放送開始から10年。ボス(石原裕次郎)とはまた違った意味で「太陽」の象徴だったゴリさん(竜雷太)、ついに殉職です。
覚醒剤患者による事件が多発。捕らえてみると、その多くがある工場で働く労務者だった。
工場は戸川組の息がかかっていて、一連の事件の背後には戸川組が絡んでいることは間違いなかった。
一係では、戸川組の尻尾を押さえるべく、労務者たちに協力を仰ごうとするが、
工場で働く和子(左時枝)の夫が、以前警察の捜査に協力した逆恨みで殺されたことをきっかけに、
弟の信治(塩谷智章)たちから猛烈な反発を食らう。
あろうことか、戸川組の組員になった信治。
一方、覚醒剤の製造工場だと思われマークしていた店が放火された。発覚を恐れた戸川組が先回りしたのだ。
信治の手引きで工場にあらたな覚醒剤の製造工場を作ろうとした戸川組は、ゴリさんからマークされている信治を疑い、
消そうとする。
信治は必ず守るという説得を受け、信治の居場所を告げる和子。
ゴリさんは七曲署への連絡を頼み、ひとりで工場内に入っていきます。
信治を消すために戸川組の組員が10人以上も工場に現れます(ちと多すぎるんじゃないか)。
ゴリさんは、信治を守るため拳銃に6発全弾装填し、さらに組員たちを背後から襲って次々と拳銃を奪っていきます。
そこからの銃撃戦はまさにゴリさん最後の晴れ舞台。
結局何人いたのかも数えられないくらいの敵を相手に、自分ひとりならまだしも、文字通り足手まといの信治を守りながらの闘い。
ゴリさんだからこそ切り抜けられた修羅場でした。
強すぎて、そんなアホな!と思うんだけど、ゴリさんだから嘘っぽくならないし、むしろ嘘でもいいやという…。
本当にかっこよかったです。
あんなにゴリさんに反発し、石まで投げつけていた労務者たちの協力を得て、無事信治を助けたゴリさん。
嬉しくて署への連絡をしに行く足取りも軽いゴリさんの背後に、先日捕まえたはずの覚醒剤中毒患者の男が
拳銃を持って立っていました。
1発、2発、3発。
続けざまに背中に銃弾をあび、ふりかえるとさらに正面に1発。
あれほど激しい銃撃戦を切り抜けた直後、たった一人のシャブ中の男によって倒されてしまうなんて…。
それでも、ゴリさんは最後の力をふりしぼり、男に手錠をかける。
石塚誠。最後まで刑事です。
力尽き倒れたゴリさんの耳にサイレンの音が聞こえます。
山さん、ドック、ジプシー、ボギー、ラガー。駆けつけた仲間も、壮絶なゴリさんの姿に言葉が出ません。
パトカー、救急車、覆面車、労務者たちのトラック。
長い車列が新宿の街を病院に向かって急ぐ。
救急車に乗り込むボスと晴子(水沢アキ)。
この時点で、まだゴリさんが話ができることに驚きですが、ゴリさんだからアリです。
ボスと晴子に看取られ、ついに永遠の眠りにつくゴリさん。
最期の言葉を、晴子は聞きとります。ゴリさんは、愛する人に音のある世界を贈って去ったのでした。
道の真ん中で止まった救急車に、すべてを察した仲間たち。
最初は茫然と立ち尽くしていたのが、だんだん悲しみに包まれ静かな涙がみんなの頬を濡らします。
なかでも、山さんの涙にはやられました…。
突然、ドックがクラクションを鳴らし、ボギー、ジプシー、工場の労務者たちもそれに続く。
新宿の街に鳴り響くクラクション。長く連なる車列を上空から捉えた画が、まるで空からゴリさんの魂がみんなを見ているようでもあり…。
数日後、ボスとナーコだけの一係に晴子が訪ねてきます。
メソメソするのが嫌いなあの人のために、もう泣かない。
そう言って笑ってみせる晴子にこっちは涙腺決壊です。
大切な人を失っても、それでも生きていかなくてはいけない。
晴子にとっても、ボスや一係の仲間にとっても、見ている私たちにとってもそれは同じ。
ゴリさんの死という大きな大きな出来事は、そんな当たり前のことを教えてくれた気がします。
悲しいけれど、どこか清々しさすらある、ゴリさんらしい殉職編でした。
【本日の敬意】
歴代の殉職刑事の中で、唯一ボスに看取られたゴリさん。
番組立ち上げから10年間、現場のリーダーとして貢献してきたゴリさんと竜さんに対する
ボス・石原裕次郎さんからの敬意と感謝の表れだと聞いたことがあります。
もうひとり、若手のリーダーとしての役割を引き継ぐことになるドックも、今回は珍しくネクタイ姿。
本来ならゴリさんの殉職なんて想像だにしていないはずのドックが改まった服装をしているのは疑問ですが、
これは神田さんからゴリさん&竜さんへの敬意と、決意の表れなのかなと想像しています。
ストーリー全体がシリアスでタフな展開ですが、張り込み中のゴリさんとドックが先に寝るのを譲りあい、
結局朝まで寝ちゃったドックがゴリさんに起こされるという場面が唯一のなごみポイントでした。