太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#436 父親 / #444 ドック刑事のシアワセな日

2017年12月07日 | 太陽にほえろ!
親の敷いたレールに乗って医者になるのが嫌で医大を3年で中退し、たまたま警察官募集のポスターを見たのがきっかけで
刑事になったドック(神田正輝)。開業医の父・勝(梅野泰靖)は、そんな息子を勘当。

数年の月日が流れたある日、近所に住み勝とも顔なじみの中山が何者かに自宅で襲われ、西條外科医院に運び込まれるという事件で
親子は久しぶりに再会した。




患者のプライバシーとなにより安静を守りたい医師と、事件解決のため被害者の証言を得たい刑事。
真っ向から対立するふたり。

ドックは弟・進(三景啓司)から、凶器は木ではないかとの証言を得る。
進は医者の卵として、父の病院を手伝っていた。



ドックが医大中退という設定は、シリーズを通して有効に生かされていたと思います。
今回取り上げるふたつのエピソードは、ドックの実家が舞台で、西條父子、兄弟の姿を通して、
西條昭というひとりの青年のバックボーンが描かれます。

一係の刑事の家族が出てくる話はほかにもありますが、どちらかというと妻や母、叔母、姉や妹など女性が多かったですよね。
その中で、ドックの家族は父と弟。母親のことはまったくふれられなかったと記憶しています。
早い段階でなんらかの別れがあったのかもしれません。

それにしても、お父さんと弟がドックとどことなく似ていて、家族という設定に違和感がありません。
キャスティングする方も、演じる役者さんたちもすごいなぁと感心します。



怪我をしたドックが進に治療してもらっている途中、父が入ってきて傷口を確認。レントゲンは兄貴が嫌がるから撮ってないという進を叱る。
「ほら、怒られたー」と兄に文句を言う感じがなんとも自然で、兄弟の子供時代が目に浮かぶようです。

思えば、「太陽」以前の神田さんは、ずっと後輩・弟ポジションで、ちょっと頼りない甘えん坊な役柄が多かったですが、
ドックには弟がいて、一係でも次第に兄貴分になっていくわけで、年齢的にも役割が変わっていく頃だったんでしょうね。
実際には一人っ子だそうですが、兄貴キャラも弟キャラも不思議とすんなりはまっています。


「親子の対話を復活させようっていう思いやりじゃないの?」
進が親父をからかいますが、勝もドックも口を開けばけんか腰になってしまう。
それでも、思わず山さんに「あの子は…、昭は…?」と訊ね、
「ご心配なく。いい刑事になりますよ」といわれて深々と頭を下げる親心が泣かせます。


#444では、夜勤明けに無意識に実家の方に足が向いてしまったドックが、休診日に入院中の老人を診るために残った父・勝とともに
銀行強盗の兄弟と対決。


まったく余談ですが、柵越え好き(観るのが)としては、このドックの柵越えは「合格!」です。

#436のときよりかなり打ち解けているものの、早々に帰ろうとする息子に、「お茶でも飲んでけ(=お前が入れろ)」「将棋でもしないか」と
引きとめる父。頑固で厳しいけど、息子が訪ねてきて嬉しいのがバレバレです。

強盗をして逃げる途中で弟が怪我をし、兄(峰竜太)が西條医院に駈け込んできます。
ふとしたはずみで鞄の中の札束がこぼれ落ち、兄は拳銃を突きつけて治療を迫るはめに。

隙あらば犯人を取り押さえようとするドックと、犯人を刺激しないよう、また怪我人の治療を最優先に考えて行動する勝。
しかし、ここは西條医院の診察室といういわば父の城。主導権を握るのは勝です。
拳銃を持った犯人にも臆することなく時に怒鳴りつけ、毅然とした態度を崩しません。
ドックが頑固な年配者に慣れているのは、この父に育てられたからでしょう。


一方のドックも、父を逃がそうと何度かチャンスを作りますが、父は息子を見殺しにはできず、
ついには、刑事だということがバレて殺されそうになった息子を救うため、怪我をしている弟にメスを突きつける!
(いや、ドックはちゃんと刑事だと申告しているのに信じてもらえず、入院していた老人が「刑事になったんだって」と
話しているのを聞いて逆上されるという理不尽…)

「お前の親父さんは立派な人だよ」と急に身の上話を始めた峰さん(兄)に対し、
(へ?)って感じでポカンとしている西條親子がほほえましい。




事件解決後、「俺が家を出たからむりやり進を医者にしたんじゃないだろうね」と問い詰めるドックに対し、
「お前も少しは弟のことを考えてるんだな。さっきの男には及ばないが」と父が返してまたケンカ…になるかと思えば、

仲良すぎww


ドックは休日が返上されてぼやいていたけど、まさにシアワセな日になったわけで、まあ代休はあきらめましょう。
そしてお父さん、慰安旅行に行かずに残って良かったですね。



実家と職場、ふたりの“父親”。偉大な彼らを超える日は来るのか。
ドックの成長物語はまだまだ続きます。




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