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『松本清張ジャンル別作品集(4) 法廷ミステリ』 松本清張

2021年11月26日 21時50分00秒 | ■読書
「松本清張」の短篇ミステリ作品集『松本清張ジャンル別作品集(4) 法廷ミステリ』を読みました。


「松本清張」の作品は、昨年2月に読んだ新装版 鬼火の町以来ですね。

-----story-------------
「トモ子」の許嫁「宗一」が殺人の主犯として逮捕された。
事件当夜、「宗一」と寝ていた「トモ子」は、「宗一」が部屋を空けていた時間があったにも拘らず「宗一」と一緒にいたと証言する。
一審二審と「宗一」は有罪になるが、「トモ子」は一貫して「宗一」のアリバイを主張。
裁判は最高裁まで進み、差し戻される可能性が出てきた。
そこでも、これまで通りの証言をするつもりの「トモ子」だったが、ある事を知り、心理に微妙な変化が起きる(『脊梁』)。
ジャンル別作品集第4巻は「法廷ミステリ」
裁判や法律を扱いつつ、著者ならではの人間ドラマ5編を収録。
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「松本清張」が著した膨大な数の短編をジャンル別に集めた文庫オリジナル作品集の第4弾… 法廷を舞台に人間心理を深く描いた法廷ミステリ・リーガルサスペンスの5篇が収録されており、全集未収録作品や、現在入手困難な作品も収録されているらしいです。

 ■証言の森
 ■脊梁
 ■一年半待て
 ■晩景
 ■奇妙な被告


戦前の刑事裁判の実態をノンフィクションの手法で再現した『証言の森』

長期裁判における関係者、特に近親証言の心理の揺れに焦点をあてた『脊梁』

一つの裁判で二度裁かれることはないという一事不再理の原則を逆手に取った『一年半待て』

実際にあった特許権訴訟事件に取材した民事裁判を描いた『晩景』

自白に関する法の不備をついた『奇妙な被告』

初めて読んだのは『脊梁』『晩景』の2篇、残りの『証言の森』『一年半待て』『奇妙な被告』の3篇は既読でしたが… どの作品もクオリティが高く面白かったです。

長期裁判で心身ともに疲れ果て、ある出来事により心理に微妙な変化が起こり… それが裁判の行方に影響を与えてしまう『脊梁』がイチバン印象に残りましたね、、、

その他では… 真相は藪の中ですが、戦時下においては、結果的に犯罪者として投獄された方が生き延びてしまう皮肉な運命が描かれる『証言の森』、判決で情状酌量から執行猶予を勝ち取り、一事不再理の原則により二度と裁かれることはなくなったものの、真相を知った婚約者は逃げてしまう『一年半待て』が印象的でしたね。

「松本清張」の作品は、何度読んでも愉しめますね。




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