太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#552 或る誤解

2019年05月20日 | 太陽にほえろ!
かすみ荘で一流会社に勤めるサラリーマンの手塚が殺されているのが見つかった。
遺体のそばに9時38分を指して止まっている血のついた置時計があり、犯行時間と凶器がほぼ確定された。
凶器の指紋は拭き取られ、近所で見つかった手塚の財布からは現金が抜き取られていた。

ドアノブから前科のある三善(佐野浅夫)の指紋が検出されたが、彼はラガー(渡辺徹)が行きつけの
定食屋の主人だった。

山さん(露口茂)とラガーが店を訪ねると、三善は山さんを店の外に誘いその場で手塚殺しを自白する。
一方、ラガーから事件のことを聞いた三善の娘・和枝(東啓子)は激しく動揺した。
彼女は手塚と付き合っていて、父に反対されて気まずくなっていたのだった。




服役中に知り合った男の娘・和枝を引き取り育ててきた三善。
和枝の結婚話に反対したためにケンカになり、
むしゃくしゃして相手のアパートに押し掛けたら、その男が殺されていた。

直前に和枝がアパートから走り去る姿を見た三善は、彼女が殺したと勘違いして
自分が罪をかぶろうとしたのだった。

和枝はあの晩手塚のアパートの前まで行ったものの、会わずに引き返していた。

父親がどうして自分に確かめもせず罪を被るようなことをしたのかと嘆くが、
山さんは娘を疑うようなことを言ってこれ以上嫌われるのが怖かった三善の気持ちがよく分かった。

血のつながらない息子・隆を育ててきた山さん。
父親参観に行くと約束したのに、この事件で行けなくなり隆から責められたばかりだった。



自分が記憶する限り、親に面と向かって嫌いと言ったことはないと思うのですが、
子どもが思う以上にショックなんでしょうね。
特に父親は取り乱したりしづらい分、いつまでも傷が癒えなさそうです。

親子だからといって何でも話せるわけじゃない。
今回のように、ちょっとしたタイミングのいたずらで物事があらぬ方向に転がってしまうことは
じゅうぶんあり得ます。

取り調べたのが山さんだったから真相にたどり着いたものの、もしかしたら
三善の自供のまま彼は娘の罪を被って逮捕され、娘は信じていた父が恋人を殺したと思い込んで
これから苦しんで生きていくことになったかもしれません。



山さんは、事件を解決するとともに親子の未来も救ったのでした。


一係室に戻った山さんは、ボスから遅れてでも授業参観に行けと命じられる。
「最後の1分でも出たほうがいいですよ」
子どものいるトシさん(地井武男)の一言も実感がこもっています。

あんなにむくれていた隆くんですが、きっと駆けつけたお父さんを見て大喜びすることでしょう。
山村親子もまた、ボスと仲間たちによって救われたのでした。






【本日の走り屋】
交通課から異動して間がないマミー(長谷直美)が、今回得意の運転を披露。
「大丈夫か?」と助手席で怯えるドック(神田正輝)を尻目に容疑者のバイクを追いつめます。


途中で振りきられたボギー(世良公則)は「あなた下手ねー」と言われ、
山さんを学校に送っていく役目もマミーに奪われてしまうw


交通課のミニパトと比べて一係の覆面車は性能も良さそうなので、マミーも嬉々として飛ばしてますね。
そして、車にとっても上手い人に乗ってもらう方が実力を発揮できて幸せでしょう。

いろんな規制がかかる前のこの時代は、カーアクションも迫力があって観ていて血が騒ぎました。

#558 疾走24時間

2019年05月04日 | 太陽にほえろ!
給料日に飲んで帰る道すがら、後ろから尾行してきた男に給料袋を奪われそうになるボギー(世良公則)。
ボギーに反撃された若い男は杉本良平(長谷川諭)と名乗り、免許証も見せ父親の借金の返済が明日に迫っていて
やむを得ずやってしまったと平謝りしたため、同情したボギーはなけなしの給料をほとんど渡してしまう。

しかしその翌日、良平と似た特徴の若い男によるひったくりが続発。
そのうちの一件の被害者が、助けたマミーの目を盗んで姿を消したことから事件は思わぬ方向へ。



情に厚く人を信じやすいボギーが巻き込まれる犯罪のひとつのパターンと言えるでしょう。
とくに自分より若い者に対して兄貴気質が炸裂するため、冒頭から観ているこちらが「あゝ、ボギー…」と
心配した通りの展開に。



なごやかな雰囲気ですが、実は給料日の翌日に後輩のラガー(渡辺徹)から金を借りようとする図w

少年課や交通課の後輩からも借りていることをドック(神田正輝)に責められ、トシさん(地井武男)や山さん(露口茂)からも
どうしたことかと問い詰められる。

自身も山さんやジプシー(三田村邦彦)に借金していたドックがボギーを責める資格はないと思いますが、
そのドックのところに少年課・交通課の被害者wたちが借金に来るという…七曲署、どうなっとるんじゃ。


捜査の過程で、姿を消した被害者が竜神会の息のかかった人間で、盗んだダイヤモンドを鞄に入れていたことがわかる。
街で良平を見つけ身柄を確保したボギーは、ダイヤをとりもどそうとする竜神会から追われることに。


車の窓に映った人影で尾行を知るボギー。なんかカッコいいんですけど!



粘って引きずられる良平。粘り強さが可笑しみに。

良平父の話は嘘だったが、一緒に甲府から遊びに来ていた彼女・香が、街でトラブルになった男たちに囚われ
彼女を救うために30万円をかき集めていたことが分かった。

竜神会から追いつめられ、銃弾の雨を逃れあわやのところを駆けつけた仲間に助けられたボギーと良平は、
約束の時間ギリギリに30万円をもって香が囚われているマンションへ飛び込む。


「おめでとう!良平くん」

なんと、これはチンピラのように見えた3人組の若者がとっさに思いついたゲームだった。
良平が時間までにお金を集めて香を助けに来るか否か。
しかも香もそれを承知でその遊びに乗っていたのだった。

3人組の中に、のちに“顔面凶器”と言われる小沢仁志さん(白いジャケット)がいるため、まさかゲームとは思いませんでした。
小沢さんはこれがデビューだそうですが、すでに安定の悪人顔w 

茫然とする良平の代わりに、ボギーの怒りが爆発! 3人をボコボコに殴り倒してしまう。
「ちょっと手こずっちゃったけど」
そういいながら傷だらけの顔で笑うボギーにあきれ顔のドックとラガー。

「減俸だな、おまえ」(何回目?)


3人組の恐喝が原因で良平はひったくりを繰り返したにもかかわらず、3人組よりも良平の罪が重いことに憤慨するボギーは
ボス(石原裕次郎)に対し、「俺の考えが間違ってるならクビにしてください。俺はそんな冷たいボスの下で働きたくない!」と抗議。

そこに取り調べを終えたトシさんが良平を連れてくる。
「刑事さんのような友達がいると思えば頑張れる。きっと罪を償ってやり直す」
そう誓う良平。
彼の口から、ボスと山さんが情状酌量の証言をしてくれるということを聞いたボギーはすぐさま前言撤回。

今日の当直も進んで買って出て許しを請うボギーに、すっとぼけた表情を向けるボス。
このころは若手だけでなく、ボスも面白さに重きを置いていたんでしょうか。
昔よりおとぼけの表情を見せてくれることが多かった気がします。


【本日の卒業生】
『ゆうひが丘の総理大臣』で優等生遠藤役だった長谷川諭さん。
出てくるとどうしても「遠藤!」と呼んでしまいそうになります。
他の生徒役とくらべても『太陽』への出演回数が多く、以前にロッキーやラガーの回で犯人役を演じ、
こののちにドックの回にも登場し、木念先生と遠藤のツーショットが実現します。

根は真面目でいい人間なんだけど、つい犯罪に手を染めてしまう…そんな若者像にハマっていたと思います。