江戸に出た登を迎えたのは、はやらない町医者の叔父と、口うるさい叔母、驕慢な娘ちえ。
居候としてこき使われながらも、叔父の代診や小伝馬町の牢医者の仕事を黙々とこなしている。
ある時、島流しの船を待つ囚人に思わぬ頼まれごとをして――。
起倒流柔術の妙技とあざやかな推理で、若き青年医師が、獄舎にもちこまれるさまざまな事件を解いていく。
『春秋の檻』には、「雨上がり」「善人長屋」「女牢」「返り花」「風の道」「落葉降る」「牢破り」の7篇を収録。
解説・末國善己(時代小説評論家)

1982年に中井貴一主演で連続ドラマ化。
そして2016年春に溝端淳平主演で、NHK BSプレミアムにて連続ドラマ化。
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講談社発行の月刊小説誌『小説現代』の1979年(昭和54年)1月号から1980年(昭和55年)1月号に『青年獄医立花登』というタイトルで連載された後、1980年(昭和55年)に改題して刊行された作品、、、

叔父・小牧玄庵を頼り東北の小藩から江戸へやってきて伝馬町牢屋敷にて獄医を務めることとなった若い医師・立花登が、囚人たちにまつわる事件を得意の柔術と推理で次々に解決していく姿を描く、獄医立花登手控えシリーズの第1作です。

 ■雨上がり
 ■善人長屋
 ■女牢
 ■返り花
 ■風の道
 ■落葉降る
 ■牢破り
 ■解説 末國善己

江戸小伝馬町の牢獄に勤める青年医師・立花登……居候先の叔父の家で口うるさい叔母と驕慢な娘にこき使われている登は、島送りの船を待つ囚人からの頼みに耳を貸したことから、思わぬ危機に陥った、、、

起倒流柔術の妙技とあざやかな推理で、獄舎に持ちこまれるさまざまな事件を解く……若き青年医師の成長を描く傑作連作集。

島送りになる若者の頼み事……無実を訴える男の正体……御家人毒殺未遂の真相……恋人を刺した女囚の愛憎……等々、さまざまな暗い人間模様が江戸小伝馬町の牢屋に持ちこまれ、心優しい青年獄医・立花登が市井の人情も細やかに、柔術の妙技と推理の冴えを見せて事件を解くシリーズ物で、主人公に気持ちをシンクロさせながら、感情移入できて愉しく読めましたね、、、

そんな中で印象に残ったのは、

不可解な女心、男女の機微が描かれつつ、登場人物の意外な一面が明かされる『雨上がり』と『返り花』、

無関係と思えるエピソードが繋がり邪悪な犯罪計画が浮かび上がる『落葉降る』、

従妹のおちえが誘拐され牢内の登の行動が犯人一味に見抜かれるという窮地からいかにしておちえを救うかという頭脳戦に加え、犯人一味の柔術の達人との対決が愉しめる『牢破り』、

の4篇かな……特に『落葉降る』と『牢破り』はミステリ色も強くて面白かったですね。

次は、本シリーズの続篇を読んでみようと思います。
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