本館2階国宝室にて、2020/7/7から8/10まで展示。
国宝《地獄草紙(東博本)》1巻
平安時代・12世紀
縦26.9cm 全長249.3cm
『正法念処経』に基づいて、殺生・盗み・邪婬に加えて「酒」に関係する悪事を犯した者が堕ちる地獄16種類のうち4種類が描かれている。
岡山県の安住院に伝来。《餓鬼草紙》や《辟邪絵》とともに、後白河法皇の蓮華王院の宝蔵に伝来した「六道絵」の一部と見なすことも可能、とのこと。1956年国宝指定。
髪火流(ほっかる)
僧に酒を飲ませて戒律を破らせた者が堕ちる地獄。
鷲に頭を、犬に足を食われて苦しむ男。ご丁寧にもそのおちんちんもしっかり描かれる。
火末虫(かまつちゅう)
酒に水を入れて水増して売った者が堕ちる地獄。
その身から大量の虫が湧き、その骨肉を突き破られ、その身体を喰いちらかされる。
火雲霧(かうんむ、詞書では雲火霧)
修行僧に酒を飲ませて誘惑し、堕落させた者が堕ちる地獄。
獄卒により燃え盛る業火に投げ込まれ、焼き尽くされて消え失せて、すぐ蘇り、また獄卒により業火に投げ込まれ、が永遠に繰り返される。
雨炎火石(うえんかせき)
旅人に酒を飲ませて酔いつぶし、強盗・殺害した者が堕ちる地獄。
降り注ぐ火炎石、煮えたぎる金属と血の入り混じった河で苦しむ。
「高御座と御帳台」以来7カ月ぶりとなる東京国立博物館訪問は、本館常設展示の鑑賞。
東博は、7/21から、総合文化展のほぼ全室を開室。
これに伴い、予約受入数も増やしたとのことで、私の場合、週末の当日、午後の希望時間帯の30分前に予約と、枠余裕ありで推移しているようである。
特別展が18:00までなのに対し、常設展示は17:00までと短い。
私は到着が遅くて1時間の鑑賞となったが、17:00の閉室後、閉館までまだ1時間、明るくて暑さが多少和らぐ時間帯、敷地内のベンチに座ってのんびりするのもまた一興であった。
隣りの展示室、2階3室「仏教の美術-平安〜室町」には、もう1点、平安時代・12世紀の国宝絵画が展示(期間:2020/7/7〜8/16)されている。
国宝《孔雀明王像》
平安時代・12世紀
147.9×98.9cm
2019年の横浜美術館「原三溪の美術」展での目玉作品の一つ。
1903年、35歳の原三溪は、元大蔵大臣の井上馨から、当時としては破格の1万円で購入したことにより、コレクターとして一躍その名を知られるようになったという。