太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

「ゴリラ 警視庁捜査第8班」#3 ソルジャー・イン・グリーン

2018年07月28日 | 刑事・探偵モノ


3人の脱獄囚の身柄の確保が極秘裏に第8班に命じられた。
霧が原原生林に逃げ込んだとされる情報をもとに、現地に飛ぶ倉本(渡哲也)たち。
そこにはテロリストの神崎もいて、日米共同演習の通信システムをモニターし、
それを一番高く買ってくれる国に売りつけようとしていた。


倉本と谷川(谷川竜)、伊達(舘ひろし)と風間(神田正輝)がそれぞれ組になって敵のアジトを目指す。


谷川くん、こういう格好でも端正すぎますね。体格はいいんだけど、戦闘能力低そう…と思ったら、
案の定すぐに敵の仕掛けた罠にかかって足を負傷。あげくに囚われの身に!
まあ、しかたありません。新人の役目です。

一方の先輩方は、休憩をめぐって殺し合い…

かねない一触即発の道中。実は風間の服についていたムカデを伊達がナイフで仕留めてやったわけですが、
最初に見た時は、伊達の殺気が凄すぎて、風間の代わりに私が身構えました。

それにしても、ヘリからロープで原生林に降りたり、ロープ一本で沢を渡ったり、穴から脱出したり、
ワイヤーを切って罠を無効にし匍匐前進で夜の林を進んだり…と、まさにソルジャーなみなさん。

劇中の百戦錬磨なメンバーたちのスキルの一つと思えば当然かもしれませんが、
やってるの普通の俳優さんたちなんだよなぁと思うと驚きです。
石原プロが普通かと問われると答えに詰まりますが。

麻生刑事部長(鈴木瑞穂)から毎回倉本に出されるミッションは、
そのまま石原プロ社長(当時)の渡さんに出されるミッションのようです。
「きみたちならやってくれるね?」という…。

本エピソードでは、結成されて日が浅い8班が、目的遂行のためにそれぞれの思惑はあれど、
仕事を請け負ったプロとしての矜持をみせ、脱獄犯たちを生きて捕らえて、さらにテロリストの
計画をつぶすという活躍を描いています。

なかでも伊達と風間がお互い我を張りながらもさりげなく手を貸し合い、なんだかんだ言いながら
チームとして目的に向かっていく姿が印象的でした。

帰りのヘリではごらんのとおりw

だからといって盲目的に相手を信じるわけでもない。

ポーカーに興じるふたりが象徴しているように、まだまだ腹の探り合い?
どこまで気を許しているのかわからないこのころの雰囲気も、石原プロのドラマとしては新鮮でけっこう好きです。


#417 ボスの誕生日

2018年07月22日 | 太陽にほえろ!


46年前の7月21日、「太陽にほえろ!」の放送が始まりました。
その記念日に観たのが1980年8月放送の「ボスの誕生日」。
ナーコもふくめ、一係総出動のエピソードです。


ボス(石原裕次郎)の誕生日に一係みんなでプレゼントを贈ろうと、ナーコ(友直子)がお金を集めています。
全員割り勘ではなくて、先輩たちが多く出すスタイルです。
「すこっち(少し)だけど」とダジャレを添えて差し出すスコッチ(沖雅也)。
和やかな空気は、このあと起こる事件をまったく予測させません。

プレゼントを買いに行ったナーコが夜中になっても帰宅しないと、両親からの電話で知る一係。
ふだんスーツをビシッと着こなしているボスが、ネクタイを上着のポケットにねじ込んで署に戻ってくる姿が緊張感を一気に高めます。
帰宅後呼び出され、駆けつける面々。
スニーカー(山下真司)の部屋で、手帳や財布、手錠などが棚の上にきれいに並べてあったのが意外でした。

やがて男の声で、ナーコを返してほしければ3000万円用意しろという脅迫電話が一係に。
一係の全員に恨みのあるような口ぶりながら、誰も心当たりがない。
それぞれに過去の事件を回想する場面で、モノクロで懐かしい初期のころの写真が挿入される演出がすばらしい。

朝になり、身代金の運び役に指名されたドック(神田正輝)とロッキー(木之元亮)は、炎天下3時間以上歩かされてヘトヘトです。
しかし、ずっとロッキーに鞄を持たせているドックの方がぼやきが多いのはどういうことでしょう。

珍しく現場に出たボスを含めた聞き込みの成果で、沢木(堀内正美)という若い男が浮かび、
彼が一方的に好意を寄せていた女性に贈るつもりで作ったプレゼントを、犯人追跡中のスニーカーがぶつかって壊してしまったのが
今回の事件の原因だとわかる。

まだなんにもなかったお台場海浜公園にスニーカーを呼び出した沢木。
しかし、代わりに姿を現したのはボスでした。


物陰から見守る仲間たち。



ドック、やけにカッコいいんじゃないかい?

沢木に挑発され飛び出したスニーカー。
ボスは、そんなに五代が憎いなら殺せと、ゴリさん(竜雷太)に拳銃を渡すよう指示する。
一同に緊張感が走りますが、ひときわ緊張しひそかに銃を構えようとするのがドック。

黙って沢木の前に歩み寄り、弁解も謝罪も一切せずじっと銃口に身をさらすスニーカー。

しかし、けっきょく沢木は引金を引けませんでした。

張りつめた空気をほぐすように、スコッチがスニーカーのお腹を叩く。
一係には、先輩が後輩の胸やお腹を叩いて愛情を示す伝統があるんでしょうか。わりと代々見かける光景です。


「いくらボスの指示だからって拳銃を渡すなんて信じらんない。また他に移りたくなった」と非難するドックに、
「止めやしないよ」と笑って空のシリンダーを見せるゴリさん。

そう、入って間もないドック以外は、みんなゴリさんが拳銃に弾を込めていないことを知っていたのです。
それでもあの緊迫した空気。
ゴリさんが今日に限って弾を込めてた…なんてことがないとは言い切れませんからね。

沢木にずたずたに切り裂かれながらも、ナーコが大切に抱えつづけたボスへのプレゼント。
形は失われてもみんなからの気持ちをボスはしっかり受け止めてくれたし、
そのボスからの感謝の言葉が、みんなにとっての贈りものになりました。

われらがボス

2018年07月17日 | 太陽にほえろ!


#490のタイトルですが、今日はそのレビューではありません。

早いもので、今年もまたわれらがボス・石原裕次郎さんの命日がめぐってきました。


昭和世代の多くの人にとって、裕次郎さんといえばボス、ボスといえば裕次郎さんではないでしょうか。
優しさと厳しさ、茶目っ気と威厳、あの大きな体にたくさんの魅力がつまっていて、大人から子供まで、
みんなボスが大好きでした。

長さん、トシさん、ジーパン、スコッチ、ブルース…
演じた役者さんたちが、いままたボスの周りに集っているのかなと想像します。

ボス、「太陽にほえろ!」を14年という長い間引っ張ってくださってありがとうございました。
太陽を観て育った私は、これからも太陽を浴びて生きていきます。


「ゴリラ 警視庁捜査第8班」

2018年07月16日 | 刑事・探偵モノ


毎日暑いせいか、なぜだか無性にゴリラを観たくなりました。

1989年、石原裕次郎さん亡き後に石原プロが久しぶりに制作した刑事ドラマです。
石原プロの俳優さんの中で、ちょっと異彩を放っていた(と私が思っていた)神田正輝さんが、
いわゆる“軍団”の渡哲也さん、舘ひろしさんらと共演するということで、
ある種の緊張感をもって(謎)観ていた覚えがあります。

渡さんと舘さんの揺るぎない関係のなかに、同じ会社でありながら長らく自社のドラマに出演していなかった神田さんが加わることで、
どういう化学変化が起きるのか。
そのキャスティングは、寄せ集めで結成された劇中の第8班の、それぞれの能力は高くてもお互いをどこまで信じているのかわからない、
チームとしては未知数な雰囲気を出すのに成功していたように思いました。





当時、30代後半だったおふたり。
「あぶない刑事」のタカさんや「太陽にほえろ!」のドックから数年経ち、
ずいぶん大人に(というかおっさんに)なられて…なんて思っていましたが、
自分がその年を追い越してみると、いやいやまだまだ若いですね。

渡さんが、撮影中のケガでわりと前半から戦線離脱してしまった感があり、
あのころ私がゴリラに感じていた違和感は、もしかしたら渡さんがかつての黒岩や大門のような
圧倒的団長感を出していなかったことが原因だったのかもしれないと、今になって思います。

そんなアクシデントや、設定の変化、いろんな突っ込みどころが多いドラマでしたが、
なんだかんだ言っても、アクションシーンにおける石原プロのスタッフの技術やノウハウ、
危険なシーンも自ら演じる役者の技量と心意気が今となっては貴重ですし、
やっぱりカッコいいです。

石原プロの映画に賭ける思いを考えれば無責任に言えることではないかもしれませんが、
「ゴリラ」を連続ドラマではなく映画にしても良かったんじゃないかと個人的には思います。
単純に、石原プロのアクションを大画面で観てみたかったというのもありますし、
この頃がラストチャンスではなかったかと…。

「石原裕次郎」の名を大事にするあまり、自ら時機を逸してしまったとしたら惜しいことです。

逆に言えば、テレビで毎週こんな気合の入ったアクションドラマを観られたというのは贅沢でした。
ほかのどんなコンビよりも観ていて緊張するw舘さん&神田さん演じる伊達&風間を中心に、
時々「ゴリラ」にも触れていこうと思います。



【本日の面変わり】
神田さん演じる風間有悟。ヒゲを蓄えどことなく胡散臭い、つかみどころのない雰囲気で登場。

過去や私生活もよくわからず、本心も見えにくい感じが、いままで神田さんが演じたキャラクターにはなくて新鮮でした。

が、後半のある日、突然ヒゲを剃ってしまいました。誰も劇中で突っ込まないし。
インタビューで「手入れが面倒だから剃っちゃった」と答えていて、それはそれで神田さんらしいなと思いましたが、
風間さんに限ってはヒゲあり押しです。そういう意味でも前半の方が好みでした。

これじゃあ、ただの男前ですやんw



#522 ドックとボギー

2018年07月07日 | 太陽にほえろ!
医大生が相次いで殺される事件が発生。
被害者には同じ大学の遊び仲間で裏口入学しているという共通点があった。

高校の修学旅行でビールを飲んでいたのを、のちに医大に進んだ同級生にみつかり、
先生に告げ口されたのをきっかけに医大生嫌いになったというボギー(世良公則)と、
数年前まで遊び人の医大生だったドック(神田正輝)がコンビを組んで捜査に当たる。




ドックとボギーの上着の色味が被っていてコンビ感が強調されています。
でも、お互い逆の恰好はしないだろうなと。それぞれに合ったスタイルを選んでますね。

被害者と仲の良かった2人の学生たちも狙われる可能性があり、ドックとボギー、
ジプシー(三田村邦彦)とラガー(渡辺徹)のコンビがそれぞれガードする。

学生の身で分不相応に派手な生活を送る彼らに反発を隠せないボギーとラガー。
とくにボギーは、同級生のせいで医大生嫌いになっているため、まったく仕事に身が入らないw
元医大生と知るや、ドックにまで反発する始末。

ガードしていた学生に街中で撒かれ、持久力のなさで逃がしてしまったことをドックに報告され、
それを告げ口だとふてくされるボギー。
入って間もないボギーに、兄貴分のドックを悪く言われてムカつくラガー。
そんなふたりをなだめつつリードするドックとジプシーのお兄さん味がほほえましいです。


捜査していくうちに、被害者を含めた4人グループが、ギャンブルのためにボウガンでウサギ狩りをしていたことが判明。
実験用だと思い、泣く泣く渡したウサギを無残に殺された飼育員の男が彼らに復讐をしたのだった。

普段は医学の進歩のためと割り切って、実験用の動物を育て提供している飼育担当の職員たちが、
年に一度、動物たちへの感謝の祈りを捧げる姿に感銘を受けるボギー。
そんな彼らのプロ意識に接し、ボギーもまた刑事として、私情を抑えて容疑者である飼育員に会いに行く。

とはいうものの、ボギーに計算やテクニックという武器はない。動物を、生き物を愛する者に対し、
ストレートに思いをぶつけるのみ。
子どものころ、飼っていたウサギを炎天下に放置して死なせてしまった自分を今でも許していない、
そういって大粒の涙を流すボギーに、飼育員は「あなたになら捕まってもいい」と自分の罪を告白する。

手錠をかけられ出てきた飼育員を見て、嘲笑するこのふたり…

「太陽」史上、もっとも憎ったらしい被害者といえるでしょう。何度見ても腹立たしい。ぬぅぅぅ!!

ボギーをはじめ一係の刑事たち、そして視聴者の多くが彼らに怒りの拳を振り上げようとした瞬間、
彼らに歩み寄り、胸ぐらをつかんで怒りの言葉を投げつけたのはドックでした。

軟派なだけじゃない、命を大切に思うドックの心情にふれ、今までの非礼を素直に詫びるボギー。
一係に新しいコンビがうまれました。


【アニキといっちゃん】
当時、神田さんと世良さんはラジオのパーソナリティーもやっていました。
(徹さんも番組をもっていて、神田さんと世良さんが揃ってゲスト出演したという
夢のような回もあったようですが、私は残念ながら聴けませんでした)

おふたりがそれぞれの番組にゲスト出演している回のカセットテープを何十年ぶりかで聴いてみました。
「アニキ」「いっちゃん」と呼び合い、お互いはもちろん、太陽の共演者への親愛の情が伝わってきて、
本当にいい現場だったんだなとほほえましいです。

ボギー亡き後にもゲストで出てきた世良さんが、
「アニキにラケットをもらってテニスはじめたんですよね」と楽しそうに語っていて、
アニキの影響力wwと、いっちゃんの柔軟性がちょっと意外でした。

甘やかで柔らかな語り口ながら、案外男っぽさが垣間見えるアニキと、
少ししゃがれ声でぶっきらぼうを装いつつも、優しさと繊細さがにじみ出るいっちゃん。
ドックとボギーに重なる部分と、ご本人の素顔が出る部分と…。
声だけだからこそ感じられる魅力が、ラジオにはあったと思います。