藤沢周平の短篇時代小説集『麦屋町昼下がり』を読みました。
藤沢周平の作品は昨年7月に読んだ『未刊行初期短篇 無用の隠密』以来ですね。
-----story-------------
「お助けくださいまし」と夜道を走ってきた女をかばい、片桐敬助は、抜き身の刀をもった男を斬った。
かわせば女が斬られ、受ければ自身が手傷を負ったにちがいない。
しかしその男は、藩内随一、とうたわれる剣の遣い手・弓削新次郎の父だった……。
片桐と弓削、男の闘いの一部始終を、緊密な構成・乾いた抒情で描きだす表題作のほか、「三ノ丸広場下城どき」「山姥橋夜五ツ」「榎屋敷宵の春月」と円熟期の名品を収録。時代小説の味わいを堪能できる贅沢な1冊!
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文藝春秋が発行する月刊娯楽小説誌『オール讀物』に1987年(昭和62年)から1989年(昭和64年)にかけて連載され、1989年(昭和64年)に刊行された作品で、以下の4篇が収録されています。
■麦屋町昼下がり
■三ノ丸広場下城どき
■山姥橋夜五ツ
■榎屋敷宵の春月
不伝流の俊才剣士・片桐敬助は、藩中随一とうたわれる剣の遣い手・弓削新次郎と、奇しき宿命の糸にむすばれ対峙する……男の闘いの一部始終を緊密な構成、乾いた抒情で鮮烈に描き出す表題秀作の他、円熟期をむかえたこの作家の名品を3篇、、、
時代小説の芳醇・多彩な味わいはこれに尽きる……と評された話題の本。
久し振りに時代小説を愉しみました……イチバン好みだったのは『榎屋敷宵の春月』ですね。
万年組頭の寺井家の当主・織之助の妻・田鶴が、自宅の前で襲われていた関根友三郎を助ける……関根は、重役衆に不正があるという親書を携えた江戸屋敷からの使者で、家老の畑中喜兵衛を訪ねるために寺井家を出るが、同行した寺井家の家士・平井重助とともに斬殺される、、、
事件がうやむやになったことを不服に思う田鶴は刺客を探り出すが、次期執政候補となっている織之助は、ごたごたを避けようとして止めるが、田鶴は仇討ちを果すことを誓い、実行に移す……正義感の強い田鶴の思いに共感し、そして、結末のどんでん返しが愉しめる作品でした。
その他に印象に残ったのは『三ノ丸広場下城どき』かな。
次席家老の臼井内蔵助から、密書を携えた使者の護衛を頼まれた粒来重兵衛だったが、それは成功してはならない護衛だった……臼井の目論見通り、護衛は失敗するが、重兵衛は罠にかけられたことを覚る、、、
誰が? 何のために? 真相を探索しつつ、重兵衛は鈍った身体を鍛えなおし始める……その後の重兵衛の活躍と、明るい家庭を築くことが予感できる結末が良かったですね。
藤沢周平の作品は好きですね……次も藤沢周平の作品を読んでみようと思います。
藤沢周平の作品は昨年7月に読んだ『未刊行初期短篇 無用の隠密』以来ですね。
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「お助けくださいまし」と夜道を走ってきた女をかばい、片桐敬助は、抜き身の刀をもった男を斬った。
かわせば女が斬られ、受ければ自身が手傷を負ったにちがいない。
しかしその男は、藩内随一、とうたわれる剣の遣い手・弓削新次郎の父だった……。
片桐と弓削、男の闘いの一部始終を、緊密な構成・乾いた抒情で描きだす表題作のほか、「三ノ丸広場下城どき」「山姥橋夜五ツ」「榎屋敷宵の春月」と円熟期の名品を収録。時代小説の味わいを堪能できる贅沢な1冊!
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文藝春秋が発行する月刊娯楽小説誌『オール讀物』に1987年(昭和62年)から1989年(昭和64年)にかけて連載され、1989年(昭和64年)に刊行された作品で、以下の4篇が収録されています。
■麦屋町昼下がり
■三ノ丸広場下城どき
■山姥橋夜五ツ
■榎屋敷宵の春月
不伝流の俊才剣士・片桐敬助は、藩中随一とうたわれる剣の遣い手・弓削新次郎と、奇しき宿命の糸にむすばれ対峙する……男の闘いの一部始終を緊密な構成、乾いた抒情で鮮烈に描き出す表題秀作の他、円熟期をむかえたこの作家の名品を3篇、、、
時代小説の芳醇・多彩な味わいはこれに尽きる……と評された話題の本。
久し振りに時代小説を愉しみました……イチバン好みだったのは『榎屋敷宵の春月』ですね。
万年組頭の寺井家の当主・織之助の妻・田鶴が、自宅の前で襲われていた関根友三郎を助ける……関根は、重役衆に不正があるという親書を携えた江戸屋敷からの使者で、家老の畑中喜兵衛を訪ねるために寺井家を出るが、同行した寺井家の家士・平井重助とともに斬殺される、、、
事件がうやむやになったことを不服に思う田鶴は刺客を探り出すが、次期執政候補となっている織之助は、ごたごたを避けようとして止めるが、田鶴は仇討ちを果すことを誓い、実行に移す……正義感の強い田鶴の思いに共感し、そして、結末のどんでん返しが愉しめる作品でした。
その他に印象に残ったのは『三ノ丸広場下城どき』かな。
次席家老の臼井内蔵助から、密書を携えた使者の護衛を頼まれた粒来重兵衛だったが、それは成功してはならない護衛だった……臼井の目論見通り、護衛は失敗するが、重兵衛は罠にかけられたことを覚る、、、
誰が? 何のために? 真相を探索しつつ、重兵衛は鈍った身体を鍛えなおし始める……その後の重兵衛の活躍と、明るい家庭を築くことが予感できる結末が良かったですね。
藤沢周平の作品は好きですね……次も藤沢周平の作品を読んでみようと思います。
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