大病を克服したボス(石原裕次郎)の久々のアクションも見られた、1983年最初のエピソード。
ボスだけでなく一係全員の見せ場があり、また、西山署長を長らく演じられた平田昭彦さんの
「太陽」最後の出演作でもあり、タイトルにふさわしく七曲署総出の作品です。
建設会社の西井部長がホテルの窓から転落死した。
遺書はなかったが、肺がんであることを本人も感づいていたふしがあり、
一応自殺とみられたが、現場検証をした一係の刑事たちは、
他殺の線もあると睨んでいた。
痛ましい遺体を見て、苦い表情のトシさん(地井武男)、ボギー(世良公則)、ラガー(渡辺徹)。
何度も殺人事件を捜査し、遺体には慣れているはずの刑事たちでも、やはり見たくはないでしょうね。
平気な顔じゃないことにほっとします。
一方、ドック(神田正輝)とジプシー(三田村邦彦)は、西井が泊まっていた部屋を捜索。
壁に掛けられたスーツ、封を切られた煙草と、吸い殻のない灰皿、セットされた目覚まし時計…
現場のあらゆるものに注意を払い、死の真相を探る。
刑事っぽい!と改めてちょっと感動しました。
地検の田島検事が七曲署を訪れ、5年前の首都圏再開発の入札の際に、西井のいた建設会社の前川社長と、
政務次官の木村との間に不正があったという告発が西井からあり、その矢先の転落死なので、
真相を突き止めてほしいとの依頼があった。
捜査線上に浮かんだのが、西井の部下の久野(北村総一朗)だった。
ドックとボギーが、久野の写真にひげやカツラ、サングラスを描き加え、ほとんどいたずら描きに
見える写真のおかげで、久野が変装し偽名を使って同じホテルに宿泊していたことを突き止める。
久野をマークしていた山さん(露口茂)は、歩道橋の上で襲われそうになった久野を、
逮捕という形で刺客の手から守った。
拘留期間そして収賄の時効が目前に迫るなか、山さんの取り調べが始まる。
取り調べをしている山さんは、いつ見ても惚れ惚れします。
ちょっと笑っちゃうくらい。
そして、北村総一朗さん。今回もいい仕事されてます。
強気でしらばっくれていたものの、山さんの落としのテクニックの前に、
どんどん不安が大きくなり、焦りと怯えがふくらんでいく様子が秀逸です。
めずらしく外出の多いボスは、自分をつけてきた暴力団員風の男に、
もうすぐ久野が落ちそうだという話をわざと聞かせ、
久野が襲撃されるであろうことを予測し山さんに伝える。
案の定、取調室から休憩で出てきた久野と山さんが襲われた!
共犯者の車で逃げた男を覆面車で追うドックとラガー。
ハンドルを握るドック、ラガーが赤色灯をつけ、ヘッドライトがカパーンと開き、
「七曲署」の看板を背に飛び出していくセリカがカッコいい!
やがて反対から走ってきたジプシー&ボギーコンビの車とで挟み撃ちにし、
鮮やかな逮捕。
ボスは、自ら木村と前川の車の前に立ちふさがり、襲ってきた運転手をパンチ&ガンアクションで倒し、
駆けつけた若手4人…あれ?ジプシーの代わりにトシさんがw、木村たちに手錠をうつ。
三田村さんはスケジュールの都合かと思いきや、裕次郎ファンの地井さんが、ボスのアクションシーンに
立ち合いたくてむりくり変わってもらった…とかだったら和みます。
逮捕したあとになって、山さんから「久野が落ちた」との無線が入る。
「山さんのやり方を、今までもこれからも100%信じてる。それだけの話さ」
そんなボスの言葉に応えた山さん。
一係に戻り、吐かせる自信はあったのかとボスに問われ、うまそうに煙草を吸いながら
「いや自信はなかったですね。ただ、ぜひとも吐かせにゃならんと思っただけです」という山さん。
大人の会話をしていると、ビールやらつまみやらを抱えてみんなが帰ってきた。
ドックからグラスの代わりに瓶ごと渡され、やけに嬉しそうなトシさん。
飲み干すのが早すぎるボギー。
年明けすぐの事件を解決しなごやかな空気の中、
「今の話は内緒だよ」
このふたりがいれば、七曲署も安泰。そんなツーショットです。