塩田管理官(谷啓)がパソコンをいじっているうちに、いつのまにか警視庁のトップシークレットの情報にアクセスしてしまったw
宮村みどりという少女が何者かに誘拐されたらしいが、詳細は不明なうえに事件も警視庁のごく一部の幹部にしか知らされていないようだ。
一方、麻生本部長(鈴木瑞穂)から第8班に「ニトロが満載されたタンクローリーを無事に晴海の冷凍倉庫まで移動させろ」
という命令が入る。
千葉で盗まれたものが、なぜか国会議事堂の目の前に乗り捨てられていた。
倉本(渡哲也)たちがそのトラックの前で話し合っているとき、座席に埋め込んであった無線が鳴り、
取り出すと犯人からデモンストレーションの予告があった。
伊達(舘ひろし)と風間(神田正輝)が爆破予告のあった6号埋立地に到着して間もなく、
ふたりの目の前で「ほんの少量のニトロを積んだ車」が、勢いよく爆発する。
(めったに誰も通らなそうな場所でもちゃんとハザードランプをつけて停車する風間さん。ちょっと意外)
ふたたび犯人から無線が入り、「人質を殺されたくなければ、明日の午後1時までにこのトラックを山梨の剣峠まで移動させろ」という。
人質とは、極秘にされている宮村みどりのことではないかと睨んだ倉本は、麻生の指示した晴海ではなく、犯人の要求通り
剣峠にこのニトロ・トラックを移動させる決断をする。
一触即発のニトログリセリンを満載したタンクローリーを、東京から山梨の山中まで無事に運ぶことができるのか。
シンプルなストーリーながら、道中の伊達、風間、谷川(谷川竜)の対立と和解、ピンチを乗り越えてゆく姿がかっこよくて、
シリーズを通しても好きな作品の上位に入る1本です。
途中天候の悪化で休憩していたサービスエリアで、タンクローリーから離れて伊達たちに報告に来てしまいどやされたり、
土砂崩れで倒れた木にひっかかりニトロが漏れだしたのを必死で受け止めながらも、こんな危険なことはやってらんない!帰る!と
駄々をこねる谷川。
いや、普通の人としてはごく当然な反応だけど、たしか「ヤングランボー」と称されるほどの破天荒な若者という設定だったのでは?
どうも谷川くんのキャラクターがはっきりしなくて、もったいない気がします。
むしろ、現場を知らない超エリートがゴリラに入ることになってしまい、百戦錬磨な先輩たちに揉まれて逞しくなっていく…という
設定の方が、演じる谷川さん(ややこしいな)にとってもやりやすかったのではないかと。今さらですが。
伊達に殴り倒されながらも、殴り返したのは彼なりの意地でしょう。
しかし2発目はかわされ、気をつけて帰れと言われてしまう。
「俺だってニトロは怖い」
こういう気障なしぐさを、キッチリ決めてくるのはなかなかできることじゃないですよね。
かっこよすぎる人を見ると笑ってしまうという病をもつ私は、舘さんの演じるキャラクターでもれなく笑ってしまうのですが、
それは舘ひろしがカッコいいということの証明でもあります。私が証明するまでもないですが。
そんなふたりのやりとりをみて、ふっと笑いフォローにまわる風間も良いです。
けっきょく思い直した谷川は、パジェロでふたりの後についていきます。
予想以上の悪路に苦戦する一行。丸太を渡して川の上をようやく渡りきったと思えばさらに一難。
「心臓に悪いな、ニトロ飲んじゃおっかな」
危機的状況のときほど軽口が出るのはドックと風間さんの共通点ですね。
「ねぇねぇねぇ、俺が運転すんの?」
「ほかに誰がいる」
そっけなく言い放ち、引き続き運転を風間に任せる伊達ですが、
第5回にして相手を認め任せるという関係になっていて、なにげに好きなシーンです。
一方、倉本や塩田たちの調べで、犯人の本当の狙いは政府官僚が乗る特急列車にニトロトラックを突っ込ませ、
爆破することだとわかった。
トラックが下っている山道の先に、その踏切があった。
犯人の遠隔操作によってブレーキが利かなくなったトラックを、谷川のパジェロとワイヤーでつなぎ、なんとか止めようとする伊達。
バイクからトラックに乗り移ったりするスタントをこれまでたくさんこなしてきた舘さんなので、こういうシーンはホントに絵になります。
ベレー帽が最も似合う日本人俳優は私が知る限り舘さん…あ、柴田恭兵@ダーツがいた!(強敵)
しかし、この手のスタントは舘さんの独壇場ではないでしょうか。
ニトロさえ積んでいなければ、風間はトラックの車体を山肌にこすりつけてでも止めたでしょうが、そうもいかず。
「踏切だよー」
この期に及んでなお、ちょっとのんびりした口調が好きです。
ここに来て伊達は、ワイヤーを撃ち抜き谷川を逃がし、風間もまた伊達にトラックから飛び降りるよう叫ぶ。
ギリギリの状況下で、最後は自分一人で引き受けようとする風間の男気にも惚れます。
迫りくる特急列車、止まれないトラック、劇伴も効果的に使われ息づまる数分間です。
これ以上できることはなくても、せめてハンドルを握る風間と運命を共にする覚悟の伊達。
そんな熱いふたりを乗せたトラックが、間一髪で列車をかわした瞬間に、私の中でこの話は終わりですw
しかし、さきほどからヘリでなりゆきを見守り、さらに上空から犯人を見つけ、追いつめ倒し、
みどりちゃんを救ったのは倉本さんであることを私は忘れていません。
念のため。