太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#521 ボギー刑事登場!

2018年06月30日 | 太陽にほえろ!


ロッキーと長さんが去って寂しくなった一係に、ボス(石原裕次郎)がまた変な刑事を連れてきた。

広島出身の春日部一(世良公則)は、赴任の日に愛車で七曲署に向かう途中、ラジオから流れる迷い犬と飼い主の美談に感動するあまり、
信号で停車中の車に追突。前の車の若者たちと乱闘騒ぎを起こし、駆けつけたドック(神田正輝)とラガー(渡辺徹)と奇妙な初対面を遂げる。



免許証の名前の読みが「ハルヒヘイチ」になっていることをドックたちに突っ込まれるカスカベハジメ。
愛車のナンバーが『へ・・・1』というのも徹底しています。



改めて一係で自己紹介。
「ゴリと呼んでくれ」というゴリさん(竜雷太)に、「ゴリラですか?」と直球質問。
後ろの3人、そんなにくっついてるから“ミワカントリオ”とか言われちゃうんですよ。

警察学校の期を訊ね、先輩後輩が明らかになると、あからさまに態度を変えるヘイチ。体育会気質です。

管内をぐるっと回ってみるというヘイチに付き合うのはドック。
ボスとしては、長らくゴリさんの役目だった新人教育係を、そろそろドックにもさせようということなんでしょうが、
警察無線の盗聴できるヘイチの車を面白がったり、張り込み中に野球中継を聴いていたりと、
新人にとってはそれほど緊張しない先輩のようです。

ただ、ヘイチさん。気をつけてください。
ドックと組んで張り込み中に先に寝られてしまうと、ほぼ確実に朝まで寝られません。(先輩のゴリさんであっても!)


管内で起きた銀行強盗が、実は先日トラブルになった3人組の1人だと判明。
男の恋人をマークし、現れた男を追跡するも取り逃がすヘイチ。
がむしゃらに、ひとりで解決しようとするヘイチに、山さん(露口茂)はチームワークの大切さを説く。

広島から上京するときに姉から送られたネクタイで、汗も涙も拭きながら夢中で犯人を追いかけ、
泥だらけの格闘の末、ついに手錠を打つ。

憧れのハンフリー・ボガートから「ボギー」と呼んでくれと名乗るヘイチだが、
ボスからは一打余分なゴルフのボギーだと言われる。

沈んでいた一係に久しぶりに笑い声が響きました。


【本日の心変わり】
ロッキーと長さんの代わりに入る刑事役に世良公則、と聞いた時は正直ものすごく抵抗がありました。
ツイストのころから人気があるのはもちろん知っていたものの、当時の私は世良さんが苦手だったのです。

今となってはなんで嫌いだったのか思い出せませんが、たぶん、若いのに皺っぽい顔と、
ロックンローラーとしての気迫が、なんだか圧が強い感じで引いちゃっていたんだと思います。
小さい子が獅子舞を怖がる感じでしょうか。

ところが、ボギーが出てきたとたん、その愛すべきキャラクターに夢中になりました。

世良さんがボギーを演じなかったら、ボギーはボギーでなかっただろうし、
世良さんのことも苦手なままだったかもしれない。

こんなに一人の人の印象が鮮やかに変わったのは、私の中では後にも先にも世良さんぐらいかもしれません。





#520 野崎刑事 カナダにて最後の激走

2018年06月24日 | 太陽にほえろ!

「警察官になって30年。これほど犯人を憎いと思ったことはない」
一係の良心、みんなの心の拠り所・・・。長さん(下川辰平)、最後の激走です。


杜丘を追跡し、ロッキー(木之元亮)の最期を看取れなかったジプシー(三田村邦彦)とラガー(渡辺徹)。


風葬にしてほしいという妻令子(長谷直美)の願いで、ロッキーの遺灰はヘリコプターでロッキー山脈に撒かれることになった。
「さよなら、ロッキー。さよなら」
ロッキーの帽子とGジャンを身に着けたドック(神田正輝)が、代表してロッキーに別れを告げる。


悲しんでいる暇もなく、カナダ人夫婦を襲って車を奪い逃走した杜丘を探す刑事たち。
目撃情報のあった場所に向かうと、杜丘はいきなり発砲してきて、なんと馬で逃走!

セリカXXの北米仕様スープラで!ドックの運転で!追跡したにもかかわらず、舗装されていないばふばふな地面で
圧倒的に馬が有利。斜面を駆け上がって逃げ切った杜丘を悔しそうに見送るしかないドックとラガー。




日帰り出張かというほどの軽装で応援に駆けつけたゴリさん(竜雷太)も加わり、杜丘を雇っていたアメリカの組織を追う
FBIのバージル刑事と反発しあいながらも捜査を続ける。

七曲署とFBI、追っている人物は同じでも目的が違うため、まったく協力し合えないどころか
お互いにとっては邪魔な存在にすらなっている。
長さんやゴリさんは、FBIの立場も尊重しつつ、これ以上犠牲者を出さないために協力して杜丘を捕まえようと
バージルに訴え、ついに彼の全面協力を得る。

最初は日本語がわからないように見えたバージルですが、実はヒヤリングは相当…?
というか、心を開いたとたん日本語で話してくれてますw

カルガリーに向かったという光子の証言で、年に一度のロデオ祭りで賑わう街中で杜丘を探す一同。
新宿では大きくて目立つ一係の刑事たちも、カナダの民衆の中では埋もれ気味です。

ジプシーがついに杜丘を発見!長さんは、撃たれたジプシーに代わり一人追跡!
右腕に被弾しながらも、弾を撃ち尽した杜丘を追いつめ、肉弾戦でやっつける。
長さん、怒りの蹴りが決まっています。


遅れて駆けつけた仲間(バージル含む)と喜びを分かち合う。
このとき、すでに長さんの胸には最後の現場だという思いがあったんでしょうか。


帰ってきたメンバーを迎えてくれる新宿の高層ビル群とボス(石原裕次郎)。
なぜか私まで「ただいま」というほっとした気分にw

そこで長さんが切りだした言葉に、ボス以下仲間たちは耳を疑う。
「警察学校の教官になって、ロッキーのような優秀な刑事を育てたい」
涙ながらに告げる長さんに「わかったよ」というボス。
比べてみると明らかに長さんより年下ですが、にじみ出る包容力がやっぱりボスです。


「長さんの育てた刑事といっしょに働く日を楽しみにしている」とエールを送る山さん(露口茂)。
長さんから握手を求められ、名前を呼ばれて「ん…」と喉の奥で泣きながら返事をする山さんにもらい泣きです。

長らく苦楽をともにしてきた山さんと長さんのあいだには、名コンビという言葉ではくくれない、
深くしっかりした結びつきがあったんですね。
長さんの最後の事件となった今回、距離は離れていたものの、お互いを信じてともに捜査していたんだと思います。


【本日の旅立ち】

ロッキーを亡くし、長さんまで去ってしまい、この時期は本当に寂しかったのを覚えています。
下川辰平さんは長さんの殉職を望んでいたそうですが、長さんまで死んでしまったら、仲間も、観ている私たちも
ちょっと気持ちがもたなかったと思います。

実際、このあとふたたび長さんが登場する回や本格復帰したPART2は、本当にうれしかったものです。
役者さんとしては殉職を演じたいという気持ちは強かったでしょうが、そこを曲げて生き続けてくれた長さん=辰平さんに
感謝します。



#519 岩城刑事 ロッキーにて殉職

2018年06月16日 | 太陽にほえろ!


念願だったカナダのロッキー山脈への旅に出たロッキー(木之元亮)。
伸びやかな長身が大自然に映えます。ああ、まさにロッキーだなと。ピッタリなあだ名だったなと。
これが最後じゃなければ、雄大なカナダの景色や街並みにわくわくして観ていられたのに…。

東京で起きた殺人事件の容疑者・杜丘(小野進也)がバンクーバーに向かったという情報を得て、
ボス(石原裕次郎)は、ドック(神田正輝)とラガー(渡辺徹)を現地に派遣し、ロッキーと合流して捜査に当たるよう命じる。

その後、長さん(下川辰平)とジプシー(三田村邦彦)も現地入りし、杜丘のかつての恋人光子(高瀬春奈)を張り込み
杜丘が現れるのを待つ。



ロッキー登山の前に捜査に呼び戻されたものの、カナダの大自然を愛する人々に触れ、自然を愛することは人を愛することに通じる、
ここに来て刑事の仕事を続ける自信ができたと照れながら長さんに語るロッキー。
長さんもそんな彼を頼もしく嬉しく思って見つめる。

やがて、杜丘と光子がレンタカーで逃げたことが判明。考えうるいくつかのルートを手分けして追跡する刑事たち。
ロッキーは、遠回りに思えるロッキー山脈を越えるルートを選んだのではないかと睨み、
ついにふたりを発見する。


「太陽」にそれほどしょっちゅう出ているわけではないのに、印象的な小野進也さん。
しばらくは、他のドラマで見ても「杜丘~!!」と思っていましたw


ロッキーに制止され、いきなり銃を発砲し、さらに光子を突き飛ばしダイナマイトを放り投げる杜丘。
岩陰に隠れて応戦していたロッキーは、爆発を阻止するために飛び出し、杜丘に撃たれてしまう。

今まで数々の危機に瀕し、そのたびに生きのびてきたロッキーにしては、ずいぶんあっけない最期だと当時は思いました。
歴代の刑事たちの壮絶な最期と比べても、たった一発で死んでしまうなんて、と。

でも、これが現実かもしれない。みるみるうちに生気がなくなり命の火が消えそうになるロッキーを
長さんとドックが必死に引き留めようとする。ふたりの悲痛な叫びと涙は、何度見ても心を揺さぶられます。



自分が守ったロッキーの景色を目に映し、眠るように息をひきとるロッキー。
妻と子を残し、刑事としてもこれからだというときで、もちろん無念の死ではあります。
でも、憧れのロッキー山脈を守り仲間に看取られて逝った彼は、その瞬間安らかだったんじゃないかと思いたいです。



事件解決の第一報を今か今かと待ちわびていた3人。
長さんからの信じがたい報告に、この笑顔が消えるのがつらい…。

山さんから夫の死を告げられ茫然と座り込む令子(長谷直美)が、ふと部屋の中のおもちゃと眠る子供たちを見て、
堰を切ったように泣き出す。
アパートの外でその泣き声を聞く山さん(露口茂)。


あふれる涙を拭おうともせず、ロッカーに拳を叩きつけるゴリさん(竜雷太)。


そして、ボス。


ロッキーは、みんなにこんなに愛されていたんですよね。


【ロッキー=木之元亮】
インパクトの強い外見のわりに、静かで控えめなロッキーと、演じる木之元亮さん。
DVDの特典映像で、ご本人が「もう一度ロッキーを演じたい」とおっしゃっていて、
本当に太陽とロッキーを愛していたんだなと思いました。

また、神田さん、三田村さん、徹さんの座談会でもカナダロケについて語られていて、
殉職編は、木之元さんはもちろん、周りのキャストやスタッフも並々ならぬ意気込みで臨んでおられたとわかり、
その熱が、長い年月を軽々と越えて伝わってきました。

それだけに、やっぱりいなくなるのは寂しいですね。

#513 真相は・・・・・?

2018年06月08日 | 太陽にほえろ!
深夜、城南署管内の駐車場で大学生・和田が殺された。
周囲の聞き込みで、その時間に現場近くにいた男のモンタージュができたが、
それは警視庁捜査一課の花形警部・高松(山内明)にそっくりだった。

本庁は、マスコミに知られるのを防ぐため、かつて高松の後輩だったボス(石原裕次郎)に
24時間以内に高松から真相を聞き出すよう命じた。




本庁の警視、七曲署の署長のふたりに呼びつけられてご無体な命令をされるボスですが、
どう見てもお偉方たちよりも貫禄があります。
警視も署長も薄々それに気づいている感じで、一所轄の係長相手にちょっとムキになっておりますw

一方、刑事のイロハを教わった高松に対しては敬愛の念を感じます。
「あなたが犯人ですか?」
そんな率直な質問も、信頼すればこそでしょう。

およそ取り調べとは思えない一見のんびりとしたやりとり。
現場を指揮する山さん(露口茂)の緊張感と、山さんや他の部下たちを信頼し任せているボスの落ち着いた表情の違いが
印象的です。



やがてボスは、窓の外で談笑する若い婦警たちを見つめる高松の様子から、一人娘のともこに何か関係するのではと
推理する。

ともこは、あの晩和田が運転する車にはねられ昏倒したところを連れ去られてしまった。
帰宅したともこの異常に気付き問い詰めた高松は、車とともこが見た学生証から和田を探し出し、
駐車場で会っていた。

一人娘を傷つけられた父親の気持ちには共感するものの、それでも刑事としての高松を信じる山さんの
「あるいは殺意があったかもしれん。しかし俺はやっていないと思う」という言葉は、
同じ警察官に対する信頼であり、自分だったら…と考えた時に確信をもてた刑事としての矜持だと思います。

捜査の中で、被害者・和田の腕時計をはめていたチンピラを連行するが殺人を否認。時計は白髪頭の初老の男から買ったと証言。
アリバイもあり、釈放しロッキーが念のため尾行を続ける。

高松が犯人であるという有力な証拠を得たとして、本庁が期限の前に身柄を横取りしようとするのを突っぱねたボス。
なんとしても時間までに真犯人を挙げて高松の無実を証明しなければならない。

夜中も休まず捜査を続ける一係の面々。

メインテーマまるまる一曲が流れ、やがて夜が明ける。


「あと3時間しかない!頼むぞ!」
無線のマイクに取りすがり、めずらしく感情をあらわにする山さんに、長さん、ゴリさんはじめみんなも疲れた体に喝を入れ、
精力的に走り回る。


泳がせていたチンピラを捕らえて絞り上げると、実は時計はボクサー崩れの男から買ったと自供。

若手が3人がかりで取り押さえ、山さんが取調室で男を瞬殺!
山さんの気迫…もあったでしょうが、尺の都合も大きいでしょうw
約束通り24時間以内に事件を解決した藤堂チーム。(本庁は面白くないでしょうね~)

ボスが主役の回は、山さんを筆頭にチーム全体が描かれることが多いです。
これもまた、ボスの器の大きさがにじみ出てさすがだなと思います。


【本日の気になる指】
ドックが右手の中指に包帯をしていたりしてなかったり。
たしか撮影中に捻挫したと当時雑誌で読んだ記憶があります。今回の犯人逮捕の場面でしょうかね。

そして、ボスもまた指に絆創膏を巻いているのですが、本作に限らず例えば「ドックの苦手」などでも
複数の指に絆創膏が…。こう言っちゃなんですが、怪我をする場面が浮かばないですよ。
料理でもされていたんでしょうか。 真相は・・・・・?