太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

「ゴリラ 警視庁捜査第8班」#5 ニトロ・トラック

2019年01月21日 | 刑事・探偵モノ


塩田管理官(谷啓)がパソコンをいじっているうちに、いつのまにか警視庁のトップシークレットの情報にアクセスしてしまったw
宮村みどりという少女が何者かに誘拐されたらしいが、詳細は不明なうえに事件も警視庁のごく一部の幹部にしか知らされていないようだ。

一方、麻生本部長(鈴木瑞穂)から第8班に「ニトロが満載されたタンクローリーを無事に晴海の冷凍倉庫まで移動させろ」
という命令が入る。
千葉で盗まれたものが、なぜか国会議事堂の目の前に乗り捨てられていた。
倉本(渡哲也)たちがそのトラックの前で話し合っているとき、座席に埋め込んであった無線が鳴り、
取り出すと犯人からデモンストレーションの予告があった。

伊達(舘ひろし)と風間(神田正輝)が爆破予告のあった6号埋立地に到着して間もなく、
ふたりの目の前で「ほんの少量のニトロを積んだ車」が、勢いよく爆発する。


(めったに誰も通らなそうな場所でもちゃんとハザードランプをつけて停車する風間さん。ちょっと意外)

ふたたび犯人から無線が入り、「人質を殺されたくなければ、明日の午後1時までにこのトラックを山梨の剣峠まで移動させろ」という。
人質とは、極秘にされている宮村みどりのことではないかと睨んだ倉本は、麻生の指示した晴海ではなく、犯人の要求通り
剣峠にこのニトロ・トラックを移動させる決断をする。



一触即発のニトログリセリンを満載したタンクローリーを、東京から山梨の山中まで無事に運ぶことができるのか。
シンプルなストーリーながら、道中の伊達、風間、谷川(谷川竜)の対立と和解、ピンチを乗り越えてゆく姿がかっこよくて、
シリーズを通しても好きな作品の上位に入る1本です。

途中天候の悪化で休憩していたサービスエリアで、タンクローリーから離れて伊達たちに報告に来てしまいどやされたり、
土砂崩れで倒れた木にひっかかりニトロが漏れだしたのを必死で受け止めながらも、こんな危険なことはやってらんない!帰る!と
駄々をこねる谷川。

いや、普通の人としてはごく当然な反応だけど、たしか「ヤングランボー」と称されるほどの破天荒な若者という設定だったのでは?
どうも谷川くんのキャラクターがはっきりしなくて、もったいない気がします。
むしろ、現場を知らない超エリートがゴリラに入ることになってしまい、百戦錬磨な先輩たちに揉まれて逞しくなっていく…という
設定の方が、演じる谷川さん(ややこしいな)にとってもやりやすかったのではないかと。今さらですが。


伊達に殴り倒されながらも、殴り返したのは彼なりの意地でしょう。
しかし2発目はかわされ、気をつけて帰れと言われてしまう。


「俺だってニトロは怖い」

こういう気障なしぐさを、キッチリ決めてくるのはなかなかできることじゃないですよね。
かっこよすぎる人を見ると笑ってしまうという病をもつ私は、舘さんの演じるキャラクターでもれなく笑ってしまうのですが、
それは舘ひろしがカッコいいということの証明でもあります。私が証明するまでもないですが。


そんなふたりのやりとりをみて、ふっと笑いフォローにまわる風間も良いです。
けっきょく思い直した谷川は、パジェロでふたりの後についていきます。



予想以上の悪路に苦戦する一行。丸太を渡して川の上をようやく渡りきったと思えばさらに一難。
「心臓に悪いな、ニトロ飲んじゃおっかな」
危機的状況のときほど軽口が出るのはドックと風間さんの共通点ですね。

「ねぇねぇねぇ、俺が運転すんの?」
「ほかに誰がいる」
そっけなく言い放ち、引き続き運転を風間に任せる伊達ですが、
第5回にして相手を認め任せるという関係になっていて、なにげに好きなシーンです。

一方、倉本や塩田たちの調べで、犯人の本当の狙いは政府官僚が乗る特急列車にニトロトラックを突っ込ませ、
爆破することだとわかった。
トラックが下っている山道の先に、その踏切があった。



犯人の遠隔操作によってブレーキが利かなくなったトラックを、谷川のパジェロとワイヤーでつなぎ、なんとか止めようとする伊達。
バイクからトラックに乗り移ったりするスタントをこれまでたくさんこなしてきた舘さんなので、こういうシーンはホントに絵になります。
ベレー帽が最も似合う日本人俳優は私が知る限り舘さん…あ、柴田恭兵@ダーツがいた!(強敵)
しかし、この手のスタントは舘さんの独壇場ではないでしょうか。

ニトロさえ積んでいなければ、風間はトラックの車体を山肌にこすりつけてでも止めたでしょうが、そうもいかず。
「踏切だよー」
この期に及んでなお、ちょっとのんびりした口調が好きです。


ここに来て伊達は、ワイヤーを撃ち抜き谷川を逃がし、風間もまた伊達にトラックから飛び降りるよう叫ぶ。
ギリギリの状況下で、最後は自分一人で引き受けようとする風間の男気にも惚れます。
迫りくる特急列車、止まれないトラック、劇伴も効果的に使われ息づまる数分間です。

これ以上できることはなくても、せめてハンドルを握る風間と運命を共にする覚悟の伊達。
そんな熱いふたりを乗せたトラックが、間一髪で列車をかわした瞬間に、私の中でこの話は終わりですw


しかし、さきほどからヘリでなりゆきを見守り、さらに上空から犯人を見つけ、追いつめ倒し、
みどりちゃんを救ったのは倉本さんであることを私は忘れていません。

念のため。

#556 南国土佐・黒の推理 / #557 ~黒の証明

2019年01月02日 | 太陽にほえろ!


七曲署管内で起こった有名カメラマン沢木(立川光貴)の妻の殺人事件。
多額の保険金がかけられていたため夫の沢木に容疑がかかり、撮影で高知に向かった沢木を追って
一係のメンバーも高知に飛ぶ。


プロデューサーの出身地だったから高知ロケが実現したと知り、ずいぶん簡単な理由だなと思いましたが、
私も祖父母が高知にいたので、一係のみんなが高知に行ったということがとても嬉しかったです。
放送後に帰郷した際、高知城でドックとボギーの生写真が売られていてもちろん買ったのですが、
なぜか行方不明なのが残念でなりません。

そんな個人的にもなつかしい高知ロケ前後編。
ジプシーの後任として迎えたマミー(長谷直美)もだいぶ刑事の仕事に慣れてきて、
今回も得意の運転を活かした迫力ある追跡を見せてくれます。

容疑者がカメラマンだということもあり、写真を使ったトリックや、風光明媚な景色もふんだんに盛り込まれ、
改めて観ると推理物としても面白いです。


ハネムーンを装って沢木と同じフェリー、同じホテルで監視するボギー(世良公則)とマミー。
ひたすらぼやくボギーに対し、「自分だけ被害者みたいな顔しないで」と文句を言うマミーがもっともです。
ふたりとも負けてないのでしょっちゅう口喧嘩をしていますが、なかなかいいコンビですよね。

保険金目当てと思われた殺人が、実は保険金はアフリカの恵まれない人々に全額寄付することになっていたと知り、
沢木の動機が不明になり、実際に接したボギーたちもシロではないかと考えた。
しかし、山さん(露口茂)は殺された妻が生前友人にもらしたという「夫が怖い」というひとことを捨て置けずにいた。

そんななか、凶器が発見され指紋から谷口という男が浮かぶ。
奇しくも父の見舞いで高知に帰ったという谷口を追い、ドック(神田正輝)とラガー(渡辺徹)も高知に飛んだ。

谷口が資産家の父に離縁されかかっていて、その前に父親が死ねば莫大な遺産を手にすることから、
沢木と谷口が交換殺人を企てたのではないかと推理するドック。



東京では山さん、トシさん(地井武男)が証拠を探すべく奔走。
距離は離れていても、あいかわらずこのへんの連携は手堅いです。

そんなとき、谷口の遺体が渓谷で発見された。
自殺とも他殺ともとれる転落死に混乱する捜査。
谷口に自分の妻を殺させ、かわりに谷口の父を自分が殺すと信じさせて裏切り殺したのではないかと
疑うが、沢木は撮影した写真を見せアリバイを主張する。

捜査に不利な状況ばかりが続くなか、あきらめずに現場を引っ張るドックがなんだか頼もしく見えます。
ベテランというにはまだ若いんだけど、チームリーダーとしての力がいつのまにかついていて、
今回高知という慣れない土地で本領が発揮された感があります。



マミーの尾行を撒き逃げ出した沢木を追いつめ緊急逮捕するも、妻を殺したと思われる谷口に近づき、
逆に襲われて渓谷でもみ合ううち突き落としてしまったと正当防衛を主張。交換殺人の証明はできないまま拘留期限が迫る。



東京から頼もしい助っ人トシさんも登場。
「捜査方針を立ててくれ。俺もそれに従う」
いままで若手をまとめてきたドックをたてて、自分はサポートに徹するトシさんがまた素敵です。
変に遠慮せずその役目を受けるドックもいい。
スムースに仕事を進めるうえで、良い手本のようなチームです。

山さんは、沢木が世に出るきっかけとなったコンクール入賞作品が、実は殺された妻の作品だったことを掴む。
これで動機も明らかになった。



一方、沢木と谷口の出会いを探っていた高知チーム。
東京の谷口の部屋に鳥の写真がたくさんあったことを思い出したトシさんは、
尾長鶏パークに谷口が出向いたであろうと推理。そこで沢木と谷口が接触したことがわかれば、
沢木の主張は一気に崩せる。

当日パークを訪れた地元の団体客をしらみつぶしに当たり、おばちゃんたちからむりやり見せられたw
スナップ写真に写る沢木と谷口を見つけたボギーとラガー。






「皮肉なもんだな沢木。プロのカメラマンのおまえが、素人の撮った写真で化けの皮をはがされたんだ」
ドックの言葉に突っ伏す沢木。
それを見て同じく突っ伏すドック。やれやれとネクタイを緩めるトシさん。
拘留期限ギリギリで、ついに事件が解決。

このあと、みんなで高知の地酒と肴でおおいに盛り上がったことでしょう。


帰った後は、沢木が撮った写真で盛り上がる一同。



「沢木が写真に裏切られるのは当たり前ですよね! もともと嘘の写真で有名になったんですから」
ラガーからそう評される沢木ですが、なかなかどうして。



いい仕事してます。